2007年01月27日(土曜日)
1561.自分で掘った墓穴
午後九時半を回る時刻、ただ今名古屋に帰る飛行機の中である。
今回の札幌セミナーは約90人の方々が集まっていただいた。
午後一時開始で午後四時ちょうどに終わる予定が、
大切な項目を話し忘れていたことを終了直前に思い出して、
三十分ほど延長させていただいた。
それでも、やはり四時に終わる約束であったので、
とりあえず四時に修了して、希望者のみへの延長である。
こんなことは初めてである。
今回の全国セミナーは、何故か、初めての事が多い。
札幌は雪がすごかった。
仙台の雪のない風景がウソのように
札幌は吹雪であったのだ。
道が混雑するのを見越して、20時05分発の飛行機であったが、
午後五時過ぎには札幌市内の会場を出発して、
ゆとりを持ったつもりであったが、
札幌営業所の坂本所長の助言どおり、
高速までの道路が混んで、千歳空港に到着したのは午後7時を回っていた。
ちょうどいい時間だ。
時間の読みはやはり地元の人間の言うとおりである。
空港に着いてますます雪が激しく降ってきて、
除雪作業に為にとうとう滑走路が閉鎖になり、飛行機の出発時刻が大幅に遅れた。
と言っても、たった45分の遅れであり、
何時間でも平気で待たせる中国の飛行機を何度も経験しているので、
これっぽっち何てことはない。
今回の札幌でのセミナーで、
やっと三分の二に当たる六回目が終わった事になる。
いよいよ終盤に入っていく感じで充実している。
六回とも同じ資料とパワーポイントを使って話をするので、
同じ話になるはずなのだが、
途中で脱線をしてしまったり、新しいアイディアが湧いたりで、
六回とも、微妙に違ったあらすじの話になっている。
それはそれでいいと思うのだが、
第一回目の大阪セミナーに同席して、
そのあと五回目の仙台セミナーにも出た鴨井君が、
「大阪の時と、ずいぶん話が変わったというか、進みましたね~。」と感心していた。
そうなのだ、
一つのストーリーで話しているつもりでも、
何回が話をしているうちにストーリーが進んでしまうのだ。
自分の頭の中に入っている事を、
整理しながら言葉にして話をすると、
頭の中も整理されて、
話をする前の状態から進んでしまうのだ。
進んでしまった頭の中を、また整理しながら話をするので
話そのものが進んで行ってしまうのは、ある意味、正常なのである。
一度した話を、全く同じ内容で話し続けるのは、
テープレコーダーでもない限り無理なのだ。
いつも不思議に思うのだが、
学校の先生は、教科書に書いてあることを生徒に教える時、
違う組のすべての生徒にも、全く同じ内容で教えることが必要なのだが、
何故そんなことが出来るのであろうか。
教えているうちにいろんなアイデアが浮かんできて、
教え方や、内容がどんどん進んでしまうはずなのだが。
たぶん、進んでしまうことが、教わる方の生徒にとっては不公平になるので、
進むことを禁じられているのではないか。
つまり、
自分で、教え方などを色々工夫したり、
自分の新しい考え方などを加えることを禁止されているのではないか。
だとしたら、これはツライ。
頭の中でどんどん進んでしまうものを、
あえて進まない形で、
テープレコーダーのように繰り返すことを強要されていることだから。
それを苦痛とも思わず、
自分の意志を入れずに自分を動かすということは、
精神的に強いストレスを受けることであると想像できる。
そんなストレスを、毎日繰り返し、
連続的に与えられれば、
精神的にかなりツライものではないのだろうか。
学校の先生たちは、
そんなストレスとの戦いを行なっている職業なのかもしれない。
その上、権利意識だけが進んだ父兄のわがままを一身に集め、
人の迷惑を全く感じないバカな子供が混じっているのを相手にせねばならないとしたら、
こんなにツライ仕事はないだろう。
もっとも過酷な職場の一つと言える。
私は自分が若かったら、もっといろんな仕事をして見たいと思うが、
学校の先生だけはとても出来ないと、よく思う。
私のように
たった三時間のセミナーで、
それも自分の考えことを、自分の思ったように、
しかも自然に進んでいくのを抑えもせずに、話をしただけで、
それも一週間にたった3回だけで
こんなにグッタリとくたびれてしまうのに、
学校の先生たちは、毎日、4時間、5時間、6時間と勉強を
自分を抑えてマニュアル通りに教え、
そんなことを終わったあとまで生徒の生活指導や、クラブ活動までやっている。
私に言わせれば、まさにスーパーマンそのものである。
何故、そんな過酷なことが出来るのか。
本当に不思議で仕方ない。
一方、私たちの活動である洗車技術の教育についても、
それぞれのインストラクターたちが、
勝手にマニュアルを変更して、
好き勝手なことを教えてはいけないことは当然だ。
教わりに来ている人たちは、
成功している技術を、正しく学びに来ているのであって、
個々のインストラクターたちが自分で考えた改造版の技術を教えられては、
たまったものではない。
自分を抑えて、教えるべき事を正しく、
つまり同じように教えることが必要なのだ。
そして、研修と検定のある日の間の日には、しっかりと営業もしなければならない。
そう考えると、
我が仲間である全国のインストラクターたちも、
学校の先生並みに過酷な仕事であることになる。
とすると、
自分の思った通りの事を、
自分の好きな方法で、どんどん進めながら話をしている私が、
一番、お気楽な人間である事になる。
う~~~ん、そうかなあ。
こんなにしんどいのに、
こんなに時間を忘れて一生懸命やっているのに、
自分が「一番お気楽な存在」であると結論を出してしまったのは
何か、自分で自分の墓穴を掘ってしまったような気がしないでもない。
大雪の中、飛行機は45分遅れた。
何の何のである。
(この写真が何の写真であるのか分かった人は、かなり飛行機に乗っている通人である。)
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