2012年02月23日(木曜日)
2980.故郷・県営名古屋(小牧)空港をFDAが生き返らせた
今日は、県営名古屋(小牧)空港から「FDA」に乗って青森に行きます。
今はその飛行機の中。
FDAとは「フジドリームエアラインズ」という新興の航空会社で、
最新鋭の機材「エンブラエルERJ-170、175」を6機も飛ばしている。
(今乗っているのはERJ-175)
3年前に静岡空港が出来た時、
この会社も運行を始めているが、
最初は2機か3機であったのに、
いつの間にか6機に増えていることに私は驚いた。
「エンブラエル」とはブラジルの航空機メーカーで、
ブラジルと聞くと「大丈夫か?」と思うかもしれないが、
現代は世界がグローバル化しているので品質の面でもまったく心配なく
最新の設計と電子機器、素材を使われており、
文字通り「最新鋭機」と言って構わない優秀機である。
コミューター機というカテゴリーに入る76~84人乗りの非常に効率が良い機材。
私がこの飛行機にはじめて乗ったのは、
3年前、ドイツ・ミュンヘンでオリバー カーンのCM撮影をした時です。
中部空港からフィンランド・ヘルシンキに
フィンランドエアライン「FINNAIR」のA340-300で飛んで、
ヘルシンキからミュンヘンに飛ぶ短距離便でエンブラエルERJ-170に乗った。
初めての飛行機に乗るのはけっこうドキドキして楽しいものだった。
ヨーロッパのEC内の国内便みたいな短距離便によく使われている機材。
客席数でERJ-170とERJ-175の差はありますが、
FDAは機材をこの一機種で揃えている。
機種を揃えると、メンテナンスの面で有利であるだけでなく、
飛行機は機種ごとにパイロットの免許を取らなくてはならないので、
一機種だとパイロットのローテーションの意味でも圧倒的に有利なのです。
アメリカでの航空会社がみな不況に苦しんでいる間にも、
割安料金が売りで、絶好調のサウスウェストエアーラインが、
何百機とある飛行機をすべてB-737シリーズで揃えていて、
大きなコストダウンを実現している。
それと同じことです。
一昨年(?)、JALが破産して、
その再建の策の中に赤字路線の廃止があった。
廃止された路線は数多いが、
JALの名古屋発着では⇔青森、花巻、山形、福岡、など(不確か)が廃止になった。
FDAは、
3年前に静岡県牧野が原の静岡空港を軸とする航空会社として、
地元の大手有力企業が立ち上げた航空会社です。
しかし、
JALの倒産に伴い
地方路線がたくさん廃止になったのを“チャンス”と考えたのか、
一挙に機材を増やし、
JALが撤退した後の路線を矢継ぎ早に引き継いだのです。
との空港をどのようにつないでいるのかはよくは調べていないが、
名古屋からは少なくとも青森便、いわて花巻便、熊本便が復活した。
これは私達も助かる。
もちろんそれらの地方も、ただでさえ少ないローカル便が廃止され
ものすごくがっかりしていたので、FDAによる路線の復活は大歓迎だろう。
航空会社は巨大な資本が必要なだけでなく、
路線の許認可など非常に複雑に権益が絡みついていて、
容易に参入できる世界ではない。
既存のANA、JALの締め付けも厳しい。
何年か前に格安航空運賃を看板にして、
「羽田⇔福岡」のドル箱路線に「スカイマークエアライン」が価格破壊で参入し、
「羽田⇔千歳」に、「エアーDo」が同じようにドル箱路線に安い運賃で参入した。
この時のANAとJALの対抗策は実にいやらしかった。
スカイマークエアライン、エアーDoの設定便の時間のピッタリ前後を、
ANA、JALが便を設定し、その便だけ超安値にしてしまったのだ。
利用者にしてみれば、同じ超安値運賃ならば、
知らないスカイマークエアライン、エアーDoより、
いつものANA、JALの方が、コーヒーいっぱい出るだけでも得したような気がする。
このいやがらせとも思えるような対抗策を執拗に続けられたら、
格安運賃の航空会社はひとたまりもない。
運賃を安くしても満席に近い乗機率ならば採算が取れるが、
既存の航空会社に同じ安値でサンドイッチ状態にされたのでは、
満席どころか乗機率はまったく高くならない。
だからまったく採算が取れず、
抵抗する術もなくスカイマークエアラインがJALに吸収され。
