2011年10月31日(月曜日)
2903. 0.75×0.75×0.75×0.75×0.75=0.237
大王製紙の元会長が106億円を不正に会社から借り受けていた事件のニュースが、
テレビのニュースやワイドショーをにぎわしています。
借り受けているといっても、
その実態は使い込み、あるいは横領のようなもののようですが、
その巨額の金の使い道がマカオのカジノでのギャンブルであったということには、
愚か過ぎて、いささか、げんなりします。
ギャンブルとはその仕組み自体が、
99%以上の確率で胴元が勝つ仕組みになっているのです。
ギャンブルを主催する側の
「収入」は、客が賭けた「賭け金」のみ。
「支出」は、
ギャンブルを行なうための「施設費」「維持費」、
人件費、広告費、水道高熱などの「運営費」、
将来の施設改善のための「積立金」、
賭け客に戻す「配当金」、
そして主催者側の「利益」などです。
「賭け金」-「配当金」は、賭博の言葉を使えば「胴元のテラ銭」です、
収入はギャンブルの客が賭けた「賭け金」のみです。
そこから運営費、積み立て金、使われますので、
賭け金を払ったギャンブル客に戻される「配当金」は、
賭け金を超えることは絶対にあり得ず、むしろ賭け金を大きく下回ります。
これを配当率と呼び、100%を超えることは絶対にありません。
[以下、インターネットから「配当率」で調べると]
「競馬をはじめ公営ギャンブルの配当率は、
いずれも関係法が約七五%となるよう定めている。
競馬の単勝、複勝は九一年三月から特別給付金名目で五%上乗せされ
配当率八〇%となったが、売り上げの七割以上を占める連勝複式は
馬券代の四分の一が天引きされているわけだ。
この二五%のうち一〇%は国庫納付金として政府の畜産振興事業などに回され、
残り一五%をJRAがレースの賞金や
競馬場の改修、場外馬券売り場の開設などに使う仕組み。」
この場合、配当率は固定されていて、
賭け金の75%しか、配当金は賭け客に戻りませんので、
1レースに馬券を均等に買って10万円を賭け、
“戻ってきた配当金”で5回、賭けを続ければ、
0.75×0.75×0.75×0.75×0.75=0.237
5回の賭けで0.237、
ほぼ4分の1しか手元に残りません。
今度は、“戻ってきた配当金”で10回、賭けを続ければ、
0.75×0.75×0.75×0.75×0.75×0.75×0.75×0.75×0.75×0.75=0.05631
つまり、手元には5,631円が残り、ほぼ20分の1しか手元に残りません。
これは確率論であって、平均がそうだということです。
4分の3が戻ってくるギャンブルを5回続けても、
確率として4分の1に減るだけだが、
これを10回続けると、
わずか、20分の1しか戻ってきません。
では、同じ10万円を10レースに賭け続ければ、
支出は100万円ということになり、
支払った100万円が10レース後に、
同じ100万円として手元に残る確率は5.631%であるという言い方もあります。
100万円を10レースに分けて賭けて、
それが200万円になって残る確率、
つまり競馬などの公営ギャンブルという博打に勝って、
倍になる確率は5.631%の半分、2.815%
つまり、100人に3人はいないということになる。
庶民のギャンブルの代表である「パチンコ」では、
配当は景品で返されることが建前なので、
換金のための景品買いのロスが加わる。
景品買いのためのロスがどれくらいなのかは全く知らないが、
お金に換算した配当率は公営ギャンブルの配当率の75%を
下回ることは想像できそうです。
あくまでも仮定ではありますが、
配当率75%、換金率を80%とすると75%×80%=60%となります。
これが会っているかどうかはまったく分かりません。ただの想像です。
この不確定な仮定で言えば、
一回パチンコ屋さんに行って100人の人が1万円ずつ玉を買ったとしたら、
持ち帰る金額の100人の平均が1人6千円であるということです。
100人がパチンコ屋さんに行って、
それぞれ持ち返った配当のお金だけで、
パチンコを10回ずつやり続けたとすると、
0.6*0.6*0.6*0.6*0.6*0.6*0.6*0.6*0.6*0.6=0.006047となるので、
1万円を原資として100人の人が10回パチンコ屋さんに行った時点で、
100人が持ち返った金額の平均は1人60円となり、
賭け客の損=テラ銭は1人当たり平均9,940円となる。
パチンコ屋さんが得たテラ銭は、9,940円×100人=99万4,000円
使い方を変えて、毎回1万円ずつ使ったとすると、
使ったお金は、一人10万円であり、
100人で1,000万円。
配当率0.6ならば、1,000万円*0.6=600万円であり、
100人平均の損は40,000円となり、
パチンコ屋さんが得たテラ銭は、40,000円×100人=400万円となる。
100人が一ヶ月に10回、1回1万円ずつ玉を買ってくれれば、
パチンコ屋さんは400万円のテラ銭を得る。
賭け客が持ち帰るお金は、100人の平均で6万円。4万円の損。
損の金額は増えていますが、
負け率は減っているように見えますが、
言い方を変えると、
賭け客が10回パチンコ屋さんに行って、毎回1万円、
計10万円分の玉を買って、
10回のゲームの合計で10万円を持ち帰る確率、トントンは0.6%であり、
2倍の20万円持ち帰る確率、つまり二倍勝ちの率はおおよそ0.3%であり
1,000人に三人だけとなる。
配当率と勝つ確率の出し方は、
まったくの想像の域を出ないが、
少なくとも、どの台が玉の出る「勝たせ台?」かを知らない素人が、
パチンコで勝ち、儲ける可能性は果てしなくゼロに近い。
厳密にコンピューターで配当率を一定に管理しているパチンコでもそうなのだから、
マカオあたりの私設のカジノでは、
自由自在にカードやサイコロを操る技術を持っているディーラーにかかったら、
配当率も自由自在に操り、
王子製紙の元会長みたいに億単位でお金を賭けるような
いわゆる「くじら」と呼ばれるカモには、
わざと勝たせていい気にさせ、
ここぞという所でゴッソリとむしり取ることなど、
赤子の手をひねるがごときであっただろう。
少なくとも、
機械的に配当率が管理されている公営ギャンブルやパチンコでも
勝てる確率は限りなくゼロなのに、
賭け客から人為的に儲けようとするプロの胴元に勝てる素人など、
天地がひっくり返ってもあり得ないことだろうと思うのです。
そんな損をする事が確定しているギャンブルに狂うのは、
カジノの側の「勝たせ方」が上手なのでしょうか。
「おだてる」のが上手なのでしょうか。
いずれにしても、そんなくだらないことに社員、株主、お客様のお金をつぎ込んで
自ら破滅していった東大卒の元会長はあまりにも愚か過ぎて、
本当にげんなりします。