谷 好通コラム

2004年07月22日(木曜日)

4日間のご報告その2

3日目、
十勝にやってきて3日目だ。

 

いよいよ今日である。
せっかく十勝までやってきて、
何とかこのインテグラに慣れよう。
何とか少しでも十勝サーキットに慣れよう。

 

このドンくさい50過ぎのオッサンにとっては、
まったく身の程知らずの24時間耐久レースへの挑戦にとって、
この事前の練習は、
貴重な時間であり唯一のチャンスなのだ。

 

3日目、21日の朝起きたら、空は晴れ上がっていた。
良かった。ホントに良かった。

 

ワクワクでサーキットに向かう。

 

 

サーキットも昨日とはうって変わって快晴である。

 

一本目は10時半から、
まず畠中から。
今日はタイムもサインで出してもらうことにする。

 

まだ、タイムなどを気にするような段階ではない。
田中選手がいれば必ずそう言われるだろうと思った。
しかし、
自分がどれぐらい走れているのか、やっぱりタイムで知りたい。
とんでもない低レベルの走りをしているのに、本人がエンジンの音などに満足して、
快調に走れているという勘違いを取り去りたいから。

 

畠中の一本目は、わざわざ昨日のもう終わっているタイヤで出て行った。
「マスターバックなしのブレーキで、しかもスリックタイヤで、
どこまでハードにブレーキングをしたらタイヤがロックするのか一度だけ経験したい。」
のだそうだ。
畠中は今日の一本目で初めて8,000回転まで回してのドライビング。

 

私たちにとって初めてづくしの今回の挑戦。
何でもやってみないと分からないのだ。
「だけど、今回の練習、何か壊した所ですべてが終わる。あくまでも慎重に行こう。」
と言って彼を送り出す。
彼は性格的に“いけいけドンドン”であって、すぐに調子に乗ってしまうところがある。
要注意なのだ。

 

緊張して出て行く畠中

 

 

コースインして、2周目、3周目と40秒台で流している。
だんだんとペースを上げてきて、
39秒台、38秒台とタイムも確実に上がってきた。
どこかで強すぎるブレーキを踏んで「キィ~~~~」というタイヤが鳴くのではないかと
耳を澄ますが、そんな音がする様子はない。
それより、
ストレートエンドから1コーナーへの進入で、5速から4速へシストダウンする時に、
なぜか6速に入れてしまうミスを連発する。
これが5速から4速を飛び越して4速の左隣にある2速へ入れるミスをすれば、
一瞬にしてオーバーレブ⇒エンジンブローになるのだが、
それを警戒しすぎて、4速の右隣にある6速へ入れてしまっているようだ。
「壊すまいっ!」の意識が強すぎる現象のようだ。
これはこれでイイか。
畠中の1本目は、少しよれよれになった1本目であった。
そちらに気を取られて、
オーバーブレーキのタイヤロックは忘れてしまったようである。

 

 

2本目は11時半から、私の番だ。
ゴリゴリの緊張感で出て行く。

 

 

タイヤは新品。
新品タイヤは表面の皮をむかないとグリップが出ないので、慎重にコースに出る。
まずは皮むき。と思いながら、
2周目途中でつい忘れて、コーナーを攻めた。
攻めたつもりであったが、実はまったく攻めていなかった。
皮むきが完全には済んでいない状態なのに、まったくすべりもしなかったのだ。
つまり、スリックタイヤの限界ははるかに上にあって、
その限界にまったく届いていないドライビングをしているということだ。
途中でそんなことに気が着き、少しガックリ来る。

 

と思う間に、エンジンが息を着き始めた。
ガス欠である。
畠中が乗った後、給油を忘れてしまったようだ。
ピットに戻ってガソリンを入れてもらって、またコースに出る。
しかし、突然エンジンが止まってしまうような現象が出て、すぐにまたピットに。
どうも、補給した燃料が少なくて、
燃料の片寄りが出ているようだ。

 

ピットでもう一度燃料を足してコースに出るが、もう集中力が切れてしまったのか、
なかなかリズムに乗れない。
ヨタヨタとして40秒ぐらいでタイムオーバー。
この日の1本目は、私も畠中もヨレヨレの1本目であった。

 

昼ごはんをカップラーメンとおにぎり1個で済まして、
昼からの3本目以降に賭ける。

 

まず12時半の3本目は、畠中の2本目。
彼も今回は良い状態のタイヤコンディションで、出て行ったわけで、
気合が入っている。

 

