2019年05月01日(水曜日)
5.01.承り継ぐということ
今日のテレビは新天皇の即位、承継に関わる番組が延々と続いています。
平成の始りの時、1989年1月8日は
昭和天皇の崩御に伴って、新天皇の即位があったので
お祭りムードは一つもなく、何についてもひたすら”自粛”でした。
今回の皇位の承継では、平成天皇のご意志での退位と新天皇即位なので、
渋谷のスクランブル交差点でのバカ騒ぎを映すテレビなど、
何もかもがお祝いムード一色で、
その様子を見ながら、30年前の「平成の始り」を思い出しました。
この会社は私と連れ合いの二人で1986年9月に起業して
150坪の小さな古いガソリンスタンドの運営から始まりました。
二人は年中無休で必死に働いて、しっかり儲け、
翌々年には、もう2軒目のガソリンスタンドをやろうと計画を立てました。
しかし、次の物件はそう簡単には見つからず、
探しまくった挙句に
数キロ離れた所に出た132坪の更地を、借金して買ってしまいました。
そこに2軒目のガソリンスタンドを新しく造るのですが、
その時代はガソリンスタンドの「総量規制」があって、
日本全体のガソリンスタンドの軒数が決まっており
ガソリンスタンドの新店を1軒、造りたければ、
日本国中のどこかでガソリンスタンド1軒の廃止が必要だったのです。
その頃の私はバカな自信過剰人間で、
「石油元売りは私のずば抜けた販売力を知っているので、
私が新しいガソリンスタンドを自力で造れば、
田舎のどこかの売れないスタンドを潰してでも、
私の店にガソリンを供給してくれるに違いない。」と、
たかをくくって、
ガソリンスタンドの建築を強行してしまったのです。
ところが、世の中はそんなに甘くはありません。
その総量規制は暫定措置法で、あと1年で撤廃になることが判っていたので、
頼みの石油元売りはどこの店も潰さず、
「谷君が勝手に造ったのだから。」と、
どこもガソリンを卸してくれないのです。
ガソリンスタンドを造ってしまったのに、ガソリンは買えず、売れず、
でも、土地とスタンドの建設費の借金は払わなければならない。
「何もせずには1年間持たない。このままでは倒産だ。」
困った私は、
ガソリンスタンドの設備を活かして、出来る商売はと考え、
「洗車とタイヤ」の店にしました。
タイヤは大して売れませんでしたが、
洗車は、横浜のモービルクリーンベースという変わった洗車場があったので、
そこで特殊な「磨き」と「コーティング」を教わって
洗車と磨きとコーティングを一生懸命売ったので、
何とか食いつなぐことが出来ました。
それが今のKeePer技研株式会社の「洗車とコーティングの事業」の始りです。
それから紆余曲折がありながら、
仕事大好きの努力と、溢れるほどのアイデアと、
ありがたい仲間たちと、山ほどの幸運と、
何よりもお客様のおかげでここまで来ました。
その始まりが1989年1月で、
新店オープンの準備をしている頃に
昭和天皇のご病態が悪くなって、
お亡くなりになるのは時間の問題であったので、
新店オープンも派手にやることが出来ず、
様子を見ながら準備を進めていたのですが、
いよいよ1989年1月7日に昭和天皇が崩御され、
翌1月8日に明仁天皇が即位され「平成」が始まったのですが、
世の中はまだ、何をするにも”自粛”一辺倒でした。
だから、その新店「クリーンベースWhith」は、すごく地味なオープンでした。
KeePerの原点である
「クリーンベースWhith」は、実は、
「平成」という元号のスタートと共に世の中にデビューしたのです。
その時の主役は谷 好通でした。
その谷 好通が平成31年2月12日に一線を退任しました。
平成も2019年4月30日に幕を閉じました。
平成と共に幕を開き、平成と共に幕を閉じる。
KeePerの谷 好通はまるで「平成」の申し子のようです。
平成が終わるとほぼ時を同じくして、私は去りましたが、
KeePerは新しい社長に承継しました。
承継とは、「うけたまわり継ぐこと」です。
KeePerの文化は、
非常に解りにくい部分を持っています。
強者の価値観と、勝者の論理で出来ていないのです。
私は勝っていないのです。
このことは隠すつもりはなく、
一生懸命説明するのですが、中々解かっていただけません。
でもそのおかげでか
KeePerは独特かつ独自の文化を育てることが出来ました。
でも、これはたぶん誰も解っていません。
ここの部分は、自分が謙虚になって、学ぶことでしか伝えることは出来ません。
押し付ける訳には行かないので、
自分で学ぶしかありません。
新天皇がお言葉の中でおっしゃっていたお考えと価値観は、
平成天皇が、昭和天皇から承継したものです。
そして昭和天皇の価値観と考え方は、
「敗戦」に大きく影響されており、
勝者の論理ではなく、敗戦によって初めて見えた民衆の姿であり、
その悲惨の中から気づかれた優しさに根差しているから
多くの民衆から支持されて、
象徴としての天皇制が成り立っているような気がします。
KeePerの価値観とか文化は、
そんな立派なものではなく、もっとうんと簡単で当たり前の事で、
KeePerと関わりを持つ多くの人は当たり前のように知っていますが、
強者の価値観と勝者の論理では理解できないものです。
勝とうとすると余計解らなくなります。