谷 好通コラム

2018年01月14日(日曜日)

1.14.リーダーが司令塔になる時

ある店舗の店長としては普通に活躍していた方の若者で、
仕事に対する意欲も高く、お客様からの評判も悪くなかった。
ある程度歳をとってからの中途入社だったが、もうベテランである。
入社の頃は会社もまだ小さく、
周りも中途入社の者ばかりだったので、何もハンディではなかった。

 

その店舗を運営する会社は、
創業者が変わっていて
独自の経営方針が時代に合い、独特の商品に力があって、
たくさんのお客様の支持を得て、どんどん成長していた。
店舗も増え、社員の数もみるみる増えていく。

 

ある時、その店長は、
増えていく店舗のグループの長になった。
何軒かの店舗群が組織を造り始めたのだ。
そのグループの長としては、人柄も良く
グループを成すメンバーからの人望もあって、
店舗での目立った成功があった訳ではないが、
そのまま、増えていく店舗の長として存在し続けた。

 

最初の頃は店舗付きであり、店長兼任のグループ長であったから、
会社のポリシーと文化を良く理解し、
会社の方針を実現し、その季節や出来事に変化に合った行動が取れて、
グループの他の店舗の良い見本となって、他の店舗をリードした。
そのグループの長は文字通りの「リーダー」として成長したのだ。

 

そうしている間にも会社はますます大きくなって、
グループの店舗も増え一つの会社ぐらい大きくなって、
会社の経営者に就任し、逆に担当する店舗には直接行くことは少なくなった。

 

その会社はますます大きくなって、
世間から高い評価をもらうようになると、
この会社に関わる色々な立場の人から褒められ、
このグループの長も、同様に褒められ、
彼の発言は、この成功した会社の経営者の発言として否定する者はいなくなった。
すると彼は、今までのように会社の方針に従った発言と行動だけではなく、
自らが考え出した発言と行動をもするようになって、
それは微妙に会社の方針とは違っていても、
自己の見解の正当性を発言するようになり、議論した。
それだけでなく、
店舗への指令を多発するようになって、
しかし、会社の公式文を書けるほどの国語力は無いので、
他の経営者のリライトをいちいち受けて、
しかし、逆にこれを会社のコンセンサスとし、公式文として出した。
こうなると、会社のポリシーと方針を実現するリーダーというより、
もう自分が会社を動かしている司令塔。

 

世間から会社が褒められて、
自分も褒められて、
自分がまだ出来ない事が出来るようになった勘違いをする場合は多い。
すべての者がそうなると言っても言い過ぎではない。

 

一度、こんな勘違いに入ってしまうと
「自分はまだ出来ないという事を忘れるな」などと言われると、
反発して、自己主張し始めると、もう手に負えない。
しかしその行動と方針の変化はほとんどないが
その会社のポリシーと文化の部分で大きく変わってしまう。
そんな人が多くなればなるだけ、
会社の肝心な部分が、徐々に壊れていくことになる。

 

しかし、勘違いの行動でたまに失敗すると、
ふと、まだ自分が出来ないのに出来ると勘違いしている事に気が付いて
幸運にも、元に戻れることがある。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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