谷 好通コラム

2009年04月30日(木曜日)

2195.ロサンゼルス発 成田着

Los Angeles/ロサンゼルス空港⇔成田空港のフライトは多い。
私が乗ったことがある便だけでも、
シンガポール航空、大韓航空、ユナイテッド航空、ノースウェスト航空の四便。
他にも日本航空、全日空もあるはずだし、とにかくいっぱい飛んでいる。

 

グァム・サイパン・ハワイを除けば、
日本に一番近い“アメリカ”と言えるのがロサンゼルスだ。

 

キーパーコーティングの可能性を探って、私も何度もロスに行った。
企画課の責任者である森課長などは、
二ヶ月近くもロスに住んで営業活動をしたが、
トニーの奥さんが突然の病に倒れて、現在の活動は全く停止している。

 

ロスで印象に残っている一つが、
ロスにはメキシコ人が非常に多かったことだ。
多人数で寄ってたかって車を洗うアメリカ流の洗車場のスタッフも、
そのほとんどがメキシコ人で、人口の何十パーセントまでがメキシコ系と聞いた。
同じカリフォルニア州でメキシコと国境を接するサンディエゴ(ロスから百数十km)では、もっと多くのメキシコ人が住んでいるらしい。
当然、メキシコ本国との交流は激しい。

 

そのメキシコで今、新型インフルエンザの患者が大量に出、死者も多く出ている。
当然、ロスでも患者がかなり出ている。
今日のニュース速報で、
ロサンゼルス発 成田到着のノースウェスト機の乗客に
新型インフルエンザに陽性反応の患者が出たと伝えていた。

 

つい一週間ほど前、メキシコで新型インフルエンザの流行が伝えられて、
昨日、アメリカで死者が一人出て、
今日、WHOが「フェーズ4」から世界的大流行直前「フェーズ5」に引き上げ、
テレビも、新型インフルエンザのニュースでいっぱいになった。
そして今日の夕刻、日本に到着した飛行機に新型インフルエンザらしい患者が発見された。

 

何という速さだ。
恐ろしいまでの速さだ。

 

約90年前、1918~19に大流行したスペイン風邪について、インターネットより。
―――――――――――――――――――――――――――――
スペインかぜは記録にある限り人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)である。
感染者は6億人、死者は4000万から1億人に及び、当時の世界人口は18億人であったと言われているため、全人類の約3割がスペインかぜに感染したことになる。日本では当時の人口5500万人に対し39万人(当時の内務省は39万人と発表したが、最新の研究では48万人に達していたと推定されている)が死亡、米国でも50万人が死亡した。これらの数値は感染症のみならず戦争や災害などすべてのヒトの死因の中でも、もっとも多くのヒトを短期間で死に至らしめた記録的なものである
流行の経緯としては、第1波は1918年3月に米国シカゴ付近で最初の流行があり、米軍のヨーロッパ進軍とともに大西洋を渡り、5月-6月にヨーロッパで流行した。第2波は1918年秋にほぼ世界中で同時に起こり、病原性が更に強まり重症な合併症を起こし死者が急増した。第3波は1919年春から秋にかけて第2波と同じく世界的に流行した(日本ではこの第3波が一番被害が大きかった)。


とあった。
数ヶ月間もかかって、インフルエンザが全世界に広がっていった90年前に比べて、
現代は、毎日、数万便の飛行機が世界中の空を駆け巡り、
何百万人もの人が国と国を行き来する時代だ。
90年前とは比べ物にならないスピードで世界中に広がっていく恐れがあるのだろう。

 

今回の新型インフルエンザは「豚インフルエンザ」と言われ、
「豚→豚」の感染から、「豚→人」の感染に変異して、今回、「人→人」の感染に変異した。
その感染力が強くて、急速に世界中に広がりつつあるらしい。

 

「鳥インフルエンザ」はどうなったのか。
私はよく分からないが、新聞の図から見ると、
「豚インフルエンザ」のウィルスに「鳥インフルエンザ」の因子が加わった時に、
変異が起こり、「人→人」の感染の力が加わったらしい。

 

また、この「人→人」の感染力を持つ「豚インフルエンザ」ウィルスは、
“まだ”、死亡率の低い「弱毒性」らしいが、
高い死亡率の「強毒性」の「鳥インフルエンザ」が発生している東南アジアに広がると、
強い感染力を持つ「豚インフルエンザ」が「強い毒性」を持ち合わせるのは、
時間の問題とも聞いた。

 

宇宙からの量子線が、
地球の強い磁力線と厚い大気に遮れながらも僅かに地表に届き、
その量子線が細胞の遺伝子に変異を与え、
突然変異が起こると何かの本に書いてあった。

 

ウィルスは恐ろしく短時間で世代が更新されていく。
10の数10乗分の1の確率でしか起こらない突然変異でも、
それを上回る繁殖力と世代更新のスピードに、ウィルスは突然変異を繰り返し、
その性質をどんどん変えていくという。

 

桝添厚生相が「人類の存亡を賭けた戦いとして・・・・」という言葉を使っていたが、
決してオーバーな表現でもない。

 

ナメナイことが一番大切なことではないだろうか。
パニックになって取り乱すことが一番いけないことではあるが、
ナメナイことも絶対に必要なのではないだろうか。

 

新幹線や飛行機に乗って一番嫌なことは、
どこかのバカ男やバカ女が、
口に手を当てることもなく「ハッークッション」と大クシャミをすることだ。
クシャミによって撒き散らされる唾液の霧は、周囲数メートルにも及ぶ。
あるいは人が周囲にいる中で、ゴホンゴホンとセキを平気で続けるバカもいる。
そんなバカが近くにいたら、私は何のためらいもなく席を変わる。
何処かバカから遠く離れた席にとっとと移動する。

 

「豚インフルエンザ」も「鳥インフルエンザ」も怖い。
人類が滅亡するのは核でもなく、環境破壊でもなく、
「ワクチンを作る時間もないうちに世界中に広がる未知のインフルエンザだ。」
とする学者の話を読んだことがある。
そうかもしれない。

 

しかし、現代の文明は、90年前のスペイン風邪の時のように、
情報が世界中に行き渡るのに何ヶ月もかかる時代ではない。
すばやい情報と、的確な個々での対策と、ワクチン製造技術と、流通と、
世界中が団結して対抗施策がすばやく打たれる理性と情報がある。
交通機関の発達によって、昔の数10倍、数100倍のスピードで広がる速さと、
世界の情報と対策の速さのどちらが勝るか。
この事態が数ヶ月で収束するのか、
世界中に進化しつつ広がる新型インフルエンザが蔓延して、
経済がマヒし、文明が大きく後退するのか。はたまた人類の存亡に関わるまでになるか。
決して、“まだ”、弱毒性のインフルエンザをナメテハいけないのだろう。

 

もっと、いけないのはパニックになって大混乱になることだろう。
混乱すれば、対策のスピードは遅くなること必須で、
インフルエンザが広がるスピードに負けることになっては、
ひょっとして、人類の負けになることもある。

 

ナメナイで、しかし冷静に、
個々としてやるべき事をやり、やってはいけないことを厳に慎むことだろう。

 

 

われわれは粛々として、車をキレイにする。
真心こめてキレイにする。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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