2024年05月25日(土曜日)
05.25. 長い行列が出来ていたラーメン屋がガラガラになっている。
近所にあるラーメン屋さんがテレビのグルメ番組に取り上げられて、
それから有名になり、爆発的にお客さんが増えて、行列が出来るようになった。
いつ行っても行列に並んで
ラーメンを食べられるまでに1時間以上かかる。
ラーメンを食べる為にそんな無駄な時間を潰せる人はそんなに多くなく、
何度も来る人は少なく、私も二度と並んだことは無かった。
それでも、テレビで取り上げられた有名なラーメンを1度は食べてみたいと、
新しい客がどんどん来て、
行列の長さはしばらく短くならなかった。
店内はいつも戦争のように忙しく、
店員さんは、次から次へとやってくるお客さんが座る場所を指定して、
お客さんの注文を機械的にテキパキと聞いて、調理場に伝え、さばいていた。
もちろん無駄口など叩かない。あくまでもテキパキとさばいていた。
その内に一人のお客さんが
「すいません、味噌チューシュー頼んだんですけど、」と、
出てきたラーメンが違うという、
店員さんは「あーすいません。すぐ作り直します」と言うかと思ったら、
「えーっ、そうですか。」と言いながら、
不満そうに作り直した。
長い行列ができ始めてから、
店員さんの笑顔はまったく無くなって、ただ、さばくようになっていた。
忙しくてそれどころではなかったのだから、仕方がないと言えば仕方がない。
しかしそのイメージは、
店員さんが上からお客さんを見ているかのようだった。
肝心のラーメンは、たしかに美味しくはあったが、
スープに特徴があって変わってはいたが、クセになるようなものではなかった。
物珍しさに新しいお客さんが次から次へと来るのですが、
何度も何度も通う人は少なかったので、
あるいは不快を感じる人もいて、
ましてや、ここはそんなに大きな町でもなく、何年か過ぎたら行列は消えた。
しかし長い行列が出来ていた頃、このラーメン屋はすごく儲かっていて、
そのラーメンにもすごく自信を持つようになっていて、
隣の大都会の繁華街の一等地に出店を出していた。
もちろん「○○テレビで紹介された○○ラーメン」とでかでかと看板を出して。
当然、その出店は繁盛した。
しかしその大繁華街には強い競争相手がごろごろしているので、
長い行列までは出来なかったが、桁違いに濃い需要に十分大繁盛が続いた。
店主はますます自信を持ち、スタッフ達も大きな自信を持ち、
田舎町にあった本店の行列が消えたことには、何の危機感も持たなかった。
その頃本店は、行列が無くなって空席が目立つような暇な店になっていた。
しかし、本店の店員さんの態度は相変わらずで
「大都会の繁華街で人気のある○○ラーメン、田舎町にはもったいない。」と、
暇な店なのに、何となくお客さんを見下すような客さばきをする。
当然、その本店は、相変わらず暇な店のままで
結局、その○○ラーメンは、
相変わらず2店舗から増えて行かず、今でも相変わらずである。
○○ラーメンは、それほど大したことは無いとは思うが、
世にある何100店舗もの△△ラーメンチェーンぐらいは十分に美味しい。
しかし、
本店で一度長い行列が出来た時に、
つまりオーバーフローしてしまったぐらい人気が出来た時に、
店員を含めて店のみんなが勘違いをして、
お客様をありがたいと思う気持ち、歓迎する気持ちを見失ってしまった。
さらに大都会の繁華街、大きなマーケットに2店目の出店を造って、
そこも繁盛したので、その勘違いに確信を持ってしまって、
お客様をありがたいと思う気持ち、
「歓迎する気持ちを取り戻す必要性」すら見失ってしまい、
結局、そこまでで終わってしまった。
店にお客様が溢れてオーバーフローした時、
一番大切なもの見失う危機がそこに発生して、
それを取り戻す必要性すら見失い、そこで終わってしまう危機がそこに生まれる。
我々は、決して勘違いすることなく、謙虚さをもって、
自らを磨いていかねばならない。
お客様にとっての価値、確かなキレイさを生み出す為に技術を磨いていかなければならない。
今年の技術コンテストも、予選参加者が5,100名を越しました。