谷 好通コラム

2006年10月03日(火曜日)

1486.決算書のマジック

ある企業の決算書(財務諸表)を見た。
決算書とは会社のある一面の成績表で公開されている場合が多い。
その読み方にはかなりの知識が要る。

 

私も経営者経験がある程度は長いので、
その読み方にはそれなりの自信はあったが、
今回見た決算書は、実に不思議で難解であった。

 

その期の決算は大きな赤字で、
一見、急激な事業拡大に収入がついて来ず大幅な赤字に転落したものと見えた。
今にも倒産するのではないかと心配になるほどである。
ところが、
よくよく読み込んでいくと決してそうでは無い事に気が着く。
税務基準と会計基準の相違のマジックで、
株式上場の審査期間中の大きな成長率と収益性を演出する意思が見えたのだ。
いや~~すごい。
損益計算書だけを見ていては気がつかない。
貸借対照表の中に一見見逃しそうなところに大きな数字があって、
その数字の意味を考えて行ったら税務基準と会計基準のマジックが見えてきて、
すべてのつじつまが合い、その意思が浮かび上がってきて、
損益計算書の不思議までが理解出来た。

 

なるほどである。
事業を急激に拡大する時、
大きな税負担がかかってくるので、
それが成長のスピートにブレーキを掛けるものだが、
そのブレーキを逆手にとって、審査期間前にそれを一挙に消化して、
審査期間以降の税負担を軽減し、大きな収益性と成長スピードを演出するのだ。
税務基準と会計基準の違いをよく理解し、
その違いを利用することによって、
審査期間以降の税効果を有効に出すという仕組みを最初から計算に入れている。

 

税法上も会社法上でも完全に合法である。
(私のつたない知識においては。)

 

実に見事である。
しかし、たまたまこの時期の財務諸表を見る事が出来たので、
その仕組みを何とか理解する事が出来たが、
来期以降の財務諸表を見ても、
どういう仕組みでそれ以降の財務諸表が出来上がっているのか、
絶対に見破れなかっただろう。

 

しかし、こうして作られた決算を見ても、
実際のそのビジネスの収益性は、逆に見えなくなってしまっていて、
ビシネスの実態が見えてこない。

 

凄まじいばかりのテクニックで、
大きなビジネスが作られていくが、
そのビジネスが果たして、
消費者に価値を与え、
社会に貢献していくものなのか、
そのビジネスに投資した人に利益を与えるものなのか、
そのビジネス自体が長く続いていくものなのか、さっぱり見えてこない。

 

数字のマジックは錬金術の一つではある。
しかし、それは一時的な大きな繁栄と成功を生み出すかもしれないが、
それが誰のためなのかを考えた時、
何か違うような気がする。

 

自分たちのビジネスの目的が何であるのかをよく考えた時、
工夫をすべきは数字のマジックではなく、
顧客のためのCSであり、
仲間たちのためのESを作り出していくことであり、
そのための、人のためのマジックを作り出していくことだろう。

 

不思議で難解な財務諸表を読んで、たくさんのことを学び、
いっぱいのことを考えたのでした。

 

「日本に新しい洗車文化を」

 

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2006年10月03日(火曜日)

やっと書き終わりました

スーパー耐久参戦記の仙台SUGO戦を、
やっと最後まで書き終わりました。

 

今回のレースほど悔しさを感じたことはなかったが、
レースはレースです。
敗者がいなければ勝者もいないわけで、
今度は、自分が勝者になればいいだけなのです。

 

仙台SUGO戦
ぜひご覧になって下さい。

 

http://www.sensya.com/st_nikki/index.html

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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