2001年09月05日(水曜日)
216話 快洗隊の宝物
洗車、あるいは磨きは、れっきとした技術である
キチンとした技術なしでは、プロの洗車や磨きと呼べるものは出来ない
素人とあまり変わらないような技術で
金を貰っているという事だけで“プロの洗車”を名乗られては
客としてはたまったものではない
そんなことを一度経験してしまうと、その店の信用はガタ落ちだ
だから、私たちは「訓練」ということを非常に重視している
訓練をするには
まず
「マニュアル作り」
するべき作業を、出来るだけ詳しく、具体的に文章にする
必要ならば写真も多用する
私たちの持っているマニュアルは、若いスタッフが作っている
現場で十分な経験をして
何をすべきか、何をしてはならないのか、どういう順番がいいのか
改良に改良を重ねて、プロトタイプを組み上げ
実際にそれを使って、たくさんのインストラクションを通して
また改良して作り上げたものだ
そのマニュアルを使っての訓練
?
受講生にマニュアルを持たせ、解説しながら作業をやって見せる。
※このとき肝心なのは、「なぜ」ということ
この作業は、なぜこうやるのか、その理由をきちんと説明すること
人間、“なぜ”がハッキリしていないと
つまり納得しないと、なかなか覚えられない
?
見せて、聞かせた後、やらせる
マニュアルに従って、少しずつのパーツに分けて
作業を練習させる
?
一つ一つの作業を正確に出来るようになったら
商品単位で連続して作業をやらせる、この時は「制限時間を決めて」やらせる。
これを「タイムトライアル」と言っている
?
これが一番難関、制限時間内に全部、正確に作業出来て、やっと合格となる
?でなぜ時間を制限するのか、時間を制限することによって
集中して一生懸命作業しないと
合格できないようにしてあるためだ
そう簡単には合格できない、何度も繰り返しトライアルする
苦労して合格したときは、みんな嬉しそうであるし、自信も持つようだ
?では、作業を頭で覚える
?では、作業を手で覚える
??では、集中して作業を繰り返すことによって、“体で覚える”
技術は体で覚えて、初めて身についたことになる
ここまでやると、とりあえずプロの洗車と磨きが出来るようになる
あとは、この技術をどう維持していくかである
(その方法については、またの機会で)
このタイムトライアルでは、なかなか合格しない人もたまにある
?
なかなか集中できずに、途中で気が散ってしまい、作業が正確に出来ない人。
残念ながら、この人は洗車に向いていない
洗車は、自分の目で汚れを確認しながら進めていく作業だから
ある程度の集中が必要である
タイムトライアルという、緊張状態ですら集中が続かない人には
普段の仕事では、毎日、何度となく繰り返される洗車作業において
集中を維持することは、やはり無理だと言わざるを得ない
「君は、“この仕事には”向いていないようだよ」
と言って、やめてもらう
店のためにも、本人のためにもその方が良いと考えている
?
少し不器用で、なかなかスムーズに手が動かない人、でも一生懸命な人
こういう人は、宝である
何度も何度も、目に涙を浮かべながらも、必死でチャレンジする
ほかの人の4倍も5倍も苦労して
やっとの思いで合格した時は、さすがにみんな感動する
研修などで、こんな苦労する人がいた場合
「早くに合格した人は、先にもう帰っていいですよ」と言っても
みんな、なかなか帰ろうとしない
みんな、ジッと声を出さずに応援している
それがプレッシャーになって、頑張ってやっているその人には辛い様だが
それでも
何度か目で合格したときには、みんな拍手喝采である
苦労して合格したこの人は
“宝”である
普段の洗車作業のときも、決して乱れない
体の深くまで染み込んだ技術は、そう簡単には乱れない
安心して仕事を任せることが出来る
また
新人の教育も任せられる
自分が本当に苦労しているので、苦労している人の気持ちもよく分かる
が、決して妥協もしない
パイロットショップ刈谷快洗隊のチーフ
井内純というスタッフがいる
彼が快洗隊の宝物
26歳の若者だが、いわゆる「口下手」な方で
調子よく立ち回るタイプではない
彼もタイムトライアルでは苦労した方だった
しかし、今では最も信頼できる技術スタッフとして、「チーフ」を任されている
彼も頑固なまでに、自分の仕事に妥協しない
信頼できるスタッフとして、快洗隊のなくてはならない貴重な存在である
※ちょっとはにかんだ、研修生には鬼軍曹の井内チーフ
今日も盛況だったワンデースクールが終わり
参加者が帰っていく
ホッとするが、でも最後の緊張の時間
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