2002年12月16日(月曜日)
594話 おちょぼさん
濃尾平野の奥まったところ
岐阜県の南端
愛知県と岐阜県の県境に近くに
「お千代保稲荷」という神社がある
ここは、木曾三川である長良川、木曽川、揖斐川が
寄り添って濃尾平野に出るところで
水が豊かであると同時に
頻繁に洪水に襲われてきた所だ
この神社を、地元の人は親しみを込めて「おちょぼさん」と呼んでいる
「おちょぼさん」は知っていても
それが、「お千代保稲荷」と書くのを知らない人が多いくらい
「おちょぼさん」で通ってしまっているのだ
昨日、その“おちょぼさん”に遊びに行ってきた
年末とはいえ、まだまだ年が迫っているわけでもないのに
おちょぼさんはたくさんの人で賑わっていた
ここは、いつもこうだ
休みの日に行けば、たいてい例外なく賑わっている
街の真ん中にあるわけでもないし
特に珍しいものがあるわけでもない
言ってみれば、ただのお稲荷さんである
なのに、いつもたくさんの人が
何故、訪れるのか
私にはよく分からないが
そういう私も、また来た
もう十度ぐらい来ているだろう
何となく、どこかへ行こうかなぁと考えた時
おちょぼさんに行こう
と思うのだ
おちょぼさんの、社への入り口近くに2軒の店がある
そこでは、あぶらげとロウソクをセットで30円で売っている
お稲荷さんはキツネ
キツネといえば“あぶらげ”
それを持って、社にお参りする
あぶらげとお賽銭を投げながら
馬鹿馬鹿しいと言えば、それまでだが
そんなことが
妙に御伽話っぽくって
面白いのだ
それらしても、すごい人手のおちょぼさん