2003年08月12日(火曜日)
774話 快洗隊の造り方 安城店の場合その?
私たちが快洗隊の直営店を、立て続けに何軒も造ろうと考えたのは
一昨年の暮れ
快洗隊チェーン店の第一次募集を
とりあえず終了した頃であった
もっと本格的な洗車屋を数多く構築して
洗車屋のビジネスとしての可能性を世間に示したい
そして、もっと強力なノウハウを蓄積しよう
簡単に言えばそんな意味であった
レシピ1
「店造りは人創りから、人を育てるには時間がかかる。」
まず一番時間がかかるのが人づくり
そう考え、去年の4月に4名の新卒を入れた
みっちり快洗隊で育てる
1年4ヶ月経った現在では
それぞれ力をつけ
成住君が安城店、鈴木君が知立店、杉浦君が刈谷店で
それぞれ中堅スタッフとして育っていてくれている
レシピ2
「SS跡地が店舗作りの早道であり、格安。しかし・・」
同時に始めたのが土地探し
これが意外と難航した
物件として一番ありがたいのが
閉鎖しているガソリンスタンドを、その設備のまま“貸して”もらうこと
洗車屋の設備とガソリンスタンドの設備は重複している部分が多く
改造費用だけで洗車屋を開店できるからだ
刈谷店はそんな形で造ったもの
改造は計量器の撤去、油タンクと配管を潰し
小さめのスタッフルームを新設した
あとは、ゲストルームのリニューアルで
看板も含めて、全部で6百万円程度で上がった
去年追加した快洗Bossの上のテントには約100万円かかったので
ガソリンスタンドから、今の快洗隊の形に変身するのに
7百万円程度の投資で済んでいる
だから、柳の下の“2匹目のどじょう”を狙って
一生懸命、貸してくれる閉鎖SSを探したが
結果的にはまったくダメであった
買取りの話ならば、いくらでもあったが
賃貸しの話になると、壊滅的であったのだ
時間が過ぎるばかりで、ちっともラチが空かない
半年が空転し、今回はSS跡地はあきらめた
レシピ3
「快洗隊は、コバンザメ商法も有効」
一般の更地の賃貸契約に主力を置き始めたのが去年の後半
片っ端から不動産屋さんに掛け合って
建設用地を探した
そして見つかってきたのが
知立店の土地であり
安城の土地であった
知立店の用地は、巨大スーパー「アピタ知立店」のまん前
この大きな集客力を利用するコバンザメ商法となる
これはこれで納得して賃貸契約が始まったのだが
いまいち立地に疑問があった
たしかにアピタに来たお客様には、この店を認知しやすいだろうけど
逆にアピタに来たお客様しか、認知できない
いいのかなぁ
実際には、この立地も決して失敗ではなかった
着実に知立店は実績を伸ばしてきているし、採算点も突破している。
快洗隊はコバンザメ商法も通用する。
レシピ4
「立地条件は、第一に視線との距離、数。そして住民数」
しかし
もう一つ、知立とはまったく違った立地の土地も探した
いろいろな立地にトライしたかったからだ
それが安城店
安城店の立地は
周りに、アピタのように目立った集客施設もないし
国道に面しているわけでもない
「愛知県安城市百石町2-21」
片側一車線の県道で
だから、通過車両もそんなに多くはない
その土地の手前数百mのところで、車線が狭くなり
多くの車がその交差点で左折してしまう
外食産業などの立地からすれば
あまり点数が高い方ではないだろう
その証拠に、チェーンを展開している外食店舗はその道路沿いの近く
つまり道が細くなってからは存在していない
しかし、この土地から50mほど先で大きめの道路と交差しており
その交差点でチョッとした渋滞がいつも起きている
渋滞といっても、ほとんどの場合一信号で渡りきる程度であり
迂回したくなってしまうほどでもない
そのチョッとした渋滞(100mぐらい)が
信号のたびに、その土地の前まで伸びてきていて
その場所で洗車をやっていれば
一信号、10台づつぐらいは
ジックリとその洗車作業を見ることになるのだ
道路から、その土地までの距離も近い
邪魔な街路樹もない
まともに洗車作業を見ることになる
そんな場所なので、地代も比較的安かった
知立店の約2/3の単価
