谷 好通コラム

2005年01月07日(金曜日)

1094.快洗隊年末分析2

[完全予約制は、革命的な効果があった。]

 

今年の刈谷店の年末は、「完全予約制」を敷いた。

 

12月はキャパシティさえ許せば平月の約2.5倍の売上げが見込める
洗車屋にとっての超繁忙月である。
3年ほど前、平月が280万円をコンスタントにオーバーするようになった頃、
その年末は、600万円~700万円を記録していた。

 

そして、オープンしてから6年を越した2004年の快洗隊刈谷店は、
日頃のリピーターの積み重ねが進んで、
今では平月でも380万円程度の洗車収益を確保できるようになっている。
単純計算では、この年の12月は950万円が見込める。

 

しかし、188坪の面積しかない刈谷店では、
キャパシティを去年の812万円をマークしている時点ではるかにオーバーしており、
それを、応援部隊の大量投入という荒業で強引にクリアしていた。
これも、2003年までは快洗隊もまだ4軒であり、
応援部隊の大量投入もまだ可能であったからまた出来た技。

 

それでも、刈谷店の前の臨時の駐車場には
ピーク時で40台以上の洗車待ちの車が溜まり、
応援部隊を入れて16名ほどの人海戦術での“12台同時仕上げをもってしても、
待ち時間がゆうに1時間半を越えて、
お客様の“待つ限界”をオーバーしていることは明白で、
この時の1日のギネスが77.7万円/日という凄まじさであった。

 

しかし、2004年は快洗隊の直営店も6軒となり、
盟友のオートパラダイスも入れれば7軒。
若干増えたアイ・タックの営業の数は20名とちょっとで、
一軒当たりにすると3名足らず。
いくら刈谷店に重点的に応援を配備するとしても、5名どまりだ。
加えて、平月の来店客数も2003年よりも明らかに増加している。

 

さぁ、どうするか。

 

今回の刈谷店の年末は正真正銘の危機であった。
限度を超えた受注は、不合理なまでのお客様の待ち時間を作り出してしまい。
翌年の客離れを作り出して、
通年での収益性を悪化させることになる。

 

現在の?快洗隊は、
年間何軒かの新しい店舗をオープンさせているが、
この新規オープンは大きな資金的なストレスがかかる。
知立店、安城店、相模原店、北神戸店はすでに採算ベースに乗っているが、
まだ新店からの資金的なストレスを吸収するまでには至っていない。
刈谷店からのまとまった黒字がそのストレスの吸収源だ。

 

刈谷店の収益減は絶対に避けなければならない。
しかし、このままでは年末の過剰なラッシュが、お客様の“懲りた”を作ってしまう。

 

考えに考えた末の対策が「12月27日からの完全予約制」
初めての施策を、年末の大混乱の中に実施するのは大冒険であった。
良かれと思ってやったことが、かえってお客様の反感を呼ぶ場合だってある。
オペレーションをどのように仕組んでいくかが勝負の分かれ目。

 

この年末に「完全予約制」を実施することは、
前もって、会員さんにはDMでお知らせした。
3ヶ月以内に来店されたお客様と、
去年の年末に来店されたお客様をピックアップしてのDMである。
そして、店頭には「27日~31日 完全予約制で、施工いたします」の大看板。
店の壁面には、「完全予約管理表」を貼り出す。

 

 

この予約管理表の使い方は、?快洗隊の畠中社長が考案した。
だから、私は知らない。(^。^)

 

具体的な管理表の使い方と、
お客様へのご案内の仕方は、
キーパータイムスに詳しく“畠中修”から皆さんにお伝えしたい。

 

・・・・・・
とりあえず、予約制は大成功であった。

 

前回の年末には、
刈谷店の前の駐車場に40台以上も溜まった洗車待ちの車が、
今年の年末では、
見事に一掃された。有っても、車を置いていった人の作業が済んだ車が数台だけ。
それはそれは見事なものであった。

 

店舗の中にも、作業待ちの車が2.3台あるだけで、
中に有る車のほとんど全部が作業を受けている車である。
1台出来上がって出て行くと、また1台が入ってくるという誠に整然とした車の流れ。

 

パッと外から店の中を見ると、
店の中のぎっしりの車が全部作業を受けているが、
行列している車はほとんどいず、一見空いているような印象すら受ける。

 

今回の年末のスタッフの数は、
前回のスタッフの数より確実に5~7名は少ない。
それでも、作業がこなされていく車の数は前回の年末の時とほとんど変わらない。

 

前回の年末では、
駐車場においてある待ち車を移動するスタッフが1名ないし2名。
店の中の車を移動するスタッフ1名と、指示するスタッフがもう1名。
しかし、
今回でも全体を指示するコントローラーは1名置いている。
だから、車の移動に要しているスタッフは3名が減っているだけで、
実際のスタッフ数はそれ以上に減っている。

 

それでもなおかつ、
1時間12台のペースで、何の問題もなく、ピリピリとした異常な緊張感もなく、
コンスタントに作業がこなされていく。
何故、こんなにスムーズに流れていくのか?

