谷 好通コラム

2002年10月06日(日曜日)

540話 相手に集中する

全体ミーティングでは、今
「プレゼンテーションコンテスト」というものをやっている

 

各部署から代表者が
ある一つの場面を想定してのプレゼンテーションを
みんなの前で実演して
それに対して、みんなから意見をもらい勉強するもの

 

今回は
快洗隊営業部からマネージャー畠中が
「快洗隊を見学していただいた方に対して、快洗Bossを紹介する」
西日本営業部販売1課から、藤村が
「インセクトリムーバーの紹介」
そして
東日本営業部から石原チーフが予定されていたのだが
身内の急病により
西日本営業部広島営業所の山本が
「新規の飛び込み」という設定で急遽出場することになった

 

前出の畠中、藤村はある程度の経験もあり
それぞれ意見をもらうが、そつなくプレゼンをやったのだが
傑作なのが、広島の山本
メチャクチャ
営業を始めて、まだ2~3ヶ月
無理もないが、それにしても凄い
セオリーも何もあったものではない

 

しかし、結局、みんなの審査で優勝したのは
その「山本」であった

 

相手に対して、一生懸命さが、ビンビン伝わり
間違いなく、彼は、相手を自分のファンにしてしまったであろう
こいつの言うことにウソがないと信じさせてしまったであろう

 

 

実は、私は途中でどうしても外せない来客があって
最後まで見ていないのだが
きっと、そういうことで優勝したのだろうと思った

 

相手に対して
「その時の自分のすべてをぶつける」
決して嘘をつかず
自分が本当に思っていることを
正直に
テクニック以前に、一番大切なこと

 

相手に対して自分を集中すること
誠意を持って
相手の役に立つことに集中すること

 

 

一昨日、MINEからの帰り
「福岡空港」で逆のことを経験した

 

せっかく福岡に来たのだし、腹も減ったので
博多ラーメンを食べよう
ということになった

 

博多空港にある博多ラーメン屋は2軒
私は、知っていた
どちらかのラーメン屋はそこそこだが
どちらかのラーメン屋は、はっきりマズイことを

 

それがどちらであったのか、忘れてしまって
適当に、とりあえず入った
・・・・
ハズレであった
マズイほうに入ってしまった

 

麺はドロッとしていている
湯切りを、バチャバチャとやっているだけで話にならない
スープは水っぽくて
博多ラーメン、とんこつのコクがまるっきりないのだ
出てきたシャビシャビスープに
ドロドロ麺のラーメンを
私と、H.オサムは、黙々と胃に流し込んだ

 

 

スタッフの接客も最低
客と喋る時は、能面のように無表情
むしろ、ブスっとして、何か気に入らないような表情と言葉
最低の感じ
ところが、従業員同士が喋る時は、ニコニコニコニコと
手が空いている間中
喋り続けている
「昨日、中州の◎×で飲んでたらさぁ~・・・」
店のあちらこちらで、お喋り、お喋り

 

博多の空港で
2軒だけの「博多ラーメン屋」
店を開けているだけで、繁盛間違いなし
リピート客なんて無くたって、繁盛間違いなし
一見の観光客だけで十分大忙し
「いちいち客に愛想なんか振りまいてられっかよ」か?

 

競争せずとも、繁盛することは
残念ながら同じような現象を生み出してしまうのか

 

空港の食事する所は、概して同じような傾向がある
◎例外が
同じ福岡空港なら、一番古いビルにあるレストラン
あまり、乗客が来ない不利な立地で、素晴らしい接客をやっている
それに、JAL系の喫茶店
ここは、店長が凄いので例外である

 

スタッフ通しのお喋りなら、もっとひどいところが、空港にある
手荷物検査
ここの職員は、よく喋る
いつ見ても、スタッフ通しで喋り続けている

 

ハイジャックから飛行機を、私達が守っているのだ
そんな気概など全く感じない
客に対しては、小役人のような偉そうな態度なのに
スタッフ通しは、みんな仲良しクラブのよう
喋る、喋る、喋る

 

こんなこと事で、ハイジャッカーなど見つけられるわけがない
空港に対する信頼は、ここでぶち壊しになる

 

 

相手に対して自分を集中すること
誠意を持って
相手の役に立つことに集中すること

 

仕事の大原則

 

その大切さが
山本のメチャクチャな、でも、しっかりと相手を引きつけるプレゼンを見て
また
その逆の福岡空港での体験を通して
痛切に感じたのでした

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2002年10月06日(日曜日)

539話 クリーガーの提案

5日、金曜日
朝から部長会議

 

