谷 好通コラム

2012年05月31日(木曜日)

聞いて、ものを言う部下と上司

必ずしも、
部下の言うことより、上司の言うことが正しい訳ではない。
しかし当然のことだが、
上司とは会社の信託を受けて、
ある役割を持った部署の責任者を務めているわけだから、
能力的、経験と知識などにおいても、
総じて、上司が部下を上回っていることは間違いない。
だかといって、
部下は上司に隷属するがごとくに物言わず服従していればいい、のではない。
服従は、服従であって、
隷属的服従は学習をほとんど伴わないので、
少なくとも私は、
部下が上司に服従することを、良い事とはまったく思っていない。

 

部下は部下として、上司に敬意を評しつつも、
自分の意見を遠慮なくどんどん言うべきであり、
自分意見を言うことによって、
それに対する上司の意見ももらえるので、
自分の意見のどこが間違いであり、正しいのかが理解できて、
その機会を活かし、自分の能力を上げる学習が出来たことになる。

 

逆を言えば、
部下に物言わぬ服従を求める上司は、
部下の能力を上げる機会を自ら捨てていることになる。

 

さらにもう一つ逆を言えば、
求めてもいないのに、部下に物言わぬ服従をされてしまうと、
上司は部下に学習させることが出来なくなってしまう。

 

 

そして、本当はもっと大切なことがある。
部下に服従を求める上司は、
上司自らの成長をも妨げていることになる。
前述したように
「能力的、経験と知識などにおいても、
総じて、上司が部下を上回っていることは間違いない。」なのだが、
上司になった時点で能力として完全になったわけでは決してない。
もちろん、その上司には、そのまた一つ上の上司がいるわけなので、
上の上司から教えてもらえばいい訳なのだが、
実は、上司たるものは、部下から学習することが非常に多い。

 

部下は上司よりも総合してみれば能力的にまだ低いかもしれないが、
自分とは違った人生を歩んできたわけであるし、
自分とは違った見方、考え方、価値観を持っているのだから、
自分の見方や考え方では見出せなかった結論を持っているのが普通で、
議論していると
「あっそうか、それは確かにそうだなぁ、君の意見が合っているよ。」
となる場面がしょっちゅうある。

 

部下の意見の中に自分の経験と見識では思いつかないような名案もある。
部下の意見を聞くことによって、
上司も学習し、成長する事は日常的にある。

 

「ものを言う消費者が、会社を育てる」と言われるが、
「ものを言う部下が、上司を育て会社を育てる」と言うこともあるのだろう。

 

しかし、ものを言うということだけでは役に立たない。
自分の好き勝手な、自分のための意見は、
多くの場合、自分の損得のため、
自分の意見を通したいがためだけで言われるので、
それは上司のためにも、仲間たちのためにも、会社のためにも、
何のためにもなることはない。ただの我がままだ。

 

仕事の目的のために、つまりお客様のため、みんなのために、
ものを言うことが、
上司を育て、会社を育てることになる。

 

その見分け方は簡単。
仕事のためとか、みんなのためにものを言える人とは、
キチンと人の意見を聞くことが出来る人だと思う。

 

我を通したい人は、人の意見をキチンと聞くことはない。
自分のためだけを考える人は、人の意見など興味がないので、
人の言うことなど聞かずに、
自分に都合のいい、自分の得になるようなことだけを言う。

 

これは上司でも部下でも一緒で、
部下の言うことを聞かない上司は、
部下を育てられないし、自分も成長しない。

 

人の言うことを聞けない部下は、
上司の言うことも聞かないので、
ものを言っても役に立たないので、
上司にも聞いてもらえず、自分も成長しない。
上司も部下から得ることなく、成長も進化もしない。

 

逆に、上司に服従するばかりで、
ものを言わない部下、
あるいは服従ばかりを求める上司は、
お互いに与えることも、自分が得るべき学習もできないので、
上司も部下も成長しない。

 

 

あるべきは、
上司は部下の言うことをよく聞き、
部下は上司にものをいい、
部下は上司の言うことをよく聞き、
上司は部下によくものを言う。ことか。

 

先に聞くことから始まり、
お互いに、相手のために、みんなのために、仕事のために、
つまりお客様のためにものを言う。ことでもある。

 

ここまで書いてきて、
・・・・・
我、反省する事ばかりである。

 

仕事のために、上司・部下にキチンとものを言う人たち。

 

 

この人は本当に聞き、キチンと言う。

 

 

言うこと多し、聞くこと少なし。反省すべし。

 

 

撮影の間にお車をクリスタルキーパーで奇麗にして差し上げたら、
体中で喜びを言ってくれた方。

 

 

「聞く力」元祖。
阿川佐和子さん。
うちのスタッフがインタビューしていたら、
「聞く力」を発揮され、いつの間にか逆にインタビューされていた。
すごくチャーミングな女性でした。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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