谷 好通コラム

2002年11月03日(日曜日)

563話 薬屋と洗車屋?

時代の流れに従って
小売業は、その形態をさまざまに変えてきた

 


私がまだ子供の頃は
八百屋さんがあって、魚屋さんがあって、肉屋さんがあって
そんなお店が集まって出来ている“公設市場”が
一番便利で、利用していた
それぞれのお店の人たちの顔を全部覚えていて
その人達は、ある意味で地域の有名人でもあった
そんな覚えがある

 

「大昔の楽市楽座」の頃と、それほど変わらない小売のあり方、原点である

 


また、百貨店は、高級であって
しかも、日常品以外の何でも揃っている
「今から百貨店に行く」と言うと、友達から羨ましがられたものである
百貨店、デパートは「便利なスタータス」でもあった

 


初めてスーパーマーケットを経験したのは
自分が中学校に入った頃(35年ぐらい前)
店に備え付けの籠を持って
自分で商品を選び
自分で籠に入れ
キャッシャーに持っていって、まとめて会計をする
“セルフ”
それは、新鮮な買い物であった

 

自由に物が選べる「自由度」と
極力、人件費を省いた「安さ」が売り物であった

 


その安さを
大量仕入れ、薄利販売を追及することによって
「より安さ」を実現し
日常品も含め、豊富な品揃えの魅力も加わって
ダイエー、イトーヨーカ堂など、
百貨店のようで
しかし、より庶民的な大店舗が急成長した
私が社会に出た頃(30年ぐらい前)であったような気がする

 


これより少し遅れて
“コンビニエンスストア”が出現

 

売り場面積わずか50坪程度の小さな店舗に
菓子、弁当、飲料水、週刊誌、文房具、日用品、などなど
あったら便利なものを
売れ筋商品だけ、ビッシリ揃え
住宅地に、きめ細かく出店することによって
消費者に一番近い場所にある
「一番手近な便利さ」を作った
大して安くはないが
ものすごく便利な小売業として、小さな、しかし大きな存在として
日本の文化にしっかりと根付いた
(私の息子などは、コンビニさえあれば何年でも生活できる、と豪語?している)

 


同じ頃
私が夢中になった店がある
“ホームセンター”
メジャーを買って、材木を買って、釘を買って、板を買って
ペンキと刷毛を買って
自分で大工仕事が出来る
Do it your self DIY
大工仕事から、水道、庭仕事
なんでも自分でやれる道具と、材料が売っていて
初めてホームセンターを訪れた私は、狂喜した

 

家(中古住宅)を買ったばかりで
やりたい事だらけ
早速、猫の額ほどの庭に
大きな鳥小屋を作った
高さ180cm、幅180cm、奥行き120cm
この大作を作るのに、1ヶ月と5万円ぐらいかかった
作っている間中、仕事中でも
私は小屋をどう造っていくかばかりを考えていた、夢中だったのである

 

出来上がって
インコを20羽ぐらいと、ウズラを10匹ほど飼った
インコは、「ギャーギャー」とけたたましく
うるさくて、何ヶ月かあとに誰かにやってしまった
鳥小屋はほとんど、もぬけの殻
それから、ブロックを買ってきて、庭を造ったり、車庫を直したり・・
しばらく色々やって
そして、私は大工仕事に“飽きた”

 

しかし、それからもホームセンターは、私の大好きな店になった

 

ホームセンターは、「DIYという切り口で」
一時代を作ったと言える

 


最近、馬鹿デカイ店舗が、立て続けに開店している
JUSCO、UNY、MYCAL、ヨーカ堂などが
何千台級の広大な駐車場と共に
自店ブランドの売り場と、数多くのテナントを包み込んで
それは
巨大戦艦のように、田んぼの真ん中に忽然と出現した

 

桁外れの投資を伴う巨大店舗造りは、社運を賭けてのものであり
財務的に弱いMYCALなどをあっという間に潰し
勝ち残ったものが
繁栄を貪っている様に見える・・・
これが最終的な生き残り組みか?
いや、まだまだこれからである

 

これらメガマートは
あたかもディズニーランドのように装飾され
店内は、非現実的に楽しさを演出する
このような店が、デフレのこの世の中でどのようになって行くのか

 

「買い物は、遊びであり、レジャー」になった

 

 


と、同時に忘れちゃいけない
「100円ショップ」「ディスカウントショップ」
多少商品に難があろうと
ここまで安けりゃ、誰も文句を言わない

 

資金繰りに困ったメーカーの横っ面を、現金で、はたいて
タダ同然で仕入れたものを
とことん安く売る

 

これも商売の一つの在り方

 

※と、ここまでは、従来の、大雑把な小売店舗の変遷

 

※※
ところが、ところがだ!

 

このところ、私の理解を越している店舗が急成長している
「薬屋」だ
薬局がスーパーをやり始めた
しかも、薬局の名前のままで

 

私は薬屋にはほとんど縁がない
たま~~に、二日酔いの薬を買うぐらい
だから
最近いやにデカイ薬局が出来ているなぁ、と思っていたが
中に入ったことがなかった

 

会社の帰宅途中に
今までにない馬鹿でかい薬局が建設されている
それを見て
一回、デカイ薬局というものを見ておかなくては
と思って
すでに開店している他のデカイ薬局に入ってびっくり

 

薬はもちろん、化粧品、洗剤ぐらいまでは解かるが
インスタントラーメンやら
食料品は
へたなスーパーより立派な売り場で
品数も、よっぽど揃っている
そして
ビール、酒などまで売っているではないか
薬局がだ!
酒は、百薬の長と言うぐらいだから
まぁイイとしても
タバコまで売っているのは、信じられなかった

 

ヘビースモーカーの私が言うのもなんだが
世間は、「タバコは有害」の大合唱
薬局が、毒とも言えるものまで売るなんて

 

薬を切り口にしたスーパーマーケットとは
一体これは何なのだろう

 

これは、何かのヒントになる

 

この続きはまた、明日

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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