谷 好通コラム

2008年09月22日(月曜日)

2023.「新しい洗車文化」とは

アイ・タック技研が掲げるスローガン「日本に新しい洗車文化を」について。

 

ここで言っている「新しい洗車文化」とは何か。

 

昔から行われている「洗車」とは、
「車が汚れたから、汚れを取るために洗車をする」であった。
つまり、汚れていない車をゼロラインとすると、
汚れた車はマイナスになっている。
そのマイナスをゼロに戻すために「洗車」をすることになる。
元々「洗車」は、マイナスをゼロに戻す役目を持ったものであった。

 

これを他のものに例えれば、
髪の毛が伸びれば、みっともなくなるので、
伸びた分の髪を切るのが昔からの散髪の一般的な役目であった。
髪が伸びていない状態をゼロラインとすれば、
時間が経って髪が伸びれば、その分マイナスとなってみっともなくなる。
だからそのマイナスをゼロに戻すために床屋さんに行って髪を切り散髪をする。
元々「散髪」は、マイナスをゼロに戻す役目を持ったものであつた。
(私は今でもそうである。)

 

昔、洗車も散髪もマイナスをゼロに戻すことが役目であった。

 

しかし現代の多くの男は、
床屋さんに散髪に行くのではなく、
美容院または新しいタイプの理容室(以降一括して美容院と言う)に、
自分の気に入ったヘアースタイルを造りに行く。
髪の毛が適切な長さである状態をゼロラインとするならば、
それよりももっとカッコ良くなるために、
つまりプラスの状態になるために美容院にヘアースタイルを造りに行く。

 

昔の床屋さんはマイナスをゼロに戻すために散髪だけであったが、
現代では、美容院がゼロをプラスの状態に高めるためにヘアースタイルを造る事が
男の場合でも常識になってきた。

 

男にとって、
「散髪」が昔ながらの「ヘアー文化」ならば、
美容院の「ヘアースタイル」も、現代の新しい「ヘアー文化」の在り方になってきた。

 

これと同じようなことが洗車にも言えると思うのだ。

 

昔からの洗車は、
汚れというマイナスを取り除き、ゼロの状態に戻すためであったが、
現代では、洗車だけでなく「コーティング」などを掛けて、
素(す)の車のキレイさ(ゼロライン)よりも、
もっと美しい「プラスのキレイさ」を求めるようになった。

 

ただの汚れ落としの洗車が、昔ながらの洗車文化ならば、
現代は、汚れが付いていない素のゼロよりも
磨きやコーティングなどで、
お客様が驚くぐらい喜んでくれるようなキレイさを提供する
新しい「プラスの洗車文化」といえる。
これを私達が言う「新しい洗車文化」なのか。
いやいや、それだけではない。

 

昔ながらの散髪と、美容院の話を思い出してもらいたい。

 

髪が伸びたから行った床屋さんで散髪をしてもらったあと、どう思うか。
「あ~さっぱりした。」・・だけであろう、たぶん。
だから、同じようにさっぱりするだけなら、
安くて、早い方がいい。
「安い、早い」を売り物にした床屋さんのチェーン店が、
東京の山手線駅構内で拡大し繁盛しているのを見た事がある。
「髪の毛が伸びすぎていなければいい」という感性の持ち主ならばそれでいい。
私もそうであるし、それが劣っていると言うことでもない。
人それぞれの好みの問題であるだけだ。

 

ところで、
美容院で自分の好きな「カッコいいヘアースタイル」を造ってもらったら、どう思うか。

 

「ウキウキ ルンルン」で、
自慢のヘアースタイルを誰かに見せたくなるだろう。
(私は経験したことないので解らないが)
どこの美容院に行くかは
安い高いではなく、
本当に自分の好きなヘアースタイルを造ってくれるお気に入りの美容院に行くだろう。
多少高くても、時間がかかっても、自分の気に入った美容院に行く。
そして、自分の好きなカッコいいヘアースタイルを作ってもらい、
お客様は笑顔でスタッフに言うだろう「ありがとう。」と。
「ありがとう」と言われて嬉しくない人はいない。

 

 

洗車の場合に変えてみると、
お客様がただの洗車をしてもらった後、どう思うか。
「あ~さっぱりした。」だけではないか。
だから、同じようにさっぱりするだけなら、
安くて、早い方がいいと思う人も多い。
散髪と同じだ。
安くて早い方がいいならば、セルフの自動洗車機が一番ではないか。
車のキレイさに対して「汚れていなければいい」という感性の人ならば、これでいい。
こういう人もいっぱいいる。人それぞれの好みの問題だけである。

 

しかし、
「すごくキレイにしていたい人」もいっぱいいる。
特に日本人は、私の知っている限りでは世界一キレイ好きな人種で、
洗車をして汚れが落ちただけでは満足できない人が、驚くほどいっぱいいる。
そんな人が、
自分で洗ったり磨いたりするよりも、
車をうんとキレイにできるプロの技術者がいて、
磨きやコーティングなどで
自分の期待値よりも上のキレイさを、自分の車に実現してくれたら、
これはたまらないだろう。嬉しい。
「ウキウキ ルンルン」で、ピカピカの車を誰かに見せたくなってしまう。
どこで洗うか、磨くか、
高い安いではないだろう。あるいは自分でやるかどうかも関係ない。
多少時間を待ってでも、プロに自分の車のキレイを任せるのではないか。
そして、自分の車をピカピカにしてもらって、
お客様は笑顔でスタッフに言うだろう「ありがとう。」と。
「ありがとう」と言われて嬉しくない人はいない。

 

快洗隊のスタッフも不思議なくらい口を揃えて言う。
「お客様から『ありがとう』と言われる時が一番嬉しいし、楽しい。」と。
だから、「ありがとう」と言ってもらえるような仕事をしようとする。
いい仕事のモチベーションは、お客様の満足であり、喜びであり、感謝の言葉である。

 

プロの技術と「キレイにする」プロの意識で
期待以上にキレイにしてもらったお客様は、嬉しい。
だから感謝の言葉をかけてくれる。
感謝の言葉をかけてもらい、喜んでいるお客の姿を見て、スタッフは嬉しい。
お客様とスタッフが「プロのキレイさ」を共有して、
両方ともが「嬉しい。」

 

CS(カスタマーサティスファクション・顧客満足)が、
ES(エンプロイサティスファクション・従業員満足)を実現し、
ESが、CSを作り出す仕組みだ。
こんなことが、商売を行っていく上での一つの定理なのかもしれない。

 

私達が言っている「日本に新しい洗車文化を」とは、
プロの技術と、
道具、機器などの環境と、
プロの意識をもってして
お客様の喜びと、スタッフの喜びを同時に実現できるような
そんな「新しい洗車文化」を作り上げることが出来たら、
「洗車」がどんなに楽しく、やりがいのある仕事になるだろうという思いなのです。

 

ここで「洗車」という単語が自己矛盾を起こすので
このところ「車美容」という言葉を使い始めたわけです。

 

 

いかにもきれい事に聞こえるかもしれないが、
きれい事ほど強いものはないし、それが実現できたら素晴らしいことだと思うのです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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