谷 好通コラム

2021年08月14日(土曜日)

8.14.「失ったものを数えるな。残された機能を最大限に活かせ。」とは思わない。

「失ったものを数えるな。残された機能を最大限に活かせ。」とは、

パラリンピックのテレビコマーシャルの中で言っていた有名な言葉らしい。

言葉としては普通にいい言葉だが、

これは健常者から障害者を見た言葉で、

障害者が自分の持っている障害に負けずに活躍する所を見た言葉です。

実は、障害者自身ははそんな風にはまったく思っていないのです。

 

何故かというと、

私も自分が4才でポリオを罹患してその時から障害を持っていますが、

「自分にこの障害が無かったら、どんなに良かっただろう。」

とは、思ったこともなく

「この障害が無かったら、こんな苦労はしなかったのに。」

とも、まったく思いません。

 

だから、

人生のほとんど最初から障害を持っていると、

その障害を持っている自分が自分であって、

自分にとってはそれが普通だから、

「この障害が無かったら…・」とは全く考えたことが無いのです。

だから、

最初の言葉「失ったものを数えるな。・・」は、

そんなものは数えたことが無いので、

かえってよく解らない言葉で、

本人にとっては「失ったもの」という概念すらないのです。

だから

「残された機能を最大限に活かす」とも思っていません。

普通にただ頑張っているだけです。

障害があったとしても、無かったとしても同じです。

 

しかし、子供の時はずっと健常者で、

人生の途中から新たな障害を背負った人には、

この言葉が当てはまるのかもしれません。

そういう人は、その障害を解決できる可能性があるのなら、

その努力を必死でするでしょう。

元に戻れるものなら、絶対に元に戻りたいと最大限の努力をするでしょう

かえって逆に

「失ったものを数えるな。残された機能を最大限に活かせ。」とは思いません。

私も最初から持っていた障害に加えて

歳をとってからもう一つ障害を背負ったので、

絶対に元に戻って見せると、強く思っています。

 

とすると、

「失ったものを数えるな。残された機能を最大限に活かせ」とは、

人生の途中で障害を持った人で、

元に戻る可能性がない人に限るということになります。

 

しかし、こう書いてきて、

せっかくのパラリンピックの標語のような言葉に

ただ単にケチをつけているだけみたいで、

後ろめたくなって来たので、もうやめます。

 

可愛い小ミミの写真はサービス(笑)。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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