2011年04月09日(土曜日)
2760.何が変わって、何の優先順位が変わるのか
大井川から東の地域の今年の夏は、
ずいぶんつらい夏になるようだ。
電力不足によってエアコンの使用がずいぶん制限され、
冷房の設定温度を28℃にするようであるし、
工場の輪番操業であったり、サマータイムの採用であったり、
いずれにしてもいつもの夏とは全く違う「暑い夏」がやってくるようである。
しかし、
大井川より西の地域と北海道においては、
大地震の直接的な影響を受けているわけでもなく、
電気のサイクルの違いもあるので電力供給不足の問題もほぼ発生せず、
今でもいつもの生活があり、
いつもと同じ夏になるのかもしれない。
しかし、経済の面では
東日本、西日本に関わらずいつもと同じと言うわけには行かないだろう。
日本全国どこも厳しくなることは必須だ。
全国のあらゆる自動車メーカーの組立工場が操業をストップしていて、
ニュースでは18日位からほぼすべての工場が50%程度の操業を再開するそうだが、
その後、ゴールデンウィーク以降の操業は見通しが立っていないとも聞いた。
50%操業もほんの1週間だけのことで、
すると、それに関わる部品工場、協力工場も止まることになり、
それらに関わっているすべての下請け会社、出入りの業者にも影響が出る。
もちろん、車が造れないのだから、
輸出は減るだろうし、
国内での販売も大きく減るかもしれない。
それに関わるあらゆる会社と人々が大きく減収するだろう。
それは自動車に限らず、あらゆる工業製品に言えるのかもしれない。
しかしこれは、いずれは解消する。
ただ、この間のブランクは小さくない。
福島県はもちろん、
関東周辺でも農産物が風評被害で非常に困った状態になっているらしい。
水産物も同じような状況であるらしい。
福島第一原発が拡散された放射性物質が、
ジェット気流に乗って2週間かかって地球の裏側にまで到着したそうだ。
極々微量のチリらしいが、
世界中の人が日本の事故原発からの放射能に敏感になっている。
中国では日本からの輸入品を全品、放射能のテストにかけているそうだ。
アメリカでも日本製の食料品に関して放射能テストをやっているとニュースで見た。
かなりの数の国が日本製品に対しての警戒態勢に入っている。
原発事故が一段落しないうちは、
日本製品の海外への動きが鈍くなることは容易に想像できる。
これも広い意味で風評被害と言えるかもしれないが、
なかなか簡単に解消できる問題ではない。時間がかかるのではないか。
事故を起こした原子炉もいまだに安定していず、
安定した冷却までの期間が月単位から、年単位である可能性も出てきているそうだ。
円が不気味に安くなってきていて、
いつの間にか対ドルが85円台になり、対ユーロは123円台にまでなっている。
これがどういう意味なのか、経済に強くないのでよく分からない。
今日の会議では、
あらゆる状況に適応するための活発な行動を示唆した。
あまりにもの災害の大きさに人々が萎縮せず、
普段どおりの生活を続けることが、経済の活性を止めないことになって
それが結果として被災地を応援することになる。
それは正しいことと思う。
しかし、現実に工場は止まり、製造が止まり、
東北という日本の大きな部分が止まり、
海外への荷物も滞りつつあるのだから、
すべてを普段通りにしていようと思っても、すべてが普段通りに行くとは限らない。
それを承知の上で、
もちろん決して萎縮などせず、
むしろ普段以上に活発に行動して行くべきだと考えた。
いつもとなんら変わらない日常の背後から、
じわりと、非日常が迫っているのだから、
非日常の存在を認めた上で、
その非日常がやってくることを前提とした行動を起こすべきだろう。
それはいつも通りではなく、
むしろいつも以上の活発な行動であるべきだと思う。
地震の震源が海にあった場合、
大なり小なり津波が来る可能性があるので、
その危険が大きかろうと小さかろうと、
やって来るかもしれない津波がわずか数十センチのものかもしれないが、
万が一、十メートルを越し、
二十メートル、三十メートルの破滅的な津波かもしれないので、
とりあえず、高い所に、自らの身を持っていく行動をすべきだろう。
まだ津波が自分の目に見えなかったとしても、全力で高台に行くべきだろう。
高台に行って、
津波が来なかったとしたら、
全力で高台に上った疲労だけが残ることになるが、
それが無駄なことであったとしても、
結果として誰も被災しなかったのだから、それはそれで良かったこと。
高台の上で「ああ、くたびれた」と苦笑いをすればいいだけだ。
今日の会議で山口監査役が面白いことを言っていた。
「時代が変わる時、それは何かの優先順位が変わる時。」
何が変わることによって、なんの優先順位がどう変わるのだろう。
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