2016年05月03日(火曜日)
5.03.全日本チャンピオン矢部正選手が明かす、レジン2早業の秘密
去る4月12日、愛知県大府市のKeePer中央トレーニングセンターで、
2016年キーパー技術コンテストの全日本チャンピオン決定戦が開かれました。
2月から全国で開かれた予選が54回開催、
延べ2,000名が参加し、
その中から勝ち抜いた380名が14回開催の地区チャンピオン決定戦で闘いました。
ここでは14人の地区チャンピオンを輩出すると同時に、
全日本チャンピオン決定戦に進出する45名が選出され、
その45名が全日本チャンピオン決定戦の”準決勝”を闘い、
勝ち抜いた11名で、最後の”決勝”が闘われます。
決勝は、ガンメタAQUAを一人で一台全部施工します。
だから準決勝までとは仕事量がほぼ倍になり、余計に差が開くことになります。
決勝、
まず爆ツヤでの汚れ落としの作業。
これは作業の内容は採点対象になるが、時間はカウントされません。
その後のダイヤモンドキーパーケミカルの施行以降は
タイムが計測され、技術点の高い選手だけに、早い順に時間過点が加えられます。
KeePer技術コンテストの地区チャンピオン戦からの共通ルールです。
11台のAQUAに爆ツヤ後
時間計測が始まり、一斉にダイヤモンドキーパーケミカルの施行が始ります。
塗布と拭き上げの工程が終わると、
ボディの隙間に入った水滴を追い出すために、エアーガンを使うが、
ここで、誰が一番はじめにエアーガンを使うかがの一つ目の注目です。
今回は静岡代表の岡重の渡辺光選手が一番目でした。
渡辺光選手はこの大会にキーパー技術コンテストの選手生命を掛けています。
三回目のこの大会で出場を最後にするというのです。
彼が「シューシュッシュッ」とエアーガンの音を上げ始めると、
百人を超す観客からいっせいに「オーっ」と、声にもならぬ声が上がった。
さのあと、大山選手、岩佐選手などが後を追い
すぐに全員がエアーガンを使い始めた。
あとで、矢部選手は、自分で「7番目だった」と言っていました。
次はレジン2の工程で、
この工程は、特にスピードだけではなく正確な仕上がりが求められる。
上手いは速いとは言うが、
速けりゃいいというものではありません。
お客様にとって、スピードも、完全な仕上がりがあって初めて意味を持つもので、
完全な商品品質があってこそ”速さ”に意味があるのです。
だからこそ、みんな慎重にレジン2の作業を進めます。
それでも2,000人から勝ち抜いてきた11人の選手達、誰もが速い。
トップでレジン2を終わらせるのは大山選手か?渡辺選手か?
そう思いながら、集中して見ていたら、
不意に、私がいる場所から一番遠く離れた選手が「終わりましたっ。」と言った。
私は近くいたスタッフに「えっ?誰?」と聞く、
スタッフ「宇佐美さんの矢部選手です。」
矢部選手はノーマークでした。
小柄で、特に目立った動きがある訳ではなく、
いつも上位にいるのですが、飛び抜けてはこなかった存在だったのです。
最終戦の、最後の「終わりました。」で、初めて突出しました。
後日、矢部選手はこう言っています。
矢部 正(やべ まさし)選手
「キーパー技術コンテストに出場し、
今までくじ引きで1班目しか引いたことがなく、
他の選手の施工を見てからの施工がなかったのですが、
チャンピオン決定戦の準決勝戦では、初めて2班目を引き、
他の選手の施工を見ることができました。
印象に残っているのは大山選手。手数も少なく動きは早くはないですが、
実際の作業は速かったです。うまいです。
自分の出番になり、よーいスタートの合図で始まり、たんたんと施工しました。
他の方の施工を見てからでしたので、時間を意識し過ぎてしまいましたが、
普段とは違い、慣れていない施工になってしまうので、
いつも現場で施工している通りに作業するのが一番だと、途中で気づきました。
集中して作業していましたので、
作業が終了し「おわりました」と言った際に回りを見たら
一番初めに作業が終了したので、
「あれ?何故まだ皆さん作業が終了していないのだろう」と、思いました。
一番早く、すべての作業を終えて、
矢部選手のタイムは【43分03秒!】
昨年の技術コンテストの最終戦で一番速かったタイムが51分台でしたので、
そのタイムを8分以上の上回る凄まじく速いタイムでした。
しかし私は一瞬、矢部選手が速いだけで、
品質の面で雑な作業をしているのではないかと懸念を持ちました。
しかし四人の審査員による厳密な品質確認でその懸念は一掃されました。
レジンの拭き残しが一か所、アンテナの部分にほんのわずかあっただけで、完璧!
