谷 好通コラム

2004年06月16日(水曜日)

975話 小さな飛行機で

昨日、つまり15日
錦州のホテルでインターネットへのアクセスに失敗したので
このコラムを昨日中にアップできませんでした。
ですから、この話の中での今日とは15日のことです。

 

 

朝、JAL便に乗って、上海に着く。
機体はボーイング767-300、国際便としては小さめの機体だが、
それでも、乗客280人ぐらいの中型機。

 

そして今乗っているのが、
上海から地方都市“錦州”に飛ぶ“上海航空”
機体はカナダのボンバルディアCRJ-200である。
この機体は小さい。
横4列席で12列。つまり4×12=48席の小型ジェット機だ。

 

この機体は日本でもJALグループが
名古屋→新潟、名古屋→帯広線などに使っている。
小型だが最新鋭の飛行機のひとつである。
まるでビジネスジェットのようで、軽快で大好きな機体のひとつである。

 

 

飛行機に乗る時
「小さい飛行機は揺れるので怖い。飛行機はやっぱり大きい方が安心だ」
という人がいる。

 

たしかに、小さい飛行機は質量が小さいわけなので、
荒れた気流に入った場合、気流の乱れに敏感に反応して
鋭い揺れ方をする。
急に“ビシッ、ガクッ、ドン”と揺れるわけだ。
それに比べて大きい飛行機は、質量が大きいので
気流の乱れに対して鈍感に反応し、
“ドッスン、ズッシン”という感じの揺れ方になるわけ。

 

小さい機体は振幅は小さいが、周波数が多くガタガタとたくさん揺れる。
大きい機体は振幅は大きいが、周波数が少なくゆったりと大きく揺れる。
どちらが怖いか。

 

それぞれの感じ方によるわけだが、
やはり急に鋭い揺れ方をした方が、ドキッとする分怖いのかもしれない。

 

しかし考えてみると、私は小さい機体の方が安全に思えるのだ。

 

飛行機の揚力は翼の面積に比例する。
(もちろん翼の形状によって大きく変わるが)
空気抵抗も面積に比例する。

 

面積は大きさの二乗に比例し
体積は大きさの三乗に比例する。
だとするならば、
たとえば、
ある飛行機の2倍の大きさ(長さ、高さ、幅)を持った飛行機の場合、
その飛行機を持ち上げる揚力を発生する翼の面積は2倍の二乗、
つまり4倍の翼の面積と揚力を必要とし、
反面4倍の空気抵抗があることになる。
しかし、
その体積は三乗なので、飛行機は8倍の体積を持っていることになるが、
揚力は4倍でしかないので、
持ち上げられる重量は4倍でしかない。
つまり、8倍の体積の飛行機が、4倍の重さでしかないわけで、
その飛行機の体積あたりの比重は、1/2となる。
つまり、その2倍の飛行機は、
1倍の飛行機の半分の機体の材料しか体積当たりに使えないことになる。
つまり、体積に対して、
機体の構造が薄いことになる。
“張子の虎”の状態だ。

 

それに比べて小さい飛行機は、大きさの割りに材料がたっぷり使えて、
大きな飛行機より丈夫に出来ていているので
いくらビシッバシッと揺れても、
壊れる心配が無いような気がするのだ。

 

ねっ、丈夫そうに見えるでしょ

 

 

もっともこれは素人考えなので、当てにはならないが。

 

そんなことをブツブツ考えながら、
気流が悪い中を飛んでいく我がCR-Jは、本当にビシッバシッと揺れたのだ。
小さい飛行機の場合、短距離路線に使われることが多く、
あまり高い高度を取らない事が多いのだ。
だから、ちょうど気流の乱れている雲の上端を飛ぶことになって、
余計に揺れる事が多い。

 

 

狭い機体の中、こっそりカメラを後にして機内を撮ったつもりが、
後の人にしっかりとカメラを見られていた。
(怒られんで良かった。)

 

 

中国の国内線は、
ほとんどの場合、食事が出る。
この上海→錦州の便でもやはり食事が出た。
それも、てんこ盛りなのだ。
暖めたご飯とチキンと豆の炒め物
それに、漬物と袋詰めのお菓子などが何と5個も着いている。
杏のクッキー、ザーサイ、アンパン、ピーナッツ、ピスタチオ
それぞれたっぷり入っている。
日本の国内線の飲み物“だけ”とは大違いである。
中国の国内線、気に入った!

 

 

大満足ではあるが、
実は、朝、名古屋空港でサラダセットを食べ(ダイエット中なのだ)
名古屋から上海の飛行機の中で
いささかカロリーオーバーのランチを1/3残して食べ、
そして、この国内線でもたっぷりのランチも食べてしまったのだ。
午後12時点ですでに三食を食べてしまった。
今までのダイエットの何日間分が木っ端微塵である。
ビシッバシッと揺れながら高度を下げて錦州の空港に近づく

 

空港に降り立ったCR-Jは、一段と小さく見えた。
錦州空港もかなり小さい。

 

 

預けた荷物の受け取りのコンベアーには、
私たち3人の荷物の他には、あと3つ乗っていただけであった。

 

 

錦州空港には、錦州で一番大きな修理工場の社長と幹部の方たちが
出迎えてくれた。
その工場の方たちの話は、次の話にする。

 

しかし、出迎えの方たちの中にテレビカメラが混じっていたのには驚いた。
私たちをしきりに撮っている。
これから何が起こるのやら。

 

 

工場へ向かう途中で踏切があった。
単線のその線路には長い長い貨物列車が通る。
かなり大きな貨車が何と54両!
これを、たった一両のディーゼル機関車が引っ張っていたのである。

 

 

そして、列車が長い時間かけて通り抜けた後の踏み切りの向こうには、
私たちと同じように長い時間待たされたのか
不機嫌そうな“ロバ”とおじさんがいた。

 

 

錦州、あなどってはいけないようである。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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