2008年01月26日(土曜日)
1832.細い蛍光灯密集と、水銀灯・ハロゲン勝負
香港に来て、新しく出来たキーパープロショップを見た後、
従来からある香港の洗車屋さんを見に行った。
香港は中国の中でも、つい最近まで英国領であって西洋文化が根付いている所であるし、
街もきれいで、走っている車も日本の上級車に匹敵するような車が多いので、
洗車についてもそれなりに発達しているだろうと思っていたのだが、
予想はまったく外れた。
狭い店舗に誇らしげに門型洗車機が「電脳洗車」として据えられ、
そのくせ、「前洗い」というひどく荒っぽい手洗いが施されてから
洗車機に入れられるという何ともチンプンカンプンのものであった。店舗も一様に汚い。
その様は、10年前に初めて上海に行ったときの驚きに似ている。
この写真の店舗が香港の中では広いほうで、
?1の店舗でもあると言っていた。
香港でも昔の中国と同じように門型洗車機が手洗い洗車よりも上に見られているのか。
香港は中国本土よりもうんと進んでいると思っていたのに、
とても変な感じがした。
まず、歩道上で「柄付きモップ」による「前洗い」
屋根を洗うときなど、「柄」がゴツゴツとボディに当たる音がした。
「モップ」は、意外とやわらかい素材で出来ていたが、
いずれにしても「モップ」である。かなりの傷は入るだろう。
洗剤をつけたまま「洗車機」に入る順番を待つ。
この店で気がついたことがもう一つ、
作業場の天井に細めの蛍光灯がびっしりと並んでいるのだ。
このようにびっしり並べた細い蛍光灯は「塗装の傷をまったく見せず」、
どんなに荒れた塗装でも、
すごい艶があるように見せるマジックのような効果がある。
細い蛍光灯を密集させることによってあらゆる方向からの光を出すことによって
傷による光の乱反射を見えなくする効果があるのだ。
この細い蛍光灯の密集は、
台湾の地下駐車場の洗車屋でも見たことがある。
下の写真は、5年ほど前「台湾」に行ったとき撮った写真で、
デタラメな、傷をつけるだけの乱暴な研磨をしていた。
香港での写真と同じように、天井にはびっしりの蛍光灯。
塗装の傷をごまかしたい時に必ず使われる恐ろしいマジックの装置だ。
この店では、自分たちがつけた傷を明らかに隠そうとしている。そう思った。
それに対して、我がキーパープロショップの香港1号店の天井には、
逆の意味で恐ろしい「水銀灯」と「ハロゲンランプ」だけが取り付けられている。
水銀灯・ハロゲンランプは一直線の光を出し、しかも光源が強いので設置数が少なく、
少ない光源から拡散しない一直線の光を出すことによって、
傷による乱反射が非常に良く見える。
(密集した細い蛍光灯とまったく逆の効果があるのだ)
つまり、この照明の下で洗車とか磨き・コーティングの作業をすると、
塗装の傷や艶ボケが非常に良く目立ち、
塗装を良くしようとする作業では、塗装の悪い部分がよく見えて
それを無くする事をするわけだから、作業は非常に楽になるが、
逆に、ごまかしがまったく効かない極端にシビアな技術が必要になってくる。
理想としては、水銀灯と蛍光灯が適当に混じっていて、
研磨とかコーティング作業時の必要に応じて、スタンド式のハロゲンランプを使う。
そうすると、ある程度の艶が見えながら、傷も見えて、
塗装を良くするような作業がやりやすくなると同時に、
極端な神経質すぎるシビアさからも少しは開放される。
日中では絶対に見えない傷まで無理して見える環境下で、極端なシビアな作業をしても、
お客様のためになっているとは限らないからだ。
多分このキーパープロショップ香港1号店では、
そこまでシビアになる事を覚悟した上での水銀灯とハロゲンランプだけにしたのでなく、
店内に張り巡らされた巨大な看板類が映えるための目的が優先された部分もあるのだろう。
明日、名古屋に帰る飛行場への車の中で、その辺をよく説明せねばと思っている。
しかし、香港の従来からの洗車場が、
傷を隠す効果のある「細い蛍光灯の密集」を照明に使っている現状は、
貧しい発想であることは間違いないが、
キーパープロショップ香港1号店のように、
極端に傷を見えやすい照明の下で、
正面切って塗装の傷や劣化と勝負しようとするのは、
そのギャップが大きすぎて、香港のお客様たちに理解してもらえるかどうか正直心配である。
立派な待合室は、この反対側の中に作業を見られるカウンターがある。
前回訪問した畠中君の助言で作ったと言っていた。
研修室もあって、今後の拡大政策に使われていくらしい。
スタッフルームは、私たちの快洗隊のそれよりも広いぐらいである。
しかし、それにしても、
リーディングエッジ社が運営するキーパープロショップ香港1号店は、
真正直に、私たちが提唱する「塗装改善の方向性」を実現しようとしている。
その設備は、今まで私たちが中国本土で見てきたようないい加減な施工ではなく、
非常に品質レベルの高い設備に出来上がっており、
その仕上がりは私たちも驚くばかりで、
この会社は、いよいよ本物だなと思わせてくれたのでした。
と同時に、私たちの責任の重さもズシンと来たのです。
次の日(つまり今日)のオープニングセレモニー前に
同行した土井君から作業の訓練を受けるスケジュールになっいた。
この場合、土井君は先生なので「土井老師」となる。
老師は「ロウシュ」と発音する。(シュはかすれる)
これから、土井君のことを「土井ロウシュ」と呼ばなくてはならない。
「土井ロウシュ」と呼ばれてうれしそうな?土井君。