谷 好通コラム

2011年06月20日(月曜日)

2811.ちっぽけな親孝行

昨日と一昨日、富山の娘夫婦の家にお袋を連れて行った。
娘夫婦、つまりお袋にとっては孫夫婦とひ孫たちが
どんな所でどんな生活をしているのか見てもらいたかった。

 

富山は、名古屋から自動車で4時間はかかる遠いところなので、
お袋に体力が残っている間にどうしても連れて行きたかった。

 

親父が約10年前に亡くなって、
お袋は私達と同じ棟の家に住んでいるだが
一人で生活できる間は誰の手も借りずに一人で自活したいと頑張ってきている。
食事も掃除も風呂も自分でやって、82歳に今日まで生活している。
しかし今年の初めに体調を崩して、
体力の衰えを感じたのか、自分で自転車に乗るのをやめたし、
朝の体力づくりの散歩もやめた。
もっと体力が落ちてくれば、
いずれは私達の世話を多少なりとも受けるようになるのだろうが、
それまでは頑張れるだけ頑張るのだろう。

 

お袋は昔から人の世話になることを嫌う人だった。
自分で出来ることは自分でやる。

 

親父に何か手伝ってもらうことを要求していたことを見たことがない。
お袋が親父に何かを要求すること自体を見たことがない。
喧嘩のように言い合うことも少なかった。
昔、私達が子供のころ、私が親父のことを悪く言ったりすると
「おまえは誰のおかげでご飯を食べているの!
お父さんを悪く言うことは、お母さんが絶対に許さない。」
と、火のようにお袋に叱られた。

 

昔風だと言ってしまえばそれたけのことだが、
お袋が、時には愚痴を言いながらも親父を全力で支えてきたことは間違いない。
そのおかげで、親父は精一杯の立身出世を果たせたのだろうと思う。

 

今の世の中、
女房から”お小遣い”などと子供じみた物をもらう亭主が多くなった。
女房の奴隷のように家族全部から扱われている亭主もいる。
子供と一緒になって亭主を悪く言う女房もいる。
亭主の単身赴任を本人は同意しても、
女房がそれを拒否するなど信じられないこともあるそうだ。
家庭に縛り付けられ、それを良しとする男は大成しない。
男の志が家庭の中にとどまることなどありえないからだ。
男は世の中に役に立ってこそ大成できる。
それが結果として、必ず家庭の幸せにつながるものだと思う。
もちろんこれは私の価値観であり、
人それぞれが持っている価値観を良し悪し出来るものではない。
しかし、家庭の中にとどまった幸せを良しとする価値観を、
世の中は役に立つとはしないものだ。

 

お袋は、身長140cmたらずの小さな体で、
親父を支え、尊敬し、時には愚痴りながらも、私達子供に決して悪口を言わせなかった。

 

足腰が少し不自由になってきたお袋に、
片道4時間、休憩を入れながら片道5時間の、
長い自動車での移動を我慢させたお袋のモチベーションは、
この可愛いひ孫たちに会えることだったのだろう。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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