 

多分、これはストレスの有無の問題だと思う。

 

前回までの年末では、
店舗内のフィールドの待機場所にもぎっしりの車。
店の前の駐車場にはその何倍の40台にも及ぶ待ち車。
車を移動するための指示の大声が飛び交い、
待合室には、時間単位でジリジリと待つお客様のイライラとした視線。

 

そんな異様な雰囲気の中で、
みんな大きなストレスを抱えながらの作業ではなかっただろうか。

 

そんな状況が何日も続き、
肉体的にも、精神的にも疲労の極地であったことは容易に想像できる。
これでは作業の能率が上がるわけがない。
それを圧倒的な人数で強引に作業を進めていたわけだ。

 

それが、今回の年末では、
店の中には決まった数の車しかなく、
車の移動も、
作業が終わった車の場所に次の車を入れていくだけの
単純な一方通行の移動。

 

指示する者・コントローラーも大声を出す必要もなく、
予約客の受け入れと、
予約なしで入ってきた車のお客様に、予約制で営業している旨を丁寧に説明し、
来店ご希望の時間と空き時間を調整して、
予約表に入れていく。
ちなみに、
この時に、不満をおっしゃるお客様はほぼ100%いなかったそうだ。

 

予約客の受け入れに余裕が出来れば、
随時、予約なしでも受けることもある。
1時間12台の受け入れでも、作業内容によっては、
作業の手に余裕が出る場合もあるのだ。
その余裕に、如何にフリー客を適時入れ込んでいくのもコントローラーの判断である。
そのバランスの判断の良し悪しが、その日の限界を上げていくことになるのだ。

 

石川マネージャーいわく、
30日
「今日は、途中で余裕が出来たので、
欲を出してちょっと余分に予約なしの車を続けて入れちゃったら、
あっという間に、作業までの待ち時間が30分ぐらい出来ちゃって、慌てました。」
私、
「ほほうっ、このやり方だと30分の待ち時間でも一番長いくらいなのか。すごい!」

 

この日は、約70万円の洗車売上げであった。
しかも、何の混乱もなく、
むしろ余裕綽々であったと言う。
前回の年末に比べて2/3ほどのスタッフで、
ほぼギネスに近い実績を出すことが出来たのは、成功であると言っていいと思う。

 

しかし、
しかし、
ここまでは、店側のメリットである。

 

本当の意味で、この仕組みが大成功であったのは、
お客様が無駄に、2時間も、2時間半も、3時間も、待たなくて済むようになった事だ。

 

予約を入れて来店すれば、
ほぼすぐに作業に取り掛かってもらえる。
あるいは予約なしで来店しても、余裕があればそのまま入れるし、
余裕がなければ、その場で、都合のいい時間に予約してまた来れば、すぐ出来る。

 

商品の種類にとっては、時間がかかる作業もあるが、
作業が行なわれている時間は“待てる”である。
お客様としては、その商品が時間がかかることを承知で注文したのだから。
そして、大切なお車なので、
じっくりと時間がかかっても丁寧さを感じるのか、「まだぁ~?」とはならない。

 

前回の年末のように、
店内で何時間を待つことは全く無くなったし、
これなら“懲りる”こともないだろう。
車を置いて行ってしまう事も必要ない。

 

店のスタッフもみんな落ち着いて作業をしていて、
大切な車を任せるのにも安心できる。

 

あらゆる面において、この予約制は混雑している時には最高であるとつくづく思った。

 

これで、土日の繁忙日に予約制を取り入れれば
もっと実績を上げられるとも考えた。
これからは、土日でもお客様にも安心して来ていただけるであろう。

 

この「予約制」は、年末のための特殊な仕組みに終わらせず、
早速、全店の土日の繁忙日に取り入れるべきだ。
これで、思わぬポテンシャルアップが実現できることは間違いない。

 

その理由はいくつもあるが、
たとえば
これまでの快洗隊は、あまりにも洗車に特化し過ぎて、
雨が降ったらギブアップの傾向が強い。
もっともっとオイル交換とか、車検とか、鈑金とか、ウィンドフィルムなど
メンテナンス商品を充実させていかねばならない。

 

しかし、お客様が来店される曜日が土日に大きく偏っていて、
大混雑の中で洗車作業に取り掛かった時には、
お客様はすでにかなりの時間を待っておられていて
コミュニケーションが非常にとりにくく、
繁忙日のメンテナンス商品の拡大に大きな障害となっていた。

 

それが、予約制を敷くことによって、
お客様の方の時間的、精神的余裕が出来て、会話が出来るようになると、
メンテナンス商品がぐんと伸びることが期待できる。

 

人件費のマネージメントも劇的に楽になるし、効率化が出来る。
う~~ん、考えれば考えるほどメリットが大きい。

 

これからは、
「極上洗車とキーパーは予約して、やってもらうもの?」

 

「歯医者は予約するもの」
「飛行機は予約するもの」
「美容院も予約するもの」
「極上洗車とキーパーも予約するもの」

 

これが、きっと世の中の常識になるに違いない。
今回の年末の大収穫である。

 

 

31日大晦日、朝から雨が本格的に降っていたが、
刈谷店に前日予約を入れていたお客様は、
午前中で4時間×12台のうち3台のキャンセルのみで
ほとんどの方がご来店され、
土砂降りの中に、洗車とコーティングで満車の洗車屋が出現したのだった。

 

 

31日午前中で、約17万円。
しかし、午後からの予約はまばらであり、さすがにキャンセルも相次ぎ、
午後からはさっぱりの状態になった。
この日70万をもくろんでいたスタッフの期待も、あえなく22万に沈んだのだった。
しかし雨の中、22万円分のお客の洗車があったことは、
予約制を敷いた刈谷店だけであり、
これはこれで凄いことである。

 

31日の夜暗くなった頃
事務所ではまだ、12月の仕事の残りが一生懸命行なわれていた。
年末は快洗隊だけが目立つが、
事務職の人たちも同じように年末をがんばっていたのでした。

 

 

全部のみんな、本当にご苦労様でした。

 

※これでやっと2004年の年末のお話しの終わりです。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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