2013年03月09日(土曜日)
3.09.COCO壱番屋の美味しくなさそうなカレーの看板
カレーのCOCO壱番屋は、
日本最大のカレーチェーン店どころか、
世界でもっとも店舗数が多いカレーチェーンとギネス登録されているそうだ。
詳しい店舗数は知らないが、
パスタ屋とか色々な店も入れれば2千を越しているのかもしれません。
ところが、
COCO壱番屋の店頭に掲げられているサインポールの「カレーの写真」、
すごく美味しくなさそうな写真だと、皆さんは思ったことありませんか。
湯気が出ているわけでもなく、
具に美味そうなツヤがあるわけでもなく、
何か、のっぺらとして、
リアル感のない、いかにも美味くなさそうな「カレーの写真」なのです。
もっとひどいのが、
パスタ・デ・ココというCOCO壱番屋の姉妹店で、
あんかけスパゲッティ専門店の「あんかけスパの写真」。
これはカレーの写真以上に美味くなさそう。(へんな言い方だ)
麺にまったくツヤがないので、
ゆですぎて延びた麺が冷えきったような感じで、
お世辞にも美味しそうには見えない。
しかし、これは、COCOの社長の強い意思で
わざわざ、美味しくなさそうな写真にしているのだそうです。
COCOの広告代理店を担当している人間から聞きました。
プロのカメラマンが、
ライティングなどを工夫して
美味しそうにカレーの写真を撮っていると、
COCOの社長が、
「ダメダメ、ライトなんてただの電灯で十分。
ピントがずれていたっていい。とにかく美味しそうな写真を撮ってはダメ。」と、
怒って来るのだそうです。
つまり、
あの美味しくなさそうなカレーやスパの写真は、
COCOの社長の意思で、わざと美味しくなさそうに撮っているらしい。
もちろん理由がある。
うんと美味そうに撮れている看板のカレーを見て、
店に入ってきたお客様が、
実際に出てきた本物のカレーを見て、
「看板の写真より、美味くなさそうだな。」とがっかりしたら大変だ。
期待を裏切ってしまったことになる。
その逆に、
看板のカレーの写真よりも、
実際に出てきた実物のカレーの方がうんと美味そうで、
実際に食べたら、本当に美味しかったら、
「ほーっ、思ったよりうんと美味いじゃんCOCOのカレー。」と、
お客様の期待を越すことができる。
すると、このお客様はリピーターになる可能性が高い。
だから、看板のカレーの写真は絶対に美味そうに撮ってはいけない。
店舗のサインポールのカレーは、
ここにカレーハウスCOCO壱番屋があるという目印になっていればいい。
美味しそうに撮ったカレーの写真で、
過大な期待を持たせて客引きをしてはいけない。
がっかりさせるだけだ。
むしろ、COCOのカレーは、
看板の写真のカレーより、実物の方が美味い。と、
食べてくれたお客様に喜んでもらったほうが、
リピーターを造ることになって、よっぽどいい。
考え方としては、COCO壱番屋の社長の言うことは理解できるが、
だからといって、
大切な店頭のサインポールの一番目立つ看板に、
わざわざ美味しくなさそうに撮ったカレーの写真を、
我々だったら掲げられるでしょうか。
看板とは、大切な客引きでもあります。
来店動機に店頭の看板を上げられるお客様は、どんな商売でも多いものです。
そこに、わざわざ、
「看板のカレーより、実物のカレーのほうが美味しそうで、美味しかった。」
と思ってもらうために、
美味しそうではないカレーの看板を
はたして我々は、上げられるだろうか。
しかし、COCO壱番屋は、
それで、日本一どころか、世界一になっているのです。
美味しそうなカレーの写真で、
新規のお客様をどれだけ集めるかよりも、
美味しくそうではないカレーの写真で、
リピート客になっていただくことを一方的に優先させて、
本当に、世界一になっているのだから、
看板のカレーは、
やはり、美味しそうではないことが、正しいのでしょう。
これは疑う余地のない事実です。
これを私達のビジネス、店舗で考えた場合、
新規のお客様を吸引したくて、
理由もない値引きを、宣伝して、
何件か、何十件かの新規客を集めるよりも、
キチンとした価格で施工していただいた既存のお客様に、
「値引き無しで施工してもらったのは、ちょっと損したな」と、
不快感を持たれるほうが、よほど申し訳ないだろうし
ビジネスとしても間違いなくマイナスであろう。
理由のない値引きをしない。ということは、
美味そうでないカレーの看板をわざわざ掲げるより、
よっぽど簡単で、当たり前のことだと思うのです。
これが、三月の割引チラシを取りやめた、ごく明快な理由です。
ちなみに私はCOCO壱番屋のカレー大好き人間で、
月に4度、5度は食べるヘビーユーザーです。
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