驚異的なスピードだけではなく完璧とも言える品質を造り出していました。
速かったのは、レジン2の過程に入ってからです。
突然、エンジンにターボチャージャーがかかったように、
回転が上がりスピードアップして、他の選手を引き離したのです。
なぜ、レジン2の作業があんなに速かったのか、
その秘密を、矢部選手が全国のみなさんの為に公開してくれました。
以下は矢部選手の言葉を、KeePer技研の阿比留が書きとめたものです。
矢部選手の話が実に上手くまとまっていたので、そのまま転記させていただきます。
矢部 正選手
レジン施工は、スポンジにケミカルをしっかり2往復塗布します。
そうすると、まったく力を入れずに楽に速く塗ることが出来ます。
ケミカルの量がポイントです。
少ないとスポンジが擦れて力が必要になるからです。
目でスポンジ(手元)を見るのもポイントです。
そうする事によりスポンジの動きが見え無駄な動きが減ります。
スポンジを押さえつけずに軽く持ってすべらせます。
もう一回、スポンジにレジン2をスプレーして、全体に塗り広げます。
スポンジを押さえないポイントは、
押さえつけて施工するとクロスでの拭取りがまったく違います。
力を入れて押さえつけて施工するとクロスの拭取りが重たいです。
これは、本当に違います。
また、拭き取りが軽くなるので、1回目は力を抜いてサッと拭く。
ここで力を抜いて拭くから簡単に拭き取れます。
2、3回目はしっかり拭く。
これで、残さずしっかり拭き取れますので、
最終仕上げも、仕上げ”作業”ではなく、仕上げ”確認”で済み、
時間の短縮もできます。
目で良く見て作業の中で拭き上げを完結させるのがポイントです。
ケミカルを2往復しっかり塗布しているので、
力を抜いて表面を塗るだけでキチンと定着してくれます。
今回はキレイな車だったのもあり、3面拭きで対応できた。
これは、車両の状態によって4面拭きと分けています。
塗装状態が良いと色が濃い車でも3面拭きで問題なく拭き上がります。
コンテストに向けての技術練習は、上達会を1回実施したのみでした。
後は、社内コンテストや過去に実施した上達会で学んだ事を日々の施工で、
たんたんと施工し続けました。
千葉茨城販売支店は、全国の宇佐美の中でも売上げが良い支店です。
元から販売が強い支店ではあったがゆえに、どうしても売りに走ってしまっていた。
取り組みから5年が経ち、その間は獲得するのが目的になっていましたが、
徐々に「技術力」が重要と気づいてきました。
今は、社内コンテストなどで支店全体の技術力を上げることと、
「売らない」をテーマに日々活動しています。
売ってしまうとダメです。リピートが少ないです。
1年間、「売らない」をテーマに活動してきましたので、これから2年目に入ります。
ここからが楽しみです。
やっぱり技術が一番です。研修、上達会で技術力を磨き続けていきます。
※レジン2作業のポイント
1. ケミカルを2往復しっかりつける。
2. スポンジを押さえつけない。
3. 手数の意識(無駄な作業をしない)
4. 顔の位置(目線)を、先を見ずに塗っているスポンジ(手元)を見る。
クロスも一緒の目線。
5. クロスは、親指から小指までの間を意識しながら拭く。
6. 一回目は力を抜いて軽く拭く
7. 2回目、3回目は、しっかりと拭く。仕上げる。
そうすると無駄なく拭ける。
以上です。
株式会社 東日本宇佐美 千葉茨城販売支店 16号市原東SS
カーコーティング技術資格一級 オイルマスター・タイヤアドバイザー
矢部 正
MASASHI YABE
実際に、矢部選手にレジン2作業をやってもらい、
じっくりと見せてもらいましたが、見た事がないスピードで、
「目にも止まらぬ速さ」とはこのことだと思いました。
上記の作業ポイントは確かに正しく、
今後、施工マニュアルにしっかりと反映させていきたいと思います。
しかし、
矢部選手の並外れた集中力が、
この一つ一つの作業工程を一瞬の途切れもなく、完璧な仕上がりを造りつつ、
目にも止まらぬ速さで進み、あっという間に終わらせるのでしょう。
やっている過程を解説してもらってから見ても、
「目にも止まらぬ・・・」なのです。
これは、矢部選手が数知れないほど多くの台数のKeePerを施工していて、
その一台一台に、並外れた集中力を発揮している結果に違いないと思います。
少なからず感動しました。
1.理にかなった動きを、2.並外れた集中力で、3.一台一台に確実に実現する。