2001年11月28日(水曜日)
290話 テレビを消すと
長い時間テレビを見た後
ポツンとスイッチを切ると
思いもよらぬ静けさが広がり、ハッと我に帰る
我に帰る
私は、夜12時前にはめったに寝ない
ほとんどの場合、何かしらやることがあってテレビを見る事はないが
イヤ、正確に言うと、テレビをつけていてもほとんど見ていない
見ていても、私のクセで
コマーシャルになると必ずチャンネルを変えてしまい
同じ番組を見ている事はない
だから
内容は、ほとんど分かっていない
テレビは“鳴っている”状態
眼がテレビのほうを向いていても、他ごとを考えている事が多い
テレビは、点けていないと静か過ぎて寂しいから
点けているようなもの
それでもテレビが面白そうなことを言うと
見入ってしまうこともある
あるいは、一時的に聞き耳を立てることもある
もちろん好きな番組もいくつかあるが
コマーシャルは好きではない
特にサラ金のコマーシャルは、大嫌い
ものすごく嫌い
「初っめてのー○○○」
耳に残るショートメロディーと共に
悪魔の誘いの言葉
サラ金のコマーシャルは、どれもこれも
『やさしく』『怖くなく』『スマートで』『気軽さ』を強調する
本当は、怖いからこそ、怖くないと思わせたい
実はやさしくないから、「やさしい、やさしい」と繰り返し、実態を覆い隠そうとする
ある種のTVコマーシャルは、自らの商品を売ることだけを目的とし
その内容が、相手の幸せに反するものであっても
結果として、売れることだけを“善し”とする
あらゆる計算が張り巡らされ
繰り返し、繰り返し、刺激を与えることによって、コントロールしようとする
その意思が見え
私は概してTVコマーシャルが嫌いだ
自分の商品を知ってもらおう
あるいはポリシーを知ってもらおうと、そんな真面目なものもある
しかし、概して多くのTVコマーシャルはアジテーションに終わっていて
そして、そのアジテーションも実体を現していないものが多い
コントロールされることを好む人は、あまりいない
私も嫌いだ
自分自身の目と耳で実態をきちんと見て、自分自身の価値観で判断したい
人の目的のために、アジテーションで自分をコントロールされたくはない
商品の告知は、商売にとって重要な手段であり
それ自体は、なんら非難すべきことではない
消費者が商品を選択するために、必要なものであり、大切なものだ
絶対、必要なものである
しかし、実態から眼をそらすための
有りもしないものを、有ると思わせるための
あるいは、多くの人をコントロールして、画一的な好みを作り出す
そんな流言飛語のような
コマーシャルは、キライだ
流行には全く興味ない
みんなが着ているものを着ていたいなどとは、全く思わない
流行の多くは作為的に作り出されたもの
流行っているから、欲しいなどとも全く思わない
コントロールすることを目的としている種類のコマーシャルは
その画面も音も、嫌悪感を覚える
コマーシャルに限らず
時間を潰すためだけのテレビなら、見ても何の意味もない
コマーシャルに繋げていくためだけのTVが、ものすごく多いと思いませんか
ちゃんと目的を持って見ることが出来る番組も有る
それはそれで意味があるし
きちんと見る価値がある
しかし
人の脳みそを刺激して
見続けさせ、巧みにコマーシャルに誘導しているだけのTV番組なら
見る必要など何もないと思う
その証拠に、そんなものを見た次の日、何を見たか憶えてもいない
刺激が強く、記憶に残ったものがあったとしても
何の意味も持たないものが残っているだけ、の場合が多いのではないだろうか
私もいつの間にか、画面と音の虜になって
ダラダラと見入ってしまうことがある
そんな時、思い切ってスイッチを切ると
ビックリするような静けさが、そこにあることに気づく
そして、無駄な時間を費やしてしまったことを後悔する
そんなこともよくある
テレビそのものは、多分一番強力な表現媒体だろう
だからこそ、それを活かした番組も数多くある
テレビは、ほとんどの人にとって一番大きな情報源であろう
だからこそ
テレビは、自分の意思で選択して視るべきであって
だらだらと、テレビを点けっぱなしにして
それを何の抵抗もなく、刺激のままに見続ける事は
他人の恣意的なコートロール下に身をさらすことになる
今まで何万時間もテレビを見てきて
その時間の価値に匹敵するものが残っているでしょうか
“ただ見続けてきただけ”の時間の方が、圧倒的に多いのではないでしょうか
見たくないものが写った時は、チャンネルを変える
見る必要のないときには“消す”
今
テレビのスイッチを、思い切って、OFFにしてみませんか
驚くような静けさが、ふっと現れます
その時、家族の距離が急速に短くなるのを経験するはずです
本でも読んでみませんか
たまには、テレビを消して本でも読んで見ませんか
たまには
文章でも書いてみませんか
絶対後悔しませんよ
※テレビを見ているとき、こんな顔して見ているのかもしれませんね
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