部長会議は、意見も活発に出てテンポが速い
その内容は、まだまだこれから活性化していかなければならない課題は有るが
今年の初め、4営業部体制にしてから
色々な意味で、いい方向に向かっているような気がする

 

今回の部長会議には
午後から、ドイツSONAXのクリーガー輸出部長が来訪する
予定通り訪れたmr.クリーガーに対して
英会話教室の成果もあり
みんな、世界のビジネス共通語である英語で挨拶をする
なかなか気持ちがいいものである

 

フランクな挨拶のやり取りの後
クリーガーからのスピーチをもらう

 

○SONAXが日本のマーケットを、非常に重要と考えていること
○SONAXのコーポレートコンセプト
○商品コンセプト
○SONAXの世界戦略
○その中での、アイ・タック技研の存在に大きな注目を持っていること
など、など、など

 

外交辞令もあるのであろうが
十分に、私達を動機付けるものであり
さすがに、スピーチを一つの文化としている人たちである
SONAXの会社としての考え方
商品開発の方向は、私達が同感するものであり
それを再確認することにもなった

 

そして、SONAXが日本に進出して10年
これまで付き合った日本企業は
いずれも「行動が遅い」と、ネガティブに認識していたが
アイ・タックはきわめて異例であって
SONAXが望んでいるペースより、むしろ早すぎるペースで行動を起こしている
「むしろ“more slowiy”でも、いいのではないか」
と、笑っていた

 

それから、色々話し合いが進み
2時間の予定がかなり伸びて
快洗隊の見学も含めて、3時間半に及んだ

 

その話し合いの中で
Mr.クリーガーがこんな提案をしてきた

 

 

「目標を持とう
○○○○ユーロの買い付けを、来年の6月までにしてくれたら、
5人のアイ・タックのメンバーと、顧客を2人
ドイツ・ホッケンハイムに招待しましょう。
つまり、ドイツグF1ランプリに招待します。
もちろん、飛行機代、ホテル代、F1入場券、
そして、パドックパスでのピット招待(!)付きです。
よかったら、イギリスのF1の工場にもご案内しますよ。」

 

というもの
これは、F1を少しでも知っているものが聞いたら
びっくり仰天するものである

 

ドイツまで行けて
世界のサーキットの中でも、最高の環境にあるホッケンハイムサーキットで
ヨーロッパラウンドのグランプリを見ることが出来る
しかも、しかも
ピットに入ることが出来るという
ピットとは、グランドステンドの向こう側
見る側の向こう側、つまり、走る側のほうに入ることが出来ると言うこと
ミハエル・シューマッハ、モントーヤ、バリチェロ、ライコネン!・・・・・・
世界のスーパースター、F1パイロット達と
間近に会うことが出来る!

 

それが全部で7名
費用も、300万円以上はかかるだろう

 

目標の金額も、決して無理な数字ではない
しかし、もちろん楽な数字ではない

 

 

結論から言えば
「喜んで、お受けします」と、申し上げた

 

とびきりの“景品”を、目の前にぶら下げられたから
ヨダレを垂らして
飛びついたのか
そして
必要でもない商品をユーザーに売り付けるのか

 

勿論、違う!

 

SONAXの商品は、まじめに作られたものであり
ユーザーの利益になることを考えて作られたものである
それは、自分たちの目でよく認識していて
キーパーの考え方と一致している
それを
より正しい形で普及させるいい刺激であり、きっかけとなると考えた
「期限を持った目標」
これは、目標実現な一番有効な、目標の持ち方である

 

ホッケンハイムは、その“シンボル”である

 

期限を設け
目標を共有し
◎実現を果たし
共に喜び合い
お互いの実現力、実行力、約束に対する誠実を認め合い
信頼関係を築き上げる

 

ホッケンハイムは、そのシンボルなのだ

 

Mr.クリーガーに同行の、SONAX日本代表吉村氏は
「これは、きわめてまれな提案です。」と驚いていた

 

 

おもしろい!
See you Hokkenheim!

 

 

しかし、Mr.クリーガーは
この提案を言い出す前、more slowly と言っていたのに
話しているうちに、全く逆の提案をしてきたのだ
それも、おもしろい

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2002年10月06日(日曜日)

538話 かないそうな夢

また2日書くのをサボってしまった
この何日か、出来事が書ききれないほど沢山あったのだが
それぞれの出来事が
考えさせられることが多くて、逆に書けなくなってしまった

 

少しずつ、書いていきたい

 

水曜日に福岡、熊本に行って、充実した1日をこなしたあと
翌日木曜日朝5時に起き
MINEサーキットに行った

 

しばらくサーキットで走っていなかったので
3日分の予定を2日間に凝縮してこなしてしまい
ひねり出した1日を使って
睡眠時間を減らして無理やり作った1日

 

