谷 好通コラム

2019年11月20日(水曜日)

11.20.価格の付け方のむずかしさ

商品の価格の付け方はいつも難しい。
商品が物である場合は、まず材料費が基本になって、
その材料を加工して付いた価値(付加価値商品)が
消費者にとってどれほどの価値(値段)になるのか、
あるいは、付加価値の素になった加工にどれほどの手間と時間がかかったか。
それに加えて会社の維持費とか役員の報酬とかの費用が要る。
その結果、
材料費+加工賃(又は付加価値)+利益(費用)=付けた販売価格が、
消費者が買う気になる値段より高ければ、売れないか、売れ数が少ない。
その反対に、
付けた値段が、消費者が買う気になる値段に近いか、安ければ、
売れる。それもたくさん売れる。

 

もう一つ、売れるかどうかの要素が加わる。
それは、その商品が、そこにしか売っていない物ならば高くても売れるし、
どこにでも売っている物ならば、その値段は安くなる。
最初、その商品は、その店にしか売っていなかったので随分高かったが、
やがてその商品はどこにでも出廻ってきたので、
必然的に安くなってきたとしても、
消費者は納得してその物を、その店で安く買う。
“物”は一緒なのだから、
しかし、
その商品が物ではなくサービス商品だとしたら、
最初はその店でしかそのサービスを売られていなかったので、
ある程度高くても、そのサービスに価値があると思えば買うが、
そのサービスがどこでも受けられるようになってくると、
当然値段は下がるが、
以前に高い値段でそのサービスを受けた店では、前に損をしたような気がして、
そのサービスを提供している人の価値が下がったような気がして
その店ではもうそのサービスを受けたくないと思うようだ。

 

特にサービスを提供するビジネスの場合、
今の時点では希少性があるからと言って
そのサービスに不当に高いレバレート(人時生産性)をを付けて値決めすると、
そのサービスが普及して一般的なサービスになって来た時、
みんな当然のように妥当なレバレートで値段を決めてくるので、
不当に高い値段でそのサービスを受けていた人は、
妥当な値段でサービスを提供している店舗に移る。
そこで、
高い値段で提供していた店舗は客数が激減するので、
当然値段を下げるが、
高過ぎる値段でそのサービスを受けていた人は、
騙されたような気になって、その店には戻らない。

 

“物”である商品は、希少性のある時は高くても売れ、
普遍的になってきたら安くしても売れるが、
サービス商品の場合、希少性のある時は高く売って、
普遍的になってきたからと安くしても、消費者は戻らない。
不思議なことです。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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