2001年09月25日(火曜日)
231話 「栄光のル・マン」
1971年「栄光のル・マン」、アメリカ映画である
年配の方なら、覚えて見える方も多いだろう
主演・スティーブ・マックウィーン
私も、昔のことで、あまりはっきり覚えていないのだが
現役のポルシェ・ファクトリドライバーである「ジョー・シファート」とか
「ビック・エルフォード」とかも、出演していたと思う
ポルシェ917とかフェラーリP4という、当時、最速のレースカーが
ものすごい迫力で、画面いっぱいに走り回り
大クラッシュシーンもあって、度肝を抜かれた記憶がある
スティーブ・マックイーンは若いとき
テレビ映画の西部劇俳優であった
劇の題名は忘れてしまったが、劇中での彼の名前は「ジョッシ・ランドル」
ウィンチェスターのライフルを短く切り詰めた銃を
拳銃のように使っていた
単純明快な勧善懲悪もの
オヤジがこの西部劇の大ファンで
私も、親父のひざの上で必ず見ていた
その後、名作「大脱走」「7人の(荒野の?)ガンマン」などで
世界的な俳優となったのだ
「シンシナティ・キッド」とか「パピヨン」とか名作が多いが
この「栄光のル・マン」は、私にとって別格の映画である
スティーブ・マックイーンは、俳優であると同時に
超一流のレースドライバーでもあった
だから「栄光のル・マン」の中でも、実際に彼もドライバーとして出演し
実際にドライビングもした
のみならず、セブリンク12時間レースなどで
優勝か準優勝したかで、レース実績も超一流だった
スティーブ・マックイーンは本当にすごいと思うのです
“私の憧れの的”
芸術家としても超一流の上
レースでも、道楽の領域をはるかに超して、超一流だったのだ
レースは、ちょっとやそっとで、出来るものではない
ホントに大変なんです
日常生活とは全く異次元のスピードで、目いっぱいのGを体中に受けながら
両手両足を瞬間的に
しかもデリケートに、めまぐるしく動かしながら
正確に車をコントロールしなければならない
しかも、路面状態と、レースカーのコンディションは刻々と変わっていく
的確な状況判断をしながら
それに適応したコントロールを自分で作り出しながら
しかも
“闘う”のです
「勝ちたい!」と、アドレナリンを溢れんばかりに分泌させている猛獣ども・レーサーと
“闘う”のです
体力と
判断力と
集中力
瞬発力
何よりも強烈な“気力”が必要だ
そして、それらをすべて欠けることなく、発揮できなければならない
私が走っているような草レースでも
本気で真剣にならなければ
走ることすら大変で
完走しようと思ったら、全気力を出し切ってしまうぐらいの、つもりがなくてはならない
ましてや、本気でレースに勝とうと思ったら
レースカーのセッティング能力
レースにおいての駆け引き
などなど
並大抵ではないのだ
わがヘナチョコ達は、たったこれだけの、今のレベルで
「こりゃ大変だ」とノックダウン寸前なのです
それを、スティーブマックイーンは、
私達の“キーパーレビン”の馬力(それでも190馬力はある)の
3倍・4倍のパワーがあり
そのクセ、車重は同等か、それ以下か
つまりパワーウェイトレシオにおいて、4.5倍もあるモンスターマシンを
乗りこなし
世界中から選ばれた一流のドライバーの若い人たちを尻目に
勝ってしまうのであった
しかも!
私とあまり変わらない年齢になってから!
※マックイーンが乗った「ポルシェ917」とほぼ同型の車
(これは、1969年日本グランプリでジョー・シファートが乗った時の写真)
私など、想像もつかない力だ
「金持ちの道楽」などというレベルでは、とても考えられない
一体、彼をそこまで突き動かした力とは何だろう
私は
“強く”“濃く”生きたいという、底なしの欲求だったのだと思う
楽なんかしなくてもいい
“濃く生きたい”という気持ちの、かたまりだったのだと思う
私など到底、足元にも及ばないであろうが
我が憧れの的の生き方の
ホンの真似事でもしたいと、思ったりするのだ