2002年11月28日(木曜日)
582話 脆くも崩れ去る
今日は一日中事務所にいた
事務所にいればいたで、これでもかと言うほど仕事がある
昼過ぎに嬉しい訪問があった
11月17日の鈴鹿・GT選手権で
MR-Sに快洗隊のステッカーをつけて走ってくれた
あの「まつなが選手」だ
わざわざ
今年のスポンサードの「お礼」を、言いに来てくれた
プロとはこういうものかと
改めて感心する
まつなが選手は、いっぱい話をしてくれた
彼は、トヨタのレーシングスクールで
(フォーミュラトヨタを使うハイレベルなスクール)
その先生をしている
その話だけでも、たっぷり2時間はあった
どの話も、ものすごく面白い
その中で、特に印象的な話を一つ
「今、16歳から本格的なレースに出られるようになってきて
スクールにそんな若い才能のある子達が来るようになった
そんな中で、本当に速くなる子と
そうでもない子の
差が大きくて
その差が何でつくかというと
“素直さ”なんです
こちらが教えることを
どんどん吸収する子は
わずか3日間の間にも、びっくりするほど速くなる。
最初のレースで後ろの方にポジションしていた子でも
最終日のレースで
トップになってしまったりするのです。
いくら教えても、教えている間から反発したり
聞こうとしない子は
教えても、ちっとも速くならない
速くなる事を教えているのだから
教えられたことを
素直に受け入れれば、速くなるのが当たり前
受け入れなければ、速くならないのが当たり前
本当に速くなって、世界のトップに出て行くドライバーとは
実は、そんなことの積み上げなんですよ。」
そう言って
実際にそのスクールで速くなって出て行き
活躍している若いドライバーを何人か上げてくれた
それは
私でも知っている有名な人たちであった
「教えられている時には、とにかく、とりあえず受け入れること
受け入れてしまうことが肝心で
ぜ~んぶ受け入れてしまってから、考えればいい。
とりあえず受け入れてくれないと
教える方も、教えようがない。」
とは、私がよく言う言葉
そして
洗車スクールでも、社員教育でも
いつも、痛切に思うこと
「自分は分かっている」と勘違いしている者は
人の言うことを
とりあえずでも
受け入れることをしない
こうなると、もうまったく教えることが出来なくなってしまう
その時が、その人の成長の終点である
まつなが選手から聞いた
「速くなる若いドライバーと、ならないドライバー」
符号が合う話で
私はつい、こんなことも思ってしまった
※私は、素直に人の話を聞く
信じられないかもしれないが、ホントに聞く
とりあえず偏見を持たずに聞くことは出来るつもりだ
特にレースの事については
私はムチャクチャ素直である
「トッすると、私はとんでもなく速くなってしまうかもしれない。」
一瞬の勘違いが私の頭をよぎった
私が
「へえ~、レースドライバーは才能で決まると思っていました。
素直なことで決まっちゃうんですね」
と、まつなが選手に言ったら
「素直な子でも、教えられた事が出来ない子もいます。
素直かどうかは、才能があってからの話ですけどね」
と言った
一瞬の勘違いは
やはり、一瞬のうちに、脆くも崩れ去ったのであった
わざわざ訪れてくれた
まつなが選手
ついでに、付け加えるならば
昨日書いた
MINEで速く走れるようになる私のレーシング理論は
まつなが選手の
タイヤの“グリップを100%使い切る”走行理論の前に
やはり、木っ端微塵に崩れてしまったのである
※図を描きながら、コーナリングテクニックを教えてもらう
私の頭はグチャグチャになってしまった
約10日後に迫ったぶっつけ本番のレース、どうなってしまうのであろう
※値千金、まつなが選手の一番速く走れるコーナリング理論