谷 好通コラム

2012年11月19日(月曜日)

11.19.超高速マネージメント

昨日レースが終わって御殿場から名古屋に帰ったのは夜10時。
今は名古屋から東京に向かう新幹線の中です。
今日はキーパープロショップ研修会の東京会場なのです。

 

昨日御殿場にいたのだから、そのまま東京に行けば良さそうに思えますが、
実際には御殿場から東京へ行くのも、
名古屋に帰るのも時間的には大して変わりません。

 

日曜日に東京都内に向かうのは、
高速道路が恐ろしく渋滞すると聞いているので、
私はまだ一度もやったことがありませんが、
ほぼ同時に御殿場を出た東京組みと名古屋組の帰りつく時刻は、
たいてい名古屋組が早いことの方が多いのです。
だから、昨日は躊躇することなく名古屋に帰って、
翌日の今、新幹線で東京に向かっているわけです。
交通費は余分にかかりますが、
東京での宿泊費を考えると費用的にはまったく変わりません。
それに何より家で寝ることができます。

 

こんな簡単な判断でも、
進んでいく状況の中で、
どちらにするのかの合理的に判断をするのは、なかなか難しいものです。
そんなことを今回、レース中にサインガードに座らせてもらって
改めて痛感しました。

 

スタートした車がヘアピン前で#1に後ろから接触されて、
重要なエアロパーツをもぎ取られたことを、
ピットの小さなテレビを見ていて瞬時に見分け、
(スタート時は危険なのでサインガードにいられないので)
その後の走りをサインガードに戻ったモニターで見ながら、
コースのいくつかの区間(セクター)タイムを見、
どんなコースのどの部分で遅くなっているかで、
車の状態の状態を判断して、
ドライバーの車内のけたたましい雑音交じりの言葉を聞き分け、
瞬時に判断して、
車をピットに入れるか、そのまま走らせるか、
どのように走らせるかを決め、
ドライバーとピットに指示を出す。
車を熟知し、コースを熟知して、ドライバーの心理も理解して、
他チームとの駆け引きも考え、車やタイヤの状況を判断し、
どのように進めれば、車が一番前に進められるのかを決断する。

 

ものすごくたくさんの要素を、
進行形の中で把握して、判断し、決断する。
これはある意味、経営と同じようなことだなぁと思いました。

 

しかしレースの場合は、
ものすごく速いペースで進行する現場の中で、
それらが持つ複雑かつ多くの要素を瞬時に把握して、
先を予測し、判断して、即決断、実行と、
すべてのテンポが恐ろしく速いということでしょう。

 

実際に監督役の橋本氏とエンジニアの溝田さん、
チーフメカニック米林さんたちとサインガードにいて、
ドライバーとメカニックへの無線のヘッドギヤーを被らせてもらい、
レースの進行を目の当たりに見聞きすると、
最高峰のレースとは、
超高速マネージメントによって進行していることがよく分かりました。
と言っても、
その場で理解できたわけではなく、
レースが終わってから色々と話を聞き、レースの報告レポートを読んで、
「あれはこういうことだったのか」とやっと理解できたということです。

 

レースとは非常に特殊であり、特異な世界ですが、
少しずつ理解できてきたような気がします。
以前より少しは分かってきた上で、感動も大きくなってきたような気がします。

 

まだそんな気がするだけなのかもしれませんが。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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