しかし、広さは知立店の約1.5倍なので
ほぼ同じ地代であった
166坪×1200円/坪=約20万円/月
かの昔、安城市は「日本のデンマーク」と教科書にも載ったほどの
農業の盛んなところで
安城店の周りも、田んぼと畑が非常に多く
それほど人口密度の高いところではない
しかし、この場所の「視線」が気に入った
1~2分ごとに10台以上の車から、「じーーーっ」と見つめられる
それだけで十分に、その場所に快洗隊を建てる価値があると考えた
昨年、11月11日に物件の紹介を受け
翌日、11月12日、借り受けることを即決
意外なことに、実際に店舗を作って開店前のポスティングを始めたら
田んぼばかりのようなこの地に
密集した宅地が点在していて、予想外のたくさんの住民がいる
そのことを実感した
紙上のデータとは、ずいぶん違った良い実感を持った
追加レシピ5
「住民数は、実際に町を歩いて見ないと判らない場合がある。」
レシピ6
「レイアウトは、作業の導線で考える。SSの導線とは根本的に違う。」
土地の形は変形の台形で
決していい地型ではなかったが
レイアウトしだいで何とかなると考えた
レイアウトは、私と?快洗隊の畠中代表、快洗隊本部の池本部長で作った
何時間もかけて
地型の図面の上で、車の型を動かしながら
快洗Bossの位置とか、ゲストルーム、ピットの位置を考えていった
主導権を持つのは畠中
さすがに現場を知り尽くしている
配置を“作業の導線”の中で作り上げて行った
店舗は、そのお客様の入り具合によって
導線が変化する
そして、待ち車、時間のかかる作業の車
簡単な作業車
いろいろな時間が車によって複雑に組み合わさって
店舗の中の導線が変わっていくのだ
それは、実際に現場を回している人間でないと
具体的に洗車客の導線を見抜くことは出来ない
特にガソリンスタンドの導線とは
根本的に違うので
ガソリンスタンドでの経験はまったく通用しないのだ
出来上がったレイアウトがこれ
基本的に刈谷店の導線に似ている
(刈谷店のレイアウトは、四年前、私が造ったのだ!(^・^))
安城店の作業の導線優先のレイアウト
?出来るだけ一方向に流れるようにし
?入り口は一つ
?来店の車だまりを出来るだけ大きく取り
?洗車場は一点に集める
?ホィールクリーニングとか、水垢取りの作業を洗車上の際において
?仕上げの作業場には、できるだけバックせずに移動できるようにする
?作業場は、基本的に並列であり
作業の速い車、遅い車が同時進行で作業できるようにする
?作業が終わったら、その場で仕上がりの確認をしてもらい
並列のまま、直接道路に出ることが出来るようにする。
?精算室は、ゲストルームと独立していた方が良い
ただし、作業場からは、できるだけ近い方が良い
?ゲストルームは、作業場の車を良く見ていられる場所にあり
道路からも、その存在が分かった方がいい
?・・・・
まだまだ、細かいことはあるが
きりが無いので、これぐらいにしておく
レシピ7
「店舗デザインは、イメージをはっきりとさせる」
レイアウトが決まったら
早速、建設会社に相談
今回の安城店の土地は、建設会社が紹介してくれたもので建設条件付の物件
最初から建設業者は決まっていた
基本的に決定したレイアウトに対して
どのような建物を建てていくか
ここからがまた難しいところで
こちらが持っているイメージを、できるだけはっきり伝える
安城店のテーマは「カリブの海賊」
土地自体は非常に地味なところにあったので
遊び心を持った、楽しい店舗を演出したかった
「カリブの海賊」とは
楽しい建物→東京ディズニーランド→「カリブの海賊」
と、たまたまの思いつきで設計の人に伝えたのが、そのまま実現してしまった
最初に出てきたプラン
このプランを最初見たときは正直、ギョッとした
特に、待合室のある建物は
まるで遊園地から持ってきたような感じ
「カリブの海賊か~」
しかし
ジッと見ているうちに、だんだん楽しくなってきて
「こりゃ、面白い!これで行こう」ということになった
早速設計と同時に、見積もりを出してもらう
数日後、こんどは見積書を見て、ギョ!
