谷 好通コラム

2005年07月07日(木曜日)

1207.青春は歳を取らず

最近、若者の中には、
フリーターとかニートと呼ばれる定職につかない者が増えてきていて、
一方、あと何年かで団塊の世代が60歳の定年を迎え一斉に退職し、
近い将来に深刻な労働力不足が心配されている。
そうテレビで言っていた。

 

松戸市・オートパラダイスの田中社長が、
「2号店を開くに当たって、アルバイトを募集したら、
十数名の電話での応募があって、
面接の日にちと時間を指定したのだが、実際に面接に来たのはわずか六名。
面接で四名を採用したが、初出勤に現れたのはたった二名でした。
世の中、一体どうなっちゃったんでしょうね。」
と言っていた。

 

ある銀行の経済研究所から毎日、メールマガジンで送られるコラムに、
下記のような記事があった。
「世界の国々から見ると、非西洋諸国で日本ほどの経済的成功を収めた国はない。
だから、なぜ日本だけがそうなったのか知りたいと、ごく自然に考えている。
ところが、日本人は「最近は中国や韓国の追い上げがきつくて、日本はもうおしまいではないのか」といった悲観的な気分に陥っているため、自らの成功要因を分析するなんて気持ちにはならない。
しかし、中国や韓国が日本を追い上げていることは事実だとしても、経済発展の水準はまるで違う。中国や韓国が一部、家電産業などで日本を追い上げているとしても、国全体で見るとその格差はきわめて大きい。」

 

 

日本は豊かである。
アジア、特に中国に数多く行った私には、
日本の豊かさが世界の中で、とりわけアジアの中で特別な存在であることが、
実感としてわかる。

 

その豊かさとは、多くの場合、働かなくても食べていけるほどの豊かさである。
学校を卒業してすぐに働きに出なくても、
引き続き当たり前のように親は食べさせてくれるし、
車さえも買ってくれる。

 

遊びたい分だけ働けば、
充分に豊かに遊べるし、
欲しい物があれば、それが買える分だけ働けば、
世界最新の電気製品が買えるし、
お金持ちの証明のような世界のブランド物も買える。

 

働いてお金をもらう前に物が欲しければ、あるいは遊びたければ、
金利19%とか28%とかの高利貸しの自動貸出機が街中にあって、
仮の豊かな生活を支えてくれている。

 

生活を恒常的に拘束されてまで、定職につく必要がどこにあるのだろうか。
おまけに、「フリーター」とか「ニート」なんて、
何となくかっこいい名前まで付いているのだ。
恥ずかしいわけがない。

 

そんな風に考える若者がいたとしても、不思議ではない。

 

もちろん、
そんな若者は一部の者であって、
大多数の若者は自分の目標を持って、自分の仕事に打ち込んでいる。
私たちの会社の若者達も
その良い例であって、その真摯な仕事振りには頭が下がることが多い。

 

しかし、フリーターとかニートは確実に増えているそうだし、
少子化の問題も相まって、
近い将来の労働者不足は確実にやってくるようだ。

 

今こそ、団塊の世代に注目すべきであろう。
もうすぐ、一斉に定年退職を迎える団塊の世代は宝の山である。
長い経験を積み、高いスキルを備えた60代の人達の力を貸してもらうべきである。

 

たしかに若さは、“可能性”の塊であって、
若い時にその仕事に就いた者は、
その仕事について必要なスキルをどこまでも伸ばす可能性を持っている。
しかし、
ある者は、若い時に早い時点で“分ってしまい”、
わずかな知識と経験で、新しい知識と経験を受け入れなくなってしまう者もいる。
そんな人は、低いレベルの知識と見識しかない薄っぺらな硬直した人間にとどまり、
それ以上の可能性をすべて、“分っている”の中に埋没させている。
よく言う「早解りの低い限界」で、
この若者が持っている若者としてのメリットは、すでにない。

 

世の中を近視的な我欲の中でしか見ることが出来ない
歳が若いだけの人がジワっと増えている中で、

 

60歳を越しても、今なお、旺盛な好奇心と、
新鮮な感性をもって自己の成長に貪欲な人もいる。
そんな新鮮な人は、歳を取っても、
まだまだ世の中の役に立っていただくべきだと強く思うのです。

 

我が社の管理部池本部長は、まさに団塊の世代、
あと何年かで60歳を迎えるが、
あと何年かぐらいで手放すなんて、
もったいなくて、もったいなくて、とんでもない。
高い能力と人望の深さは、もう大したものなのです。
出来れば、御本人にその気さえあれば、
65歳であろうと、70歳であろうと、いくつであろうと、
まだまだ世の中の役に立っていただくべきだと強く思うのです。
下手な若者なんかよりよっぽど柔軟で、新鮮な発想と、洒落の解る若者なのですね。
(隣の女性は、池本さんよりはるかに若い人です。失礼。)

 

 

この話は、アメリカ・ロス アンジェルスのトニーから、今日もらったメールの中に、
「当方は1944年10月20日生まれの60歳です。
しかし、青春は年はとりません。
自分が人に与える影響より
人から色々と今でも多くを学ばねばならない若い自分です。」
(トニーには無断転載)
という言葉があって、
その言葉に感動して書いたものです。
この言葉を口にすると自分の中に勇気が出てくるのが解ります。

 

※以前一度載せたことがある写真だが、
私のお気に入りなので、もう一度、このトニーの写真を載せる。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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