谷 好通コラム

2006年04月15日(土曜日)

1379.赤字経営は犯罪?

大昔、私がちょっと学生運動にカブレテいた頃、
企業が利益を出すことは犯罪であると思っていた。
商品の原価があって、
それを販売するための人件費などの経費があって、
それをプラスした金額イコールが販売金額であるべきだと思っていた。
原価+必要経費=販売価格
この価格にさらに金額を加えて、
加えた金額を企業の利益にすることは悪いことだと信じていたのである。
共産主義的な価値観ともいえる。
社会的資本はすべての人民のものであり、
すべてが公平に分配されるべきであり、
誰もが誰からも原価+必要な経費より高い価格からの利益を得る権利はない。
資本主義における企業とは、
すべての人民の所有物であるべき社会の資本を不当に私物化している資本家が、
人民を働かせ、出来た製品に不当な利益を上乗せして人民に販売し、
結果として人民を搾取し、私欲を満たしている。
本気でそう考えていたことがある。
大昔のことである。

 

今はそうは考えていない。
企業とは、社会に対して付加価値を提供するものであり、
たとえば何らかの原料を加工して、
一つの製品を造り上げ、
原料の時点ではなかったより高い利用価値を加えた、つまり付加価値を加え、
その付加価値に見合う対価をもって社会に提供する存在だ。

 

その付加価値を作り出すための加工費とか営業費とかすべての経費
つまりその企業が使った経費、人件費など
使った社会的資本の大きさの合計よりも、
造り上げた付加価値の方が大きければ、この企業は黒字経営である。

 

その逆に、造り上げられた付加価値の大きさが、
その付加価値を作り出すために浪費された社会的資本よりも小さければ、
その企業は赤字経営となる。

 

平たく言うと、
10,000円で仕入れた原料に、
5,000円の人件費、加工賃、販売経費などをかけて
加工し作り上げた付加価値に対する
社会の評価が18,000円分であり、つまり18,000円で販売できたとすれば、
この商品は「黒字」の商品であり、
黒字商品を提供する企業は黒字経営の会社であるということ。

 

逆に赤字の会社とは、
10,000円で仕入れた原料に、
5,000円の人件費、加工賃、販売経費をかけて、
作り上げた付加価値に対する社会の評価が13,000円分しかなく、
つまり13,000円でしか販売できなかったとしたら、
この商品は「赤字」の商品であり、
赤字商品しか提供できなかったこの企業は赤字経営であるということ。

 

この論理は、
商品(サービスを含む)の価格とは=商品が社会に与える価値
という前提に立っている。

 

その昔、物の価格を作り手が決めた。
すべての経済が成長し、すべての人が豊かになりつつあったその昔、
企業は何か新しい物を作れば、それはほほ確実に売れ、
企業は、原価・仕入れ価格+経費に自分が欲しい利益を乗せて売った。
昔、商品・サービスの価格は作り手が、作り手の都合で決めた。
昔、需要が供給を上回っていた時代、
また国力を増強するために、国が産業を保護していた時代、
価格は作り手によって決められた。

 

しかし今、バブル以降の国際的な貿易自由化によって、
国内の産業は、グローバル化の荒波にさらされ、
世界中からの商品との競争を強いられている。
国際的な競争が激しくなったという意味での供給オーバーが、
「買う」「買わない」の選択の自由を全面的に買い手に与える事になり、
商品・サービスの価格は、
買い手が決める事になった。

 

買い手が、買うべき価値に見合った価格であれば“買う”。
買い手にとって買うべき価値がその商品に無いか、
付いている価格がその価値に対して見合っていないと感じれば“買わない”。
提供されている商品は山ほどあるのだから、
買う、買わないという行為でほぼ完全に買い手が価格を決めるようになった。

 

商品の価値は消費者が決める。

 

そういう前提のもとに、
「原価+使った社会資本(人件費、設備費などの)“<”社会が付けた価値・価格。」
ならば、黒字であり、
「原価+使った社会資本(人件費、設備費などの)“>”社会が付けた価値・価格。」
ならば、赤字という事になる。

 

言い換えると、
「Take“<”Give」が黒字。
「Take“>”Give」が赤字。

 

もっと言い換えると、
「使った(得た)価値“<”提供した(与えた)価値」が黒字。
「使った(得た)価値“>”提供した(与えた)価値」が赤字。

 

さらに言い換えていくと
「得た(取った)価値“<”与えた価値」が黒字。
「得た(取った)価値“>”与えた価値」が赤字。

 

たとえば、
買った人にとって100円の価値しかない物を、
あたかも10,000円の価値があるように言って売りつけたとしたら、
それは詐欺であろう。
「10,000円(取った)>10円分の価値を与えた」は詐欺。

 

たとえば、
相手に怪我をさせて100万円分相当の害を与えて(マイナスの益)
3万円を盗ったならば、
それは強盗であろう。
「3万円を盗った>-100万円分の益を与えた(100万円分の害を与えた)」は強盗。

 

「社会の資本を使った>社会対して与えた価値」が赤字と同じ構造を持っている。
ならば赤字経営とは、犯罪と同類項なのか。
では逆に、たとえば、
黒字経営とは、社会的貢献になるのか?

 

社会に対して提供する付加価値が、
原料費であるとか人件費であるとかの社会資本を使った分よりも大きければ、
それは社会的に対する貢献となることになる。

 

私たちが自分の会社を健全な黒字経営とする努力は、
その努力の結果、つまり提供する商品とかサービスが、
社会にとっての価値がどれだけ大きいかにかかってくる。
そういうことかもしれない。

 

・・・・・
昨日(4月13日)午後から札幌に飛んだ。
その飛行機の中で書き始めて、
今日の夜、名古屋に帰ってくる飛行機の中で続きを書いたのだが、
何かものすごくややこしい話になってしまった。

 

自分で読んでも、こめかみが痛くなってきそうだ。

 

 

新しい札幌トレーニングセンターが完成直前である。

 

 

教室もずいぶん広い。
札幌営業所の坂本所長が、
「この教室の後ろの方の一部を、快洗隊の待合室のような感じにしたいんです。」
と言っていた。一体どうなることやら。

 

 

快洗Wingの土台もすっかり出来上がっていた。
もう据えつけるばかりである。

 

 

四日連続で酒を飲んでしまった翌日の札幌の夜。
飲まないわけがない。
5日連続の飲み会。

 

 

このところ、インスト日記をご無沙汰している青木君。
何かあったのではないだろうか?ムフフフ。

 

 

札幌の町からはやっと雪が消えていた。
でも、高速沿いの森の中にはまだまだ雪が残っている。
仕事は燃えたが、
とても寒い札幌でした。

 

 

帰りの飛行機もJAL。
どちらかというと、私も判官びいきのところがあって、
弱っているJALについ乗ってしまうのだが、
それにしても乗客の少なさには驚く。
団体さんを仕切っているツアー会社が、
団代客の不安を嫌ってJALを避けているのだろう。

 

これを機会に、ANAの追随ばかりしているJALも、
団体さんだよりをやめて、いっきょにビジネス客集めに走り、
大々的なビジネス客優遇の施策を打ったら、逆転ホームランを打てるのに。
天下り役人が多い経営陣では、そんなこと、出来んのだろうな~。残念だな~。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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