2001年03月13日(火曜日)
第52話 商売って?
ここは台湾
故宮博物館を見てきた
展示物はすさまじいまでの逸品ばかり
“なんでも鑑定団”流に言えば
「こんな一品があるとは驚きましたねぇー、値段のつけようがありません」と
絶賛の言葉を貰う様な物が何千と並んでいる
展示待ちで倉庫に眠っている作品が、まだあと、この70倍?あるともいう
展示物の一つ、象牙細工の作品
精緻極まる逸品
気が遠くなる時間を費やし、「職人が一生かけてこの一作を彫り上げた」と解説された
一つの逸品と引き換えの人生
私には想像のつかない人生のあり方である
その作品と人生、スゴイとは思うが、少なくともうらやましいとは思わない
また、ここに展示してあるもの
ほとんどが北京の紫禁城にあった宝物だが、それがこの台湾にある由縁を考えると複雑なものを感じる
さて今日のメインテーマ“商売って?”
●昨日、現地のガイドさんが言った
「あした、故宮博物館に行くのなら、私がタクシーの手配をして上げます。
片道、日本円で1200円ぐらいです。よろしかったら電話をください。
私の電話は24時間いつでもオープンです。」、と(往復で2400円)
その時は「へぇ~安いぢゃん」と思った
●ホテルの前でタクシーを指図している背広姿の男
「故宮博物館に行くなら、ここのタクシーを“往復で使うと安いよ”
往復で500元(日本円で約1900円)でいいよ
帰る20分前に電話くれれば迎えに行って上げる
故宮博物館で客待ちしているタクシーは、メーター使わず片道300元(約1140円)取るから、損だよ」、と
●結局、世話はいらないと言って単独でタクシーに乗り博物館に向かう事にした
2台のタクシーに分乗して、私のタクシーが後にホテルを出た
故宮博物館までメーターで190元(約720円)であった
ところが、先に出たタクシーが後から着いて220元(約835円)
チョット遠回りされたらしい
●今度はホテルまでの帰り道
客待ちのタクシーにホテルの名前を告げ、乗ろうとすると「お茶の卸しの店を親戚がやっているのでそこに寄って行こう」と言われた。
断ると
だったら、別のタクシーに乗れ、と実質的に乗車拒否
しかたなく
●別のタクシーに乗ったら
このタクシー“安全運転”で、“信号を守って”走った。こちらで初めての経験
そのくせ、いやに早くホテルに着いてしまった
出ていたメーターが“170元(約645円)
うれしくなって、200元払って、オツリはチップとしてあげてしまった。
大変面白い経験をした
?ガイドのお世話では → 片道1200円、(往復2400円)
?ホテル前の背広男 → (片道850円)、往復1900円
?行きのタクシー(私)→ 片道 720円、(往復1440円)
?行きのタクシー(後)→ 片道 835円、(往復1700円)
?客待ちのタクシー → お茶の店に寄る事が条件 → 乗車拒否
?帰りのタクシー(私)→ 片道 645円、(往復1290円)
往復でたった1000円チョットの差であるが、大変面白かった
?の乗車拒否以外は全く腹も立っていない
その国、その人で色々あるのだろうからイイじゃないか、と思う
みんな精一杯“商売”したのであろう
ここでの、この人達の商売とは、ピンハネの事、遠回りでもして料金を上げる事
ここではそう言うものナンダなぁーと、何の軽蔑もなく、本気でそう思った
※ナントこのタクシー、ホンダの“シティーの新型”、シティーはこの外国で、私達の知らぬままモデルチェンジして生き残っていたのだ
私達から見ると?のタクシーがマトモであるわけだが
この人達から見ると?は機転が効かない“アホ”なのかもしれない
しかしこの国が、世界の中で躍進し切れない根っこの部分の原因を、見たような気がした事も事実だ。ひょっとしたらCSの土壌が欠落しているのかも
?のタクシーは普通の事をやっただけ
実はCSとは、こういう事だけなのかもしれない
客から見て当たり前の事を、“普通”にやっていく事。当たり前にやって行く事
こういう事が多分、一番強いのだろうと思う
※故宮博物館で一番好感を持ったもの、入り口のバカでっかいコマ犬の“ケツ”
正面からのいかつい表情とは裏腹に、“なんとも可愛いケツのライン”