私たちが予定していた金額の1.5倍以上のものであったのだ
最初の見積もり金額 ¥34,400,000-
ここから交渉につぐ交渉
今まで建てた建築物の見積もりを引っ張り出して
個々の材料と工賃の単価を詰めていった
かなり無理を聞いてもらい、見積もり金額も下がってきたが
まだまだ予算には程遠い
今度は、設計そのものの変更にかかる
まず、ゲストルームの建物を2階建ての予定を1階建てに変更
ゲストルーム、手入れ、スタッフ休憩室、倉庫などのレイアウトを工夫し
また、建物の外に擬似窓をつけることによって
それまでのイメージを確保する
そのほかにも、コストを落とすために細部にわたって検討、変更してもらった
レシピ8
作業場の上のテントは、あくまでも“日除け”」
次に、洗車上と仕上げ場のテント部分
ここは、重量鉄骨を使い建築物としていたものを
軽量の鉄骨を使い、日除けのための“設備”という発想に思い切って変えた。
設計の人も、この店舗がガソリンスタンド
あるいはカーディラーの延長のような感覚であって
テントの部分の構造をSSのキャノピーのようにしなくては
という既成概念があったようだ
それを、そうではなくて
“洗車屋”であるのだから
役目はあくまでも“日除け”であって、頑丈なものである必要はまったくないことを
一生懸命説明した
最終的に決まったデザインと設計がこれ
レシピ8
「根気よく交渉、そして工夫・相談、それ次第で、かなり建設費は安くなる。」
一生懸命、そして誠意を持って建設屋さんと交渉もし
一緒になってコストダウンのための工夫の相談をさせていただいた
この“一緒なって”というところが肝心なのではないだろうか
確かにこちらは「施主」であるが
何も威張ってもしょうがないわけで
建設屋は、店舗作りの大切なパートナーである
誠意を持って、私達の考えを時間をかけて伝えることが大切なことだと学んだ
この段階で非常に時間がかかった
一日でも早く店舗をオープンさせたいのはやまやまであったが
いい物を作るためと、ジックリ時間をかけることを選び
交渉の設計の修正には、なんと3ヶ月を要した
そのためにオープン予定日を伸ばすことにも躊躇しなかった
最終的に出てきた見積もりが
¥23,500,000-
予定より若干オーバーしたものの、納得いくものであった
左が最初に出た見積書、右が最終見積もり書
結果的に112坪の知立店より
大きな規模のテントと、大きな建物を作ったにもかかわらず
ほぼ同額の見積もりとなった
建設屋さんには、大変無理を言い
また、それに応えてくれたことに、大変感謝している。
平成14年11月に土地をお借りすることを決定し
そこから、設計
変更、変更、交渉で
工事請負契約を提携したのは
翌年平成15年3月22日であった
(その日は、わが息子の誕生日)
そこから施工図面を書き始めて
4月7日に建築確認申請提出
5月6日に地鎮祭
5月8日に着工
「ここでやろう!」と決めてから、実に約半年後のことであった
この間、建設会社の窓口として
大変ご苦労おかけしてしまった「長坂さん」
本当にありがとうございました。
さぁ、ここから建設に入る
この話は3話まで続きます。
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