谷 好通コラム

2002年11月05日(火曜日)

564話 薬屋と洗車屋?

薬屋の看板を出したスーパーマーケットが出現した
あるいは、薬屋なのに
スーパーマーケットを始め
それがチェーン展開して、結構繁盛している
何故だろう

 

人々が豊かになった時
栄養補給の意味の食事から
嗜好の意味での食事に変わった

 

みんなうまい物を食べたいと思う

 

そして、健康についても
病気を治す、あるいは病気にかからないようにすることから
きれいな肌でいたい
痩せていたい
太っているから、痩せたい
脱毛を防ぎたい
などなど
嗜好を伴った健康
より快適であり、格好のいい健康を望むようになった

 

つまり
病気というアクシデントが対象ではなく
平常の状態での、より嗜好を伴った健康を望むようになった

 

アクシデントが対象ならば
そのアクシデントの恐れがある時、あるいは勃発した時
つまり薬局は、たまに用があるだけだったが
平常でのより嗜好を伴った健康を望むならば
平常の時にも
薬局に用があるようになる

 

ある意味では
薬局が「美容相談所」のような役割を持つようになったわけだ

 

嗜好が対象ならば
商品は幅が広くなり、選択の幅が多いことを消費者は望む

 

商品の幅を広くするためには、店舗の大型化が必要である
そして、病気が対象の時には
ことが重大になれば「医師」という専門家の出番だが
嗜好のための健康には
医師は対象外である
(美容整形は別)

 

病気のための薬=必要商品
嗜好を伴った薬=欲求商品

 

だから、専門家である薬剤師がいて
より選択の幅の多い、大きい店舗が好まれ
しかも、その薬局に多い頻度で来店することになる

 

来店頻度の高い店舗ならば
他の物を置いても売れるはずである
そして、薬について信頼を持っている店舗ならば
そして
それに何らかのつながりのある商品ならば
消費者は喜んで、買うだろう

 

それが
薬屋が化粧品を売るようになり
健康食品つながりで、食品全般を売るようになり
お菓子を売るようになり
何でもかんでも売るようになり
スーパーマーケットになってしまった

 

薬という商品で、スペシャリストの存在である薬屋の
スーパーマーケットは
ただのスーパーマーケットに対して
優位点を持つ存在として、差別化に成功した

 

と、ここまで考えてくると
この考え方は、車のアフターマーケットにも言えるのではないか
と思ったのである

 

つまり
「薬」と「洗車」を結びつけて考えることも出来る、ということ

 

「洗車」は、「燃料」など必要商品に対して
嗜好品、つまり欲求商品である
「洗車」を切り口にして
「洗車」のスペシャリストである「洗車屋」を構築することによって
車のアフター商品の
スーパーマーケット化が出来る
そう考えたのである

 

ガソリンスタンドは、「燃料」という絶対的に必要商品を
切り口に
「オイル交換」「タイヤ販売」「バッテリー」「ラジエター・クーラーのメンテナンス」
という車のメンテナンスに
オールマイティーの商売を展開してきた

 

整備業、ディーラーは
車の販売と、法的必要商品「車検」を
切り口に
やはり、車のメンテナンスについて
オールマイティーの商売をやってきた

 

そして、時代が進み
人々が豊かになった時
ドライブショップは
最初
カーオーディオで消費者を惹きつけ
ファッション性の高いアルミホィール
ロープロファイルタイヤ
スポーツマフラー、強化サスペンション
などなど、嗜好性の高い欲求商品を
切り口に
車のメンテナンスについて、オールマイティーの商売をも構築した

 

この辺から、ガソリンスタンドの車のメンテナンスに対するビジネスは
ズタズタになってきた

 

ある時までは
ドライブショップの業態が、車のアフターマーケットを
独占するのではないかとさえ思われたが

 

タイヤやメーカーが
ファッション性の高いタイヤを前面に押し出したショップを作り
それを切り口に、
車のアフターマーケットに進出し

 

カーディーラーも
エアロパーツなど、嗜好性の高い商品を前面に押し出して
メンテナンス商品の目減りにストップをかけ始めた

 

結果
ドライブショップは、一時のような勢いがなくなってきて
スーパーオートバックスなど
店舗の巨大化、商品のより嗜好化、品揃えの多面化によって
反撃している

 

こんな時代の流れの中で
「洗車」は、蚊帳の外
誰もこの嗜好商品の
切り口としての可能性に目を向けなかった

 

一般商品を扱う既存のスーパーマーケットが
薬屋に目を向けなかったように

 

嗜好品の傾向を持つ「洗車」に
スペシャリストとしての能力を持つ店舗が
これを切り口に
車のアフターマーケットを広くビジネス化したら
どうだろうか

 

車をキレイにする能力について
他の形態の店舗に対して優位を持ち
その集客力
洗車が日常的な購買の欲求商品であるが故の、集客力、

 

それを切り口にしたら
他の形態の店舗に対して、優勢な差別化になるのではないだろうか

 


いつも車をキレイにしてもらう店で
そのキレイに、信頼が置けるので
オイル交換もやり
タイヤ、バッテリー、ワイパーも交換して
車検も依頼し
車に傷ついた時には、バンキン塗装もやってもらう

 

そんな可能性を
薬屋がスーパーマーケットとして急成長している様子に
見つけた思いなのです。

 

とりあえずこんな風にして見ようとしています。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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