2012年11月15日(木曜日)
11.15.”新鮮な火山灰”で、もう一度やり直しです
鹿児島は、桜島の火山灰が今もひどい状態です。
1年半前に桜島南岳が大爆発を起こしてから、
いまだ大量の火山灰が噴出され、しばらくは灰が降り続くようです。
鹿児島会場での研修会の途中、休憩中に
地元のキーパープロシッョプのスタッフの方から質問を受けました。
「火山灰のコーティングに対する影響はどうなんでしょうか。
ドカ灰が降った後、どうもクリスタルキーパー効果の落ちが早いようです。」
実は、コーティングに対する火山灰の影響の調査は去年行っていました。
昨年のキーパープロショップ研修会も、
今年と同じ会場で行ったのですが、
その時は、まさにドカ灰が降ったあとで、
今日よりもすごい量の火山灰が会場の駐車場にあったので、
駐車場に掃き寄せられた火山灰をコンビニ袋に入れて持ち帰り、
クリスタルキーパーを塗布したテストピースで実験を行ったのです。
その時の結果は、意外にも、
『火山灰の影響はほとんど出ない。』だったのです。
だから、そのことはもう私もすっかり忘れていたのですが、
今日の質問でまた思い出しました。
そこで、
「それが、ほとんど影響なし。という結果だったのですよ。」
と、お答えしたところ、
地元の方から、
「それは新鮮な火山灰じゃなかったんじゃないですか?」と言われ、
「火山灰に新鮮とか、新鮮じゃないとか、
鮮度はないんじゃないだろうか・・」
と思ったのですが、
はた、と気がつきました。
火山灰が降った後に、雨が降れば、
火山灰の表面についた成分が、ある程度洗い流されるわけで、
私が去年持ち帰った火山灰は、
ひょっとしたら雨で洗われた後の火山灰だったのかもしれません。
そういう意味で”新鮮ではなかった”のかもしれません。
失敗でした。
火山灰には一般的に硫化物が付着している場合が多く、
それが容易に水に溶け、硫酸になります。
だから、車の上に降りつもった桜島の火山灰に
硫化化合物が濃厚に付着していれば、
雨が降ったときに硫酸が生成されて、
塗装面及びコーティング剤などを侵食してもおかしくありません。
しかし、桜島の火山灰によって、
街のあちらこちらに硫酸で酸化された錆が溢れているわけでもなく、
火山灰を排除する人の手が火山灰に接触した水でやけどをした話も聞きません。
硫酸が発生していたとしても、ごく薄いものでしょう。
今、環境問題の一つになっている酸性雨程度かそれ以下ではないでしょうか。
だから、雨にサッと洗われるだけで
採集した火山灰を水に分散させても、
酸性度をほとんど示さない程度になってしまうのかもしれません。
しかし、鹿児島空港のロビーで飛行機の時間を待っていた時、
たまたま待合室のテレビに火山灰のニュースの中が映っていて、
車の塗装とメッキ部分に対する影響を調べている様子が流れていました。
その中で、
屋外に5年間、野天で暴露されていたメッキのフロントグリルに、
針で刺したような”点錆”が発生している場面がありました。
5年間の野天暴露での点錆ならば、
特に火山灰の影響が劇的に深刻であることはなさそうかなと思いました。
しかし塗装に対する影響では、
この火山灰の実験環境で2年暴露したものは、
火山灰のない地域での同様の環境で5年暴露したものに匹敵するとありました。
この結果はちょっと捨て置けません。
もちろん、ずっと火山灰が降り積もる環境に置いてあった訳なので
火山灰は”新鮮”です。
しかし、鹿児島では火山灰の汚れを嫌って「洗車」の頻度が高いので、
この火山灰環境での暴露実験と、実際の自動車の使用状況とは
かなり違うはずです。
・・・・・・
とか、色々と考えがめぐって、
もう一度、テストをやり直すべしと結論しました。
雨に洗われる前の“新鮮な火山灰”で、もう一度やり直しです。
鹿児島会場の建物のテラスに溜まっていた
多分雨に洗われた新鮮ではない火山灰。
夕暮れの中、はるかに見えた火山灰を吐き続ける桜島。
空港に急ぎます。