今回は1コーナーでの5速から6速への“シフトダウン”もやらない。
集中できているようだ。
40秒、39秒とトントンとタイムが上がり、3周目には38秒台、
そしてすぐに37秒台に入る。
そこで、しばらく37秒台で落ち着き、同じようなタイムが続く。
37秒台のリズムをつかんでしまったようだ。
こんなところか?
そのまま6.7周37秒台で走り、
10周目ぐらいに、ポンと36秒台に入った。

 

 

「ヨッシャー」と思ったとたんに、
また1コーナーで5速から6速の“アホシフトダウン”をやってペースダウン。

 

結局、36秒9を一回出して畠中の2本目は終わった。
まだまだではあるが、それなりにリズムを掴んだようだ。

 

 

午後1時半、私の2本目だ。
今回こそ集中しなければ、何のためにここまで来たのか分からない。
腹に思いっきり力を入れてコースイン。

 

 

コースに入って、どこのコーナーで、どのギヤで、どこまで回して、
どのポイントでブレーキング、ターンインをどこを目指して切り出すか、
クリップをどこに取って、どこでアクセルを踏み込みコーナーを脱出するか。
多分にいい加減にではあるが、何となく分かってきていた。

 

とにかく集中する。

 

それでも40秒台が最初に出て、
じきに39秒台が出て、その39秒台が何周か続いた。
イカン、このペースでのリズムが体に染み付いたのでは、
39秒台からなかなか脱出出来なくなってしまう。

 

何とか少しずつ色々なタイミングを変えてみる。
ヘタッピイはヘタッピイなりに、それでも工夫をしてみたのだ。
4コーナーの進入で思い切りを変えたら、
4コーナーから5コーナーへのシフトアップのタイミングがずいぶん早くなった。
など少しずつコーナーが判ってきたような気がして
39秒台から38秒台を1度だけ出せた。
この日のベスト1分38.8秒である。

 

 

また、畠中の2秒遅れだ。
しかし、畠中が少しだけこのコースを走れるようになってきた分だけ
私も少しだけ走れるようになってきたということ。
それはそれで低いレベルながらも、私にとっては進歩であった。
少なくとも、昨日「オッ調子いいじゃん」と思ってしまった勘違いよりも、
5.2秒だけ進歩したわけだ。

 

コースインとアウトも入れて全12周。
緊張で、体中に無駄な力が入ったのか、
たった12周で、私はぐったりとしてしまった。
体中の筋肉が痛い。特に首から肩への筋肉が突っ張っているように痛い。
体中から汗が噴出す。

 

※苦しくてうずくまっているのではありません。
走った後の車を様子を覗き込んでいるのです。

 

 

こんなことでは、24時間耐久に出ようといういう体ではない証拠であって、
もっともっと体を鍛える必要がありそうだ。
そして、もっともっとリラックスして乗れるようにならなくてはならない。

 

 

3本目は、私も畠中も色々と勉強の3本目であった。
雨が少し降り出して、
前がすごく見にくく、集中できなかったが、
こんなことで気が散ったのでは話にならない。
そう自分に言い聞かせながら、小さいコーナーでの入り方を色々試して、
それなりの勉強をした。
最後の3本目は39秒台が最高であった。

 

あとは、8月3日からの遠征で、本番7日までの練習の課題。
本番直前の練習で、どこまでなれることが出来るか、学ぶことが出来るか、
体を持っていくことが出来るか。
本番前での練習では、田中選手と石川選手が厳しいアドバイスをくれるはずである。
あとはそれが頼りだ。

 

その日は、体中がイタイイタイと言いながら、
やっぱり飲みに出た。
この日が一番飲んだかもしれない。
※これが3日目にコラムを書かなかった理由。
早い話が、3日とも飲みすぎて書かなかっただけのこと。
みなさんご心配かけましたが、本人いたって元気でございます。

 

あ~~面白かった。
しかし、こんなにくたびれたのは久し振りであります。

 

 

正直に白状すると、
今回の遠征で、このインテグラにまったく乗れなかったら
24時間耐久への出場はあきらめようと決心していた。
たくさんの人の協力が会っての24時間、まったく私がダメなら潔く引くべきと思った。
だけど、チョッとだけでも乗れるかも知れないと
身の程知らずにも思ってしまったので、やっぱり24時間に出ようと今思っています。
本当に「出たい!」と思ってしまいました。

 

 

4日目は帯広から札幌へ。
明日また書きます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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