谷 好通コラム

2015年05月19日(火曜日)

5.19.その① 行列が出来る「とんこつラーメン屋」から行列が消えた

ある2軒の「行列が出来ていたラーメン屋」から行列が消えています。
最近、その2軒のラーメン屋に行ってみました。
私は行列に並ぶのがものすごく苦手で、
ラーメンを食べるために行列するなんて絶対にしませんでした。
だから、この2軒のラーメン屋にも行列があった頃は行きませんでしたが、
それが消えたので、行く気になったのです。

 

その①「とんこつラーメン屋」

 

一軒は典型的な九州とんこつ系のラーメン屋で、
本格的なとんこつラーメンが珍しい愛知では、
ラーメン好きが並んだとしても不思議ではありません。
開店当初から結構な行列が出来ていて目立っていました。
並んでいるのは店の外です。
小さな椅子が並べてあるだけで、
寒い時も吹きさらしで並んでいます。
雨が降ったらみんな傘を差して、暑くても我慢して並んでいました。
そんなにしてまで何故並んでいるのか、
並んでいる人の気持ちが解かりませんでした。

 

でもいつも思ったのは、
店の人たちが、並んでいてくれる人たちのことをもっと考えればいいのに、
寒さ暑さをカバーするような設備を造ればいいのに、ということです。
しかし、
開店してから3年後くらいに、
店の前に店の外に並ぶ人のための
風除け、雨除けのような小さな屋根と壁が造られました。
しかし、
この小屋で待っている人達はあまりいません。
ラーメン屋そのものはまだ賑わっているようですが、
行列が長く出来るようなことはなくなりました。

 

今考えると、あの小屋は、
並んでいる人達の為に作られたのではなくて、
並ぶ人たちが減ってきたので、
並ぶ人の環境をちょっとは良くすれば、
また長い行列が出来るのではないかと期待して造ったのではないでしょうか。
しかし、残念ながら、
小屋を造っても、
並ぶ人のための環境を改善しても、行列は長くなりませんでした。
今では、その小屋に待つ人もほとんどいません。

 

そんな頃に、行列嫌いの私は言ってみました。
私は九州によく行ってとんこつラーメンはよく食べていたので、
本格的なとんこつラーメンは決して嫌いではありません。
しかし、店の中でラーメンを注文をして待っている時間に、
この店がだんだん暇になってきた原因が判りました。

 

店員のおばさんの声がでかすぎるのです。
それも頭の芯に響くような良く通る甲高い声で、
「いらっしゃいませー」「ありがとうございマース」
「とんこつラーメン、カタ麺で1つご注文いただきましたー。」
みなさんで「ありがとうございまーす。」
店の中が、
甲高い頭の芯に響き渡るような、
馬鹿でかい声で満たされているのです。

 

店側からすると、
これは活気であり、元気の印かもしれませんが、
私には、頭の芯に響く、馬鹿でかい、声の暴力です。

 

私は、この店のラーメンは普通に好きです。
でもあの声の暴力を我慢してまで、あのラーメンを食べに行く気になりません。

 

でも、店主は、きっと思っているでしょう。
長い行列が出来ていた頃は、
「この行列が客を呼ぶのだから、風晒しでも道路に見える所で我慢してもらおう。」
その長い行列がだんだん短くなってきたら、
「やっぱり、寒すぎたか。風よけ、雨除けぐらい造ろうか。」
それでも、行列が短くなってきた
「・・・・」
もう、きっと分らなくなっています。

 

あのラーメン屋の致命的なところは、
店主が「活気」だと思っている「でかすぎる声」です。
それは、この会社のみんなも言っています。
「あのデカい声を耳元で出されると気が散ってラーメンの味も判らなくなる。」
しかし、
売る側からしか店が見えない店主には、
あの馬鹿でかい声も厨房から聞けば活気でしかなく、
なぜ行列が消えたのか、最後まで気が付かないでしょう。

 

残念です。
お客様に、ちょっと聞けば、すぐわかるのに。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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