谷 好通コラム

2016年05月30日(月曜日)

5.30.「テーゼ」×「アンチテーゼ」⇒「ジンテーゼ」

高校生の時に習った事で「ヘーゲルの弁証法的論理学」というのがありました。
難しいことはあまり憶えていません。
私なりの勝手な解釈です。

 

世の中に何らかの物事があることを、
あるいはその状態を、まず一つの「テーゼ」があるとします。
「テーゼ」が生まれれば、
必ずそれに反し、対抗する「アンチ(反)テーゼ」が発生します。
さそして当然、
「テーゼ」と「アンチテーゼ」の間には闘争が起きることになります。
しかし、その闘いの結果、
どちらかが勝って残るのではなく
「テーゼ」でもなく
「アンチテーゼ」でもない新しい「ジン(統合)テーゼ」が生まれて、
新しい物事が生まれます。
進化したのです。

 

このヘーゲルの弁証法的論理の繰り返しで
すべての世の中の”進化”と”歴史”が作られてきたという考え方です。

 

世の中は進化してきたが、それは、
「テーゼ」×(闘争)×「アンチテーゼ」⇒(統合)ジンテーゼであって、
「テーゼ」が勝ってそのまま残ることも、
「アンチテーゼ」が闘いに勝って「テーゼ」に変わって残ることもなく、
闘いの中から新しい「ジンテーゼ」が出来あがって、
つまり、テーゼからも、アンチテーゼからも変化して
歴史が進んでいく。

 

【会社の仕事も経営も、常に、変化し続ける】
つまり、進化とは、すなわち変化であって、
同じであり続ける歴史は無く、歴史は常に進化し、変化し続けることでもある。
「進化」とは「変化」のことでもある。
これは仕事にも言えることで、
会社の状況においても、経営においても、常に事態は進展し、変化し続ける。
一日として同じ仕事も経営もなく、常に変化し続ける。
だから、変化し続ける世の中の変化に、着いて行くことが出来る。

 

【変えることが出来るのは自分の思考・行動と未来だけ】
よく言われることで、
「他人の行動と過去は変えることが出来ない。
変えることが出来るのは自分の行動と未来だけ。」
つまり、
「自分が部下など他人の思考・行動を変えることが出来そうに思えるのは錯覚で、
自分が過去を変えられないことと同じように、決して変えられない。
自分が変えることが出来るのは、自分自身の思考・行動だけである。
自分が自分の未来を変える事が出来るのと同じように、変えられるのは自分だけ。」

 

【今の自分を変えるとは、今の自分の思考と行動をまず自己否定すること】
今の自分を変える事とは、
「テーゼ」×「アンチテーゼ」⇒「ジンテーゼ」のごとく、
今の自分=「テーゼ」に、
自分を否定する事(自己否定)=「アンチテーゼ」をぶつけ、
新しい自分の思考・行動=「ジンテーゼ」を作り出すこと=変化=進化。

 

自己否定が出来なければ、進化も変化もない。
まず”壊す”から始まる。(造反有理) (スクラップ&ビルド)

 

【自己否定とは、他人との「合意」に他ならない。】
「自己否定」と言うと、自分をけなしたり、自分を嫌悪する事のように聞こえるが、
実はそうではない。
人の意見に賛同したり、人の言っている事を理解して同意したりすることを、
「合意」(コンセンサス)と言います。
「合意」とは、ジンテーゼそのものであり、
自分の意見(テーゼ)×人の意見(アンチテーゼ)⇒合意(ジンテーゼ)
自分の意見と、
人の意見が、
議論と言う闘いを経て、
合意という、
自分の意見でもなく対抗する人の意見でもない新しい「意志」「意見」を生み出す。
その闘いはお互いに自己主張のぶつけ合いだが、
お互いに、お互いの意見と意志を受け入れ、
つまり、お互いに自己を否定して、双方とは違う「合意」を生み出す。
「合意」とは、
自己否定の要素と他人を受け入れる受容の要素が相まったものだ。
お互いがお互いを尊重すると、
人の意見を容易に受け入れるので一見イエスマンのように見えるが、
実は、合意の名人なのである。
どんどん進化し、変化できるコミュニケーションの名人でもある。

 

【「服従」とは、口先の同意と腹の中の反発の裏腹現象=「反発」と同義語】
服従する人は、口先だけで相手の言うことを肯定しても、
本当の自分の意志としての”腹の中”は、
自分が正しく、相手が間違っていると思っているので、
口先での肯定とは裏腹に、行動は否定的な行動を勝手に取る。裏切り的行為に近い。
服従と反発・反抗とは、
相手との合意を否定して、
自己否定を「自分は正しい」で拒否するもの。
「服従」とは、「反発」「反抗」の一種である。
合意を拒否し、他人を受容することなく、自己主張にこだわる。

 

【合意なぎ自己主張、自己防御は、「変化」「進化」の拒否】
議論で合意することなく、単なる自己主張を続ける人は、
自己否定をする必要を見失った人に違いない。
自己否定をして、今より進化し、変化する必要を見失い、
自らがより良くなる可能性を見失った人だ。
つまり、すでにその時点で、
自己完結をしてしまった人なのだろう。
もう、自分は完成して、進化も変化もしなくても良いと思ってしまった人だ。
頑なな自己主張とは、「進化」「変化」の拒否に他ならない。

 

【成功体験は、その人を止めてしまう最大の要因】
人間は小さい時から「成功体験」を積み重ねて成長するのか。
小さい時は「褒められて」育ち、良い子になるのかもしれない。
しかし、大人になったら、
ヘタに成功体験をすると、
それですべて良いと思ってしまって、
自己否定をしなくなり、それ以上の進化と変化を不用とし止まってしまうことがある。
低いレベルでそうなると低いレベルで成長は止まり、
幼稚な大人が出来る。
しかし、
ある程度高いレベルになってから、
ある程度のレベルの成功を体験すると、より強固に完結してしまい。
せっかくそこまで進化し、変化してきたのに、
中途半端にしかも頑固に完結してしまう。
しかも、その成功が他の人のおかげで、本当は自分が成功した訳ではない場合、
なおさら始末が悪い。

 

 

コミュニケーションの目的は「合意」であり、
弁証法的に自己否定としてのアンチテーゼでもあり、
しかもテーゼから進化してのジンテーゼなのだろう。



自己と他人との一つ一つの「合意」の積み重ねが「進化」を創る。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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