2003年08月31日(日曜日)
787話 反対からの風景
今日、不思議な体験をした
いつもの道を反対側から通ったのだ
会社に行くときは
東浦役場ⓐの方面、西から来て
港町の交差点ⓑを右折して、南に進む
300mほど進んで、猿渡川を渡ってすぐの小さな交差点ⓒを左折
細い道を東に向かって進む
やはり300mぐらいで中川町ⓓの交差点があって
そこを左折、北に向かう
50mぐらいで猿渡川の交差点があり
それを越して50m、左側にアイ・タック技研の本社ⓔがある
会社から帰るときは
会社ⓔから左に出て、北に進む
200mぐらいで、松坂町の交差点ⓕ
それを左折して、300mぐらいで港町ⓑの交差点
それを直進、つまり東に向かう
そのまま東に行けば東浦の役場ⓐに向かう
まるでラリーのナビのような書き方をしたが
つまり、ⓐ→ⓑ→ⓒ→ⓓ→本社ⓔ⇒ⓕ⇒ⓑ⇒ⓐ
ⓐから出発して、ⓑ港町ⓒⓓと回って(→)
帰りはⓔ会社を出てⓕを回ってⓑ港町の交差点に戻る(⇒)
ドンドン話がややこしくなってきたが
ⓑの港町交差点を出発点として
(会社を経由地として)
「左回り」に回って、ⓑの港町交差点に戻る
左回りのリングが、習性として身についてしまっている
だから、ⓒ→ⓓの細道は
いつも会社に行くときだけ
つまり“東向き”には、何百回、何千回と通っているのだが
西向きには
今日、はじめて通った
たまたま
本当にたまたま、今日、初めてこの道を反対側に通った
信じられないことながら、これは本当だ
西向きにその道を通ったら
初めて見る風景がそこにあったのだ
この細道
東向きと、西向きで、こんなに風景が違うとは
まったく知らなかった
こんな身近なところに、今まで見たことがない風景があったなんて
本当に驚いた
それに気がついて
通勤のためのもう一つの左リングの存在にも気がついたのだ
それが、東浦の役場と、於大公園を回る左周りのリング
ついでにこれも反対周りに回って見た
ついでである
ホォ~~~~~
やっぱり見たことが無い風景が
そこにあって、おまけに
この道はくねくねと曲がった農道部分が有るのだが
その一つ一つのコーナーが、すべてまったく新しいコーナーに思えたのだ
いつも一方から見ている風景が
反対側から見ると、まったく違う風景に見えること
それが、しょっちゅう通っている道路で経験すると、大変驚くことになった
おまけにコーナーの感じまでまったく違う
いつも、商売をやっていくにあたって
「売る側からの論理だでは通用しない
買う側からの視点を持たなければ、成功は無い」
と、みんなに言っているが
それを、思いもよらぬこんな形で、身をもって体験したわけで
まったく不思議な経験であった
今日の経験から
一つの話を思い出した
スーパー耐久レースの田中篤氏の経験
先日、佐世保に行ったときに、彼から聞いた話である
田中さんが20代の時
元・F1チャンピオンの“ナイジェル・マンセル”
(F1が好きな人なら必ず知っている世界のトップドライバーの一人)
そのチームのドライバー“オーディション”を
受けたことがあったそうだ
そのオーディションに、田中さんは合格した
これはものすごいことであって
当時の一般紙の記事にも載ったそうだ
オーディションに合格すると
ニュージーランドでのレースに一年間参加しなければならない
もちろん“費用はチーム持ち”の夢のような条件なのだ
そして、その結果でF1ドライバーとしての最短距離のチャンスが与えられるというもの
合格した後
チームマネージャーから
「ニューシーランドに行くかどうか、5分で返事をしろ」と言われた
しかし
田中さんは、そのとき会社を起こしたばかりで
起業の仲間に
その場から電話をしたら
「冗談じゃない!社員はどうなるのだ」と強く引き止められ
(当人いわく“叱られ”)
その話を
断腸の思いで、断ったという
そんな、とてつもない経歴を、田中さんは持っていた
その話の中で非常の面白い話が一つ
オーディションの方法だ
場所は忘れたが
レーシングカートのコースに、100名以上の参加者全員が集められ
レーシングカートに乗せられた
もちろんコースを走らされたわけだが
そのコースを
右回りと、左回り
通常の回り方と、反対の回り方
その両方を走らされ、そのタイム差がまったく無かった田中さんが
ただ一人合格したというのだ
単にタイムの速さを競うならば
そのコースに慣れたドライバー
あるいは、レーシングカーとの現役ドライバーが有利であっただろう
しかし
マンセルのチームは、そんなものにはまったく興味なかった
同じコースを左に回らせても
右に回らせても
結局、同じ距離であり、同じRのコーナーであるのだから
理論的には同じタイムで走れるはずだ
それを一発勝負で走る奴が
本当の意味で“才能”がある奴であって
“原石”として一番可能性の有るドライバー、ということらしい
いや、実に説得力のある話ではないか
サーキットのコースを、変に考え込まずに
客観的に走ってしまえる者が
しかも、ベストの状態で走ってしまえる者が、一番才能がある者とは
ものすごく納得してしまった
一方向からでしか、物事を見ることが出来ず
考えることが出来ないのでは、まったく片手落ちである
今日の午前中
いつもと反対側からの風景の違いに驚いたことと
田中さんのこの話
妙にオーバーラップして
私達は、本当にお客様の側から、物事を見ることが出来ているのか
大いに反省させられること、しきりであった
12日から、また上海に行くことになった
今度は中国の人の目で
上海をよく見てみることにしよう
いずれにしても、大好きな上海
また、新しい出会いがあるのだ
ワクワクワクワクワクである
※この写真は、今、私のパソコンの壁紙に使っている
自分で撮った上海・BANDO
また見に行くのが楽しみです。