谷 好通コラム

2024年04月25日(木曜日)

04.25. 41話 .成長への焦りが招いた初めての減益体験。

2015年に株式上場してから、常に事業が成長をする事を求められている圧力を感じ続けていた。

 

概念として、事業というものは世の中に対して有益な「価値」を提供することによって、その価値を必要とする人達からそれに対する対価を得て、その事業において消費する社会資本より大きな対価を得られれば、利益が出る。その利益が次なる事業展開の資本となって、さらなる大きな価値の提供と大きな利益を生み出すサイクルをすなわち「成長」と定義する。成長とは、常により大きな価値を生み出し続けることになるから、それがより多くの店舗をつくりだすことであったり、常に新しい商品(価値)を生み出しつつ、より多くの市場に拡げる事になる。

 

そんなどこかで習ったようなことをグルグル考えながら仕事をしていると、商売的な直観が鈍くなるのか、手堅い成長しかできなくなってしまっていた時期があった。そこを何とか脱出しようと、やみくもにKeePer LABOの新店をたくさん出そうとしていた時期があった。新店をたくさん出すには資金的にも、人員的にも負担が大きくなるので計画性を持ってやらなければならないのだが、とりあえず「数」を最優先して何か困ったら困った時でその時に解決すればいいとして「脇目も振らず闇雲に新店の数を追求する」と決めたのです。それが2018年のことです。

 

しかし「やみくもに・・」などという行動なんて、うまく行った試しがありません。しかし、2018年とりあえず今までの倍以上の16店舗と数だけは確保しましたが、その頃、KeePer LABOはまだそれほど知名度が高くなく、新店をオープンしてから1年間以上も不採算が続き、2年目からようやく黒字になるような状態でした。だから新店を、間を空けずに開ければ開けるほど赤字店の数が多くなって会社全体の収支にも負の影響が出てきたのです。、その結果、この2018年6月度は増収ではありましたが、会社始まって以来の”減益”に陥ってしまったのです。

 

上場したことで成長させなければという焦りが余計に出て、かえってマイナス成長とも言える初の減益を招いてしまったのは、その後の為の大きな学習となりました。

 

2018年の減益年に造られたKeePer LABO店の1つ。

 

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2024年04月24日(水曜日)

04.24. 40話. 2015年.東証マザーズに上場し、翌年、東証1部へ

KeePer技研株式会社は2015年2月に東証マザーズ市場に上場しています。

※この会社、元々の社名はアイ・タック技研株式会社でしたが、上場の前年9月に商品ブランドであるKeePerを社名にした方が良いということでKeePer技研株式会社に改名しています。

上場のきっかけは、2014年のはじめに東海東京証券の営業の方が飛び込みで来られて「この会社は株式市場に上場できるので、しませんか。」と色々なメリットを上げ、そのメリットの中の「社会的信用が増して”求人”がすごく楽になる。」という部分が気に入って上場することにした。

その当時のアイ・タック技研は技術認定店KeePer PRO SHOPが4,000店を越し、直営店も30店舗を越して毎年20%程度の成長を続けていた頃なので、常に人員募集に力を入れていなければならなかった。そこに「株式上場すると目立って応募してくる人が増える。」の言葉が強烈に魅力的であったのです。

 

そして、上場実現までの「証券会社からの審査」、「東証からの審査」は、手間と時間が必要で面倒だったが、元々、この会社は非常にシンプルな構造で、公私混同が一切ない明解な経営をしてきたので、コンプライアンス的に解決しなければならない問題や、変えなければならない所もほとんどなかった。そして経営実績もずっと増収増益で年間数億円の経常利益があったので、上場準備を始めてから1年足らずで東証マザーズ市場上場が実現したのです。さらに、翌年には東証一部に市場変更まで出来た。

上場して良かった事は、もちろん人の集まりが劇的に改善された事が一番。そして経営に関する物事をキチンと数値化して考えるようになった事と、機関投資家とのIRなどでのコミュニケーションで、客観的な指摘とアドバイスをたくさんもらう事で、自社の経営状態をいつも見直すことが出来るようになった事。

しかし、いつも成長圧力を自分自身に課すようになって営業姿勢が伸び伸びとしなくなり、売り上げの前年増加率はかえって少し鈍った。加えてキャピタルゲインが人を狂わせるのか、残念ながらストックオプションを受けていた幹部社員の何人かが会社を去って行った。残念ながら。

 

東証マザーズ上場の当日。

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2024年04月22日(月曜日)

04.22. 39話.ドイツから「東京は壊滅する、早く社員を愛知に集めろ。」

2011年.東日本大震災と巨大津波によって福島第一原発が危機状態に陥り、日本国中が事態の進捗を固唾を飲んで注目していた頃、ドイツSONAXのドクターピッチから私のPCに切実なメールが届いた「フクシマに破滅的な危機が迫っている。このままでは東京は壊滅する。一刻も早く社員を愛知に集めろ。」と。信頼するDr.ピッチからの切羽詰まったメールを私は軽く考えることは出来なかった。