エアーDoがANAに吸収されてしまった。
今あるスカイマークエアライン、エアーDoは、
実はJALであり、ANAであるのだ。
しかし考えてみるとスカイマークエアライン、エアーDoは、
JALとANAがドル箱にしていたおいしい路線に、
安値で割り込み、お客様を横取りしようとしたから、
外から見るといやらしく思えるような手段で対抗した。
自分がその身に立ったら、私だってそうしたかもしれない。
いずれにしても、スカイマークエアライン、エアーDoのもくろみは失敗し
窮してJALとANAに吸収されるしかなかった。
FDAの場合は違った。
新・静岡空港発着という採算的に難しいであろう路線を一手に引き受け、
まず、JALとANAと違う土俵に立った。
その上で、JALの破綻というある程度予想できた事態と、
その結果として撤退するであろう赤字路線を肩代わりするべく、早々に手を打って
複数のエンブラエルERJ-170、175を発注した。
旅客機の発注から納品までは年単位の時間が必要であり、
JAL赤字路線撤退からFDAによる路線肩代わりがこんなに早く実現したのは、
かなり先を読んだ発注でなければ出来なかったはずだ。
JALとANAの既得権構造に割れ目が出来た瞬間にクサビを打つべく、
FDAは先手、先手で動いたのだろうと想像する。
静岡空港発着というJALとANAも採算面で難しい路線に
消極的となった瞬間に出来た「狭い割れ目」にクサビをそっと差込み、
今度はJAL破綻、
赤字路線撤退という割れ目がガバッと開くであろう瞬間を見越し、
先んじてコミューター便を複数発注したFDAは見事であったというしかない。
JALの運行では赤字であった路線でも
JALの膨張しきった給与体系と、
お役所のような硬直した高コスト運営方式ではなく、
純民間のFDAはコストダウンを徹底した運行で黒字転換に成功した。
料金も微妙に格安だ。
JALの路線撤退で一時は廃港の危機にあった県営名古屋(小牧)空港も、
実にうまくコストダウンされていた。
名古屋北部の地の利を活かし、駐車場の無料化をして乗客の利便性を作り出したり、
総二階の巨大な建物の一階部分だけにすべての機能を集約して、
なるほどと思うような運営の仕方がされていた。
空港使用料もかなり安くなっているはずだ。
FDAは今、考えられないほどたくさんの路線を、
6機のエンブラエルで実現し、
JAL撤退前の便利さ以上の利便性を作り出して成功している。
久しぶりの県営名古屋(小牧)空港が、
以前に比べてものすごくたくさんのお客様でにぎわっていたのが、何よりの証拠だ。
元名古屋空港、県営名古屋(小牧)空港は、
私のふるさとみたいなもので、全国を掛け回り始めた頃からずっと利用してきた。
そのふるさとが、中部空港セントレアが開港と同時に
JALのコミューター便専用の空港に格下げされて、ガランとした姿には心が痛んだ。
しかしそのふるさとが、
FDAの路線拡大によって、再び活気のある姿に戻っていて、
ものすごく嬉しかった。
県営名古屋(小牧)空港の
明るい、とっても明るいFDAのチェックインカウンター
タイムテーブルによると1日9便。
福岡便もJALが撤退した路線だ。
私達が乗った青森便は「空席」になっているが、ほぼ満席であった。
その前のいわて花巻便も、ほぼ満席とアナウンスで言っていた。
全9便、嬉しい活況である。
久しぶりに見たふるさとの賑わい
この便はピンクのエンブラエルERJ-175だ。
FDAはすべての機体のカラーが違う。
みんなが写真を撮りたくなるような、
このエンターテイメント性が大切なのです。
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ところで、この飛行機、さっきから青森上空をぐるぐる旋回している。
青森空港の天候が悪いために降りられないと言うのだ。
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と言っても、このブログをアップしているのは青森・弘前市のホテルの一室で。
かなりスリリングではあったが、もちろん、降りられたのです。
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