谷 好通コラム

2013年09月16