谷 好通コラム

2007年06月02日(土曜日)

1649.日本人はいつも・・

札幌に向かう飛行機の中、
ほぼ満員である。
そういえば今日は土曜日。
みんな北海道に遊びに行くのか、帰省するのか、
乗客の中で、仕事のスーツを着ているのは私以外にほぼいない。
と言っても、自分が土曜日に仕事をしていることを嘆いているわけではない。
私にとっては、そんなことはどうでもいいことなのだが、
若いスタッフが同じ状況にいたら、
我が身を何と思うだろうか。
会社も人数がだんだんと増えてきて、
そんなことも考えなければならなくなってきた。

 

 

昨日の夜、ある大切なパートナーであるお客様と食事をした。
その話の中で、最近中国からの大気汚染による「光化学スモッグ」の話になった。

 

日本のテレビとか新聞の報道を見ている限りでは、
中国の上海などの工業地帯からの深刻な大気汚染が、
ジェット気流に乗って日本にまで流されてきて、
日本の特に日本海側の地域に「光化学スモッグ」をもたらしている事は明白である。

 

その事を中国の街を行く人に
テレビがインタビューして聞いたら、
「日本人はいつもそういうことを言う。」と、
日本が根拠のない被害妄想で中国に難くせをつけているように言った。
それも、“いつも”という嫌悪感をもった言葉を付けて。

 

それを聞いた日本人の多くは、
その中国人の言葉に、なおさらの嫌悪感を持っただろう。
地球規模での環境問題が取りざたされている時代に
自分達で大気汚染をしておいて、
それを指摘した者に対して被害妄想呼ばわりするのは、
泥棒に居直られたような不快感と、
最近、私が持っている中国に対する不信感と相まって、ムッと来るものを感じだ。

 

そんなことを先方の社長にお話をしたら、
こうおっしゃった。
「でも大気汚染は、かの昔、日本でもひどかった時がありましたよ。
私は川崎の出身ですが、
小さい時の川崎は空がいつも濁っていた。
光化学スモッグ警報なんていつもで出て、
校庭で遊んでいても、警報で教室に入るようによく言われたものです。
日本もそういう過程があって、
今の繁栄があるという一面があります。
中国は今、急速に発展しようとしている時で、
大気汚染は確かにひどいが、
同じような発展の仕方をしてきた日本にそれを非難される憶えはない。
というような意味で、その中国の市民は言ったんじゃないでしょうかね。」

 

なるほどである。
この人は、相手の立場に立って物事を考えることが出来る人だ。

 

一つの事柄を
こちら側からだけ見れば、
どうしても自分の不利益になる事に対してことさら被害意識を感じやすいが、
相手の側から見たら、
また全く違った事情とか意識が見えてくるものだ。

 

好き嫌いの感情は別としても、
物事に対する認識は、
一方向からだけ見える風景だけで考えず、
向こう側、つまり相手の側から見える風景も見えないと、
その事に対する正しい認識を得る事が出来ない。
そのことを改めて勉強させてもらった昨日の夜であった。

 

ムムッ、この人、出来るな。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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