谷 好通コラム

2004年03月27日(土曜日)

917話 上海の日本特需

また、上海行きの飛行機に乗っている。
今回も2泊3日の日程、木曜日の朝一の飛行機で出て、土曜日の最終便で帰る。
特に今回の出張はスケジュールをびっしりと入れた。

 

だんだんと上海でのビジネスが具体的になってきて
せっかく行くからにはと思って、びっしりと詰め込んでのだ。

 

昨日見たテレビ(NHK?)が「中国特需」と題して、特集をやっていた。

 

今までの中国との貿易は、
中国の人件費の安さを利した桁違いに低いコストで作られた製品を、
日本産製品とは比べ物にならない安さで、
日本に輸入するという形がほとんどであった。
それで、致命的なダメージを受けた日本の製造業の産業もある。

 

ならばと、日本の企業が中国など人件費の安い国に出て行って、
自社工場を建て(投資して)、
コストの安い製品を作る(自社製品のコストダウン)方策に出たが、
中国の自国の企業に対する保護政策があって
日本の企業が単独での会社(これを独資と言う)を、中国国内に作ることは難しい。
たいていの場合、
中国の企業(あるいは個人)との合弁会社、合作会社を作ることになる。

 

中国の企業あるいは個人と一緒に会社を作るわけだ。
自分の会社の経営陣に加える。というか、半分しか自分の会社ではない。
中国の人とうまく折り合いを付けながらの経営は大変で、
合弁会社を経営している人の話をきくと、
必ず、考えられないような苦労話がある。

 

今は開放政策で、まるで資本主義の国のような感じがする中国であるが、
元々共産主義の国。
そして、現役の共産主義の国なのである。
会社というものに対する概念。
働くということに対する概念。
商売と言うものに対する概念が、同じように見えても根っこの部分で違うようだ。
国民性にもかなりの違いを感じる
そういうことは、まだ中国とは付き合いの浅い私でも感じることがある。

 

そういう人達を自分の会社のパートナーとするわけで、
色々な部分で苦労をするらしい。

 

しかし、それを乗り越えられなければ、
世界レベルでの熾烈なコスト競争に勝つ事は出来ず、
日本国内でのビジネスにも負けていくことになる。

 

かくして中国は、世界の1/4の人口という圧倒的な労働力をもってして
安い賃金を武器に、世界中から製造業を誘致
まさに“世界の工場”になろうとしている。

 

しかし、もっと肝心なことは
安い人件費の魅力で、世界中から、とりわけ日本から
工場を誘致することで、
生産設備を中国国内に持つことになり、また、技術を国内に蓄積していること。

 

つまり、中国のメリットとは安い人件費で
コストが安くつくという部分がほとんどであったのだが、
生産設備を、合弁会社の中に持ち
製造技術を、その工場で働く人々の頭脳の中に蓄積して、
安いだけではなく、高い品質の製品を作り出す力を持ちつつある。

 

これは、日本にとっても大きな脅威である。

 

しかし、世界の工場・中国にも、早くも悩みの種がある。
原材料の高騰だ。
製鋼の原料となる“くず鉄”が、
今、中国に持って行くと日本の2.5倍の値段で売れるそうだ。
製鋼の工場が絶好調の高い稼動をしているが、
その材料となる“くず鉄”の供給が、需要に追いつかず、
日本からせっせと輸入しているのだそうだ。
しかも、日本国内の値段の2.5倍もの値段でだ。

 

生産コストが安いのがとりえであった中国で、原材料が高騰してしまったのでは、
元も子もない。

 

それは、私たちが今上海で作っているタオルにも言える事で
タオルの原材料“綿花”の相場価格が、今、大変に上がっている。
中国での綿花が不作であったからと、陶さん(上海のタオル工場の社長)は言うが
色々話を聞くと、決してそれだけではないようだ。

 

織物とか衣服の製造などは、今、世界的に中国に集中している。
だから、その材料として多く使われる綿花などの消費は、中国がずば抜けて多く、
中国国内の生産だけではとても間に合わないのだそうだ。
それで、主にアメリカから綿花を輸入していて、
中国で使用する綿花の価格は
中国での綿花の豊作とか不作よりも
シカゴの商品市場の相場によって、材料費が大きく左右していると聞いた。

 

中国は、今は、人件費と言うコストの一つの要素が、極端に低いだけで、
もう一つの大きな要素でる原材料費においては、
むしろ日本と逆転して高コストの要素になっている場合も出てきた。
ならば

 

・・・
ここまで書いて飛行機が降り始めた。
つづきは、明日また書きます。

 

と、これをホームページにアップしたのは、上海に到着してから翌日の今
昨日は、ちょっとまた飲んでしまい、つい寝てしまったのです。
今回泊まっているのは、上海の旧中心街にある小さ目のホテル。
「静安寺」というけっこう有名なお寺の前にあります。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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