谷 好通コラム

2005年06月03日(金曜日)

1184.これは名案「内職」

今、この文章は、中国の大事な相手との交渉の話をしている間の、
“内職”で書いている。
本当は大変失礼なことなのだが、
私はこの行為を名案だと思った。

 

中国人の相手が中国語で喋っている何分かの間、
何が語られているのか、私にはさっぱり解らない。
解らないまま相手の顔をじっと見ていると、妙なところで相槌を打ってしまったり
相手が笑うと、意味がさっぱり解らないまま自分も笑う。
これは・・疲れる。

 

相手が喋った中国語の話を、通訳さんが日本語に翻訳して私に話してくれる。
一生懸命、聞く。
途中で質問をはさむ時もあったりして、とにかく一生懸命理解する。
そして、私の意見をよく考えながら話す。

 

今度は私の意見を、通訳さんが中国語に翻訳して相手に話す。
それに対して、中国の人が反論する。
身ぶり手ぶりたっぷりで、抑揚をつけた表現力十分である。
思わず飲み込まれそうになる。

 

何が話されているか解らないまま迫力満点の話し振りをじっと見ていることは、
大変つらい事であり、ある意味ではつまらない。
ボォーっとしているしかない。
ある時には、
相手が強い調子で話していると、何か怒っているのだろうか?と不安になったりする。
この長い時間が、
つらい時であり、つまらなく、不安であるわけだ。

 

そんな時間は、
話し合いの中で良い影響を与えるものではない。
無駄であるだけで、
お互いが、お互いの言葉を理解できないので、
仕方なく通訳さんを置かなければならなかった為の副産物だ。
歓迎されざる副産物。

 

2分間通訳さんの日本語で相手の話を聞いて、5分間自分の意見を日本語で喋る。
そのあと、2分間通訳さんの中国語で、私の話が相手にされて、
5分間相手が中国語で話す。

 

7分間日本語がやり取りされ、7分間中国語がやり取りされる。
日本語しか解らない者としては、
7分間の日本語での会話のあと、7分間の空白があって、
また、7分間の会話が始まる。そしてそのあとまた7分間の空白。
○×△△○▼○―――――――△○▼○○♡○―――――――。
△△○▼○××―――――――、○×△△○▲○―――――――。
―――――――、○☆○×■○☆?―――――――

 

この―――――――の時間をどう過ごすのか、
この時間が、実際の会話の時間よりはるかに消耗するのだ。

 

そこで、色々考えて「内職」をすることにした。

 

これは思ったより効果的であった。
自分が喋ったあとの
相手と通訳さんが中国語を喋っている間、妙な緊張感と、疲労感を感じることなく
自分の喋ったことに対する返事の通訳を聞ける。
不要な空白[―――――――]が、会話の上で無くなったのである。
すると、日本語で話し合っている感覚とほとんど同じになった。

 

外国の人と、外国語との会話は、
相手の国の言葉で話されている時には「内職」をすること。
これは名案だったのである。

 

今日の会談、いつもよりスムーズに会話が出来たような気がする。
内容も、実にシャープであったような気がする。

 

しかも「内職」は、
夜遅くなってから集中力を振り絞って書かねばならないこのコラムを、
仕事中に書けてしまうありがた~い副産物まであるのだ。
名案、名案。

 

しかし、今日はジタバタの連続で載せる写真がない。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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