谷 好通コラム

2015年08月19日(水曜日)

8.19.「質」は「数」を生み出すが、「数」は「質」を生み出さない

商売の売上げとは、単価×数量=売上高なので、
単価を造り出すのが「質」であり、
数量は多ければ多いほど売り上げが上がるので、
商売とは「数」を追い求めるのが本質であると思う場合が多く、普通です。
特に、商品は製造メーカーが造って、
自分の所はそれを販売しているだけの「物販業」では、
そういう傾向が強くあります。
こういう場合、
出来るだけ良い物を売ることは当然で、
その良い製品、商品の数量を売るための最も有効な手段は”安く”です。
商品の付加価値が一定で、
良い物を出来るだけ安く、便利に、そして楽しく、
店舗には出来るだけ大きな看板と、愛想のいい店員、
チラシやCMなどによって、いかに知らせるか。

 

しかし、我々のようなサービス業は、
こうは行きません。
サービス業とは
コーティング、洗車もそうですが、
美容院、床屋、マッサージ、医者、テーマパークなどなど
サービス業の場合、
その”店で付加価値を造り出す”ので、
とことん「質」の良さを追い求めて行かなければなりません。
「質」が良いことが最大の差別化であり、
ほぼ唯一の差別化です。
お客様が、どこで、目的のサービスを受けるかを決める基準は、
「質」として良いかどうかであり、少なくとも看板の大きさではありません。
サービス商品としての「質」が良いかどうかで、買うかどうかを決めます。
質が良さそうであれば「買い」、
買ってみて、思った通り良かったり、
思っていたより良ければ、
買い続け、そのリピートが重なることによって
そのサービス商品は結果としてたくさんの「数」が売れます。
「質」が「数」を生んだのです。
「質」を追求すると、結果として「数」を生み出します。

 

しかし、逆に、
「質」の追及を忘れて、「数」を売ることに心が行くと、
看板をでかくしたり、
チラシをたくさん折り込んだり、
数を売るための「宣伝」を一生懸命やります。
「数」を売るために店舗数を増やすことも有効です。

 

店頭でも、一人のお客様にできるだけたくさんの数を買ってもらおうと、
お勧めを強くしたり、脅したり、空かしたり、
とにかくたくさん数を買ってもらおうとします。
すると、店舗スタッフの気持ちが、
お客様に”売る”ことに行ってしまって、
「質」を高い商品を造り出す意識が薄くなって、
結果として「質」が落ちて、つまり付加価値が落ちて、割高になって、
それでもスタッフは一生懸命に数を売ろうとするので、客は嫌になってきます。
もう来ません。
リピートしない店は、がらんとして、新しいお客様も入ってきません。
「数」を追求すると「質」が落ち、
お客様がリピートして来ないことによって、
「数」が売れなくなります。

 

「数」は「質」を生み出さず、
むしろ「数」の追及は「数」を落とします。

 

簡単です。
たぶんこれは物販業でも同じことで、、
売る商品の価格がいくら安くても、
質が悪ければ買わないので、いくら安くしても買いません。

 

商売とは、
それがとりわけサービス業ならば顕著ですが、
商売の勝負は、
単純に「質」にかかっています。
お客様に提供するサービスの質。
お客様に提供する商品の質。

 

大量に「数」を売るCOSTOCOが、
商品の「良さ」「質」で勝負していることで、
「数」の扇動を掻き立てている構造には、意表を突かれましたが、
いずれにしても、商売は「質」です。そこに行きつきます。

 

この恐ろしいまでに単純な方程式は、
「物販」でも成り立つことで、
とりわけ我々のようなサービス業では、際立って成立します。

 

「質」は「数」を生み出すが、「数」は「質」を生み出すことはない。

 

商売の成功と持続の方法とは意外に単純で、
ただ、「質の追求と維持」と言えるのかもしれません。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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