日本政府は東京での大パニックを恐れて黙っているだけなのかもしれない。本当の情報がドイツには届いていて彼のメールが本当なのかもしれない。そんなことを思いながらも、しかし、私が大騒ぎをし始める訳にはいかない。間違っても、無くてもいい大パニックの発端になっては絶対にいけないから。しかし信頼するDr.ピッチのメールを無視できない。私は東京の社員全員(当時はまだ少なかった)にDr.ピッチからのメールを転送して、皆それぞれの判断と意思に任せる事と、皆を愛知に迎える用意はある事を伝えた。・・

約半数の社員とその家族が大府にやって来て本社の寮に分かれて泊った。それから何日ぐらいだったか憶えていないが、緊迫の事態を脱したことが報道されてから、皆、東京に帰って行った。あれは空騒ぎだったのかと思ったこともあったが、最近放送されたドキュメンタリーで、あの危機は、実は、Dr.ピッチの言ったとおりの重大かつ深刻な危機であった事を知った。

 

福島第一原発事故が末期的な危機を脱した後も、残留放射能で避難生活を強いられた人々が多かった時期、避難先での飲み水の放射能汚染の不安があると聞いて、その頃開発した逆浸透圧式・純水生成器「快洗ROⅡ」という機械が、放射能の除去性能が高いという事で5台、飯舘村に寄付してそのメンテナンスを何年も仙台営業所の澤田課長が続けたことがある。それを宣伝に使うことは決してしなかったが、澤田課長のレポートが切実で、素朴で、みんなが共感をもって楽しみに読んでいたことがある。

当時、福島に向かう東北自動車道はいつもこんな風に渋滞していた。(当時の写真)

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2024年04月22日(月曜日)

04.22. 38話 2008年のリーマンショック、むしろ、一番伸びた。

この会社は、設立以来一度も減収になった事が無い。みんなで必死に頑張って毎年売り上げを上げてきたという訳でもないが、いつも何か新しい事をやったり、新しい地域に新しい設備を造ったりとじっとしていなかったので、結果的にずっと伸び続けてきたという事だ。

しかし、一つ言える事はBtoCであれ、BtoBであれ、相手が使い続けたくなるように全てにおいて徹し、やった事が必ずリピートに繋がってきたから、一度も落ちることなく伸び続けてきたのだろうと思うのです。

しかも、不思議なことに世の中の景気、不景気にかかわらず伸びてきただけでなく、むしろ、不景気の時の方がよく伸びてきたという事です。

下のグラフは2015年に株式上場する前までの会社全体の売上総利益の推移です。

(この会社は「売上」ではなく、すべてを「売上総利益」で管理している。)

 

2008年、アメリカのリーマンブラザーズの破綻から始まった経済不況は日本国中に深刻に広がりましたが、KeePerはこの時にむしろ前年比150%近くに伸びているのです。

世の中が不景気で、本当は新車に買換えを予定していた人が、「もう一回だけ車検を受けてあと2年余分にこの車に乗ろう。」と今の車をリフレッシュの為にKeePerを多く施工していただいたものと想像されます。

それどころか、あの2011年の東日本大震災では、関東と東北のKeePer LABO直営店も相当期間休業し、KeePer PRO SHOPの皆さんも同様だったはずにもかかわらず、2011年の一年間ではKeePerは伸びているのです。

休業を余儀なくされた期間以外の売り上げが、休業期間のマイナス分以上にリーマンショックの時のようにプラスに伸びているからです。

KeePerは、文字通り「keep(守る・保つ)」為に頼りにされてきました。みんなが守りに入った時にこそ必要とされ、通常よりも大きく伸びてきたのです。

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2024年04月21日(日曜日)

04.21.山が美しくなる新緑の季節と、黄砂を待ち切れず落とす人たち。

今週の週末は、結局、全国的な雨にたたられて、さらに黄砂到来が終わり切らずに、

本格的な大ラッシュにまでは、

まだちょっと、なりませんでした。しかし、

昨日のLABO草加店1,363,047、岐阜店1,152,135円(他にも数店)とか、

今日のLABO郡山店1,223,590円とか、10店舗以上。

東京ど真ん中での100万円オーパー常連の店舗以外にも、

大台オーバーの店舗がちらほら出て来始めていて、

花粉と黄砂のシーズン明けの大ラッシュの兆しを感じされられます。

今日も遅掛けに日報を送ってくる店には、

そんな大台越しの店舗が混じっているのでしょう。

こんな店舗はフォトログを上げる時間もなく、全力で施工に集中しています。

 

今日は、小雨が降っていましたが、

愛知の山奥に新緑を見に行ってきました。

山桜が散り、続いて葉の新芽が開いて、

美しい新緑に山が覆われている様子は、とても美しくて大好きです。

咲く時期が一番遅い「八重桜」

この美しく白い小さな花は何の花でしょう。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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