2012年11月29日(木曜日)
11.29.人を黙らせる圧倒的な気だるい空気。何とか食堂
今日は一日中本社事務所にいた。
昼ごはんを四人で食べに行ったのだが、
どこへ何を食べに行くのかを自分が決めるのが億劫な気分だったので、
適当に道端にある食堂で食べた。
看板にはお食事処、何とか食堂という小さな店で、「営業中」とあった。
とても小さな店だ。
店に入ると主人らしいおじさんが、
顔の筋肉を一つも動かさず、ボソッと「いらっしゃい」。
中は居酒屋風、5人くらいのカウンターと4人がけのイス席が一つ。
お客さんは誰もいない。
私達は当然、4人がけのイス席に座る。
メニューは「何とかランチ」というのが3種類と、
親子丼、カツ丼など数種類。
若い子達三人はフライものが付いた「うどんランチ」と「何とかランチ」、
私は親子丼。
私は内心、
「状況を読めんやつらだなぁ、
こういう店でフライものを注文すれば、
フライ鍋の油を冷えきった状態から温め始めるに決まっているから、
出来上がりが遅いに決まるじゃん。
こういう場合は”親子丼”なんだよな。・・・」なんて意味も無く思った。
狭い食堂の中のたった一つのテーブルで、
4人が黙って待っている。
隅っこに置いてある小さなテレビが、
民法のグルメ番組をやっているのを4人が黙って眺めている。
誰も話そうとはしない。
けだるく、話をするのが面倒くさくなるように空気が漂って、
みんな黙っている。
ゆうに20分くらい経っただろうか。
頼んだものが出てくるのはやはり圧倒的に遅かった。
しかし、フライものではなくても遅かったかもしれない。
何を頼んでもたぶん遅くにしか出てこない空気が、
あの食堂にはあった。
みんな黙って、でもけっこう急いで黙々と食べる。
食べ終わって、お勘定をして、みんな黙って食堂を出る。
車に乗っても、みんな黙っている。
あの狭い、雑然としていて、無表情な
みんなを黙らせてしまうあの空気は、人の精気を吸い取る圧倒的な力があった。
何がそうなのかは判らないが、
あの店に二度と行くことはないだろう。
あるいは行こうと思っても、あの店を探し出すことは出来ないかもしれない。
魔法のような食堂であった。
あるいは、今日は、私自身が、
みんなを黙らせる重い空気を発散していたのかもしれない。
たぶん、そっちかもしれない。
久しぶりに予定が決まっている仕事が午後から無い一日だったのです。
朝会社に出てきても決まった予定を立てていないような人が、たまにいるが、
そんな人はきっと、仕事がつまらないだろうな。と思う。