谷 好通コラム

2013年07月24日(水曜日)

7.24.議論し戦うことは、弁証法的に進化すること

中学校の倫理社会の授業で、
ヘーゲルの弁証法とかいうものを習ったことがある。
私の頼りない記憶では、
「一つの状況とか力(テーゼ)」が存在すれば、
必ず相反する状況を求める力(アンチテーゼ)」が発生して、
この相対する二つの力は当然のごとく闘うが、
その闘いは、どちらが一方的に勝つこともなく、
「新しい状態、統合された力(ジンテーゼ)」を生みだすにすぎない。
しかし、
ジンテーゼが新たに出来上がると、
同時にそれに反するアンチテーゼも生まれて、
新たな闘いが運命的に始まる。
この絶え間ない闘いが、歴史の進化であり、人類の歴史そのものである。
・・・・・
というような論理であったような記憶がある。
でも、試験で「ヘーゲルの弁証法とは」という問題が出たら、
この答えでは、×しかもらえないでしょう。

 

いい加減な記憶でしかないし、
しっかりと勉強をしたこともないので、
わざわざヘーゲルの弁証法なんて持ち出すまでもありませんが、

 

実生活の中で、
【テーゼの存在、アンチテーゼの発生、闘い、ジンテーゼの誕生。】
こんなサイクルで考えると理解しやすいことが多いと思ったのです。

 

例えば「闘う」を「議論し戦う」に置き換えると面白いです。

 

自分が何かに対して意見(A)を持てば、
その意見に反対の意見(B)を持つ人(Zさん)が必ず出ます。
意見(A)が正しいのか、(B)が正しいのか、
お互いに議論して(闘って)、
意見(A)を持つ私は、
(Zさん)の意見(B)に同感できる部分があって、
自分の意見(A)の一部あるいはかなりの部分を変えます。
逆に、
意見(B)の(Zさん)も、
私と議論をして(闘って)いく中で、
私の意見(A)に賛同してくれる部分があって、
(Zさん)さんは意見(B)を修正しています。

 

こんな場合、
私の意見(A)と、
(Zさん)の 意見(B)は、お互いを理解して、
意見(A)でもない、意見(B)でもない、
二人の議論(闘い)を通じて、
双方が歩み寄った、共通の意見(C)が生まれます。

 

この意見(C)は、
お互いがお互いの意見を受け入れて昇華させた意見なので、
たくさんの人に賛同を受けやすい意見に進化しているはずです。

 

しかし、
意見(C)が生まれたと同時に、
きっとその意見に反対する意見(D)を持った人(Yさん)が現れます。
そこからまた議論の闘いが始まるわけです。
でも、そのうち、意見(C)と、意見(D)との議論を通じて、
更なる意見(E)が生まれ出て、また一歩進化するのでしょう。

 

これはまさしく弁証法な進化そのものですね。

 

議論は闘いですが、
どちらかに一方的な勝ちがある訳ではありません。
口喧嘩ならば、
声が大きい方か、早口か、かん高い声が勝ちですが、
それは相手がイヤになっただけであって、本当に勝った訳ではありません。

 

真剣な論理性を持った議論の闘いは、
そのどちらかに一方的な勝ちはなく、だから一方的な負けもありません。
お互いがお互いの意見を真剣に聞き、
受け入れた上で、自分の意見を相手の意見を踏まえて話します。
自分の意見が100%正しいなんて事はないと、お互いに知っているので、
相手も自分の意見を受け入れます。
すると、最初に言い張っていた意見の違いが、次第になくなっていって、
二人ともがなるほどと思うような新しい結論が出来上がります。

 

だから、いい議論とは、実に弁証法的だと思うのです。

 

議論は口頭でも、メールの上でも出来ます。
私達の会社では、
会社人全部、あるいはある一部のセクションの人、
いずれにしてもたくさんの人に、
自分の考えた意見、作品、考え方を
メーリングリストで呼びかけて、
みんなから意見を求めることをよくやります。
ダザイナーも、多くの人に使ってもらうもののデザインなどを
みんなに送って、みんなから意見をもらっていることも多くあります。

 

みんなの意見をもらうこと。
真剣に議論を戦わせること。
相手の意見を受け入れてしまうことが、
議論の相手と共に、
その議論を進化に結びつける、役に立つような議論にする事になる。

 

 

それに対して、何の進化もないのが、不毛な服従であり、命令です。
これについては長くなりそうなので、またあとで書きます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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