熊本に同行のH.オサムと
広島営業所から山本君を誘った
両名とも自分の休みを取って、来てくれた
しかも、宇部の岡田さんまで付き合ってくれる

 

サーキットでの練習は、何人かでやった方がずっと楽しい
以前、1人だけ出来て練習をしたことがあって
すごく淋しかった覚えがある

 

H.オサムと山本君は
私と違って若いし、才能もあるのだろう
あのMINEサーキットを、同じ車で走っても
私よりずっと速い

 

25番、キーパーレビンでも
1周あたり、2秒以上の差がついてしまう

 

私達が乗っているのは、“N1クラス”というカテゴリーで
改造範囲はあまり大きくない

 

改造は
走ることに必要な物意外はすべて取り去って
軽量化してあること
だから車内はがらんどう、ドライバーシートだけがぽつんとついている

 

エンジン周りも、エアコンコンプレッサーはもちろん
パワーステー油圧ポンプなども取り去って、軽量化してある

 

エンジンは基本的に無改造
しかし、ピストンのバランスとかの精度が出してあって
余分な補機がないのと
マフラーが直管になっているので
ノーマルカーよりはパワーが出ている

 

車重、800kg
馬力、180~190ps
(ポルシェの車重1400kg、305馬力と同等の、馬力/車重比)
そして
足回りはガチガチ
タイヤも、ソフトコンパウンドの「レース用のSタイヤ」(300kmぐらいの寿命)

 

N1クラスとは、ノーマルクラスとも言うが
その実、バリバリのレースカーなのである

 

 

1千万円以上もするような
スポーツカーより
70万円で、H.オサムから中古で買ったこの“25番レビンの方が”
サーキットでは“絶対”速いのだ

 

2年前、48歳の時にレースカーに乗り始めて
かなりの練習を重ねたが
夏のタイヤコンディションの悪い時期に1分48秒台
冬、タイムが出やすい時期で1分46秒台
25番レビンの元オーナー、H.オサムに2秒遅れ
私は、決して速い方ではない

 

なのに、なぜ走り続けるのか

 

レーシング走行そのものは
おじさんの私には、なかなかつらいものがあって
決して、それ自体が楽しいものではない

 

でも、あと1秒
速く走れるような気がして、仕方がないのだ

 

どのコーナーで、何を克服すれば
もっと速く抜けることが出来
どんなリズムで走り通せれば、あと1秒、ひょっとしたらあと2秒
速いタイムが出せるのか
イメージははっきりしているのだ

 

どうすれば、自分が欲しいと思っているものが手に入るのか
分かっているのだ
どうすればいいのか分かっているのに(分かっている“つもり”だけ、かもしれないが)
それが、なかなか出来ない
口惜しい気持ちと
「もう一度走れば、今度こそ出来るもしれない」
そんな気持ちが
私を、また、MINEサーキットに駆り立てる

 

 

自分にも出来るかもしれない
そう思った時
出来るようになりたい
と、思うのか

 

出来るようになりたいと思い
頑張っていると
自分にも出来そうだ、と思い始めるのか

 

どちらが先なのか、よく分からないが

 

出来そうだと思ったら
どうしても出来るようになりたいと、強く思うようになることは間違いない

 

夢をあったら
その夢をかなえたい、と強く思うこと

 

かなえたいと強く思っていると
自然のこととして、夢をかなえる行動を起こしていて

 

その行動を通じて
その夢がかないそうだと思えてくる

 

夢がかないそうだと思い始めると
もっと強くその夢をかなえたいと思えてくる

 

ここまで来たら、決してあきらめたりしない

 

そして、当然の結果として
その夢はかなう

 

夢がかなったことによって
夢をかなえ力について、自分自身に自信を持ち
もっと大きな夢を持つようになる

 

気がついたら
最初持っていた夢とは桁違いの夢を、持つようになっていて
最初の頃とは、夢を実現するための力も、桁違いに大きくなっている自分に気がつく

 

そう信じている
そう信じて今まで、必死になって仕事もやってきたし
そんな風に生きてきたつもり

 

たかがレース
でも
たった1秒、あるいは2秒、タイムを縮めることに
そして、あわよくば、レースに勝って見たい
草レースごときではあるが、勝って見たいと、強く思っているのです

 

あまりにも遅すぎたレースであったとしても
レースに対する才能など、これっぽっちもないことは分かっていても
自身にハンディがあることなど分かりきっていても

 

こんなことぐらい出来なくて
自分の持っている夢
たくさんの大きな夢を、実現などできっこないとも思っているのです。

 

そんな意味もあって、やっぱり意地になっているのです。

 

彼らも、みんな、大きな夢を持っている

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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