2003年10月09日(木曜日)
812話 十年目の展示会
十年前に名古屋にやってきて
そして、明日から展示会
Mさんの帽子の展示会
昼、カレーを食べ昼食を済まし
1BOX車にびっしりと荷物を積み込んで
東山公園近くにあるギャラリーに出かけた
そのギャラリーが思ったより小さくて
胸が痛くなったが
中に入って、その明るさと清潔さに少しホッとした
10年間の思いを込めて造った帽子の数々が車から降ろされ
展示の準備が始まる
Mさんは一大決心をして京都に通い始めた
自分のこれからの人生を
帽子に求めたから
京都には、多分日本の最高のデザイナーであり製作者であろう人の
最高レベルの帽子の教室がある
毎週土曜日、日帰りで名古屋から京都に通い詰めた
Mさんの車は3年半で8万km
やっと、展示会を開くことを先生から許されたのだ
思いを込めた展示会は
とても小さなギャラリー
でも、手作りの展示スタンドを一つ一つ組み立てていくうちに
あたたかい気持ちになってきた
そして、いよいよ帽子が飾られる
私は帽子にはまったく興味が無いが
帽子が一つ一つ出てくるたびに
一気にギャラリーの中が華やかになる。未経験、初めての体験である
存在感のある帽子たち
どの帽子がどこに置かれたら、それぞれが一番幸せに見えるか
知らぬうちに
夢中になって、見て、手を出してしまった
準備をしているうちにも
「こんにちはっ、見せてください。」と、道ゆく人が入ってくる
Mさんが「すいません、明日からなんです。」と、丁寧に謝っている
しばらく私の出る幕は無い
フッと時間が空いたときに、いつものように空を見たら
秋の空に、綿を羽毛で掃いたように雲が少しだけ赤くなりかかって、きれいだった
短い時間で、空っぽだったギャラリーが
夢のような帽子の花園に変わっていく
その一つ一つが、どれも欠かすことが出来ない主役だ
外はもう暗い
良かったですね。
とてもすてきな提示会になります。
私たちみんなの大切なMさんの帽子の展示会が始まります。
皆さん、ぜひ見に行ってあげてください。
幸せな気持ちになれます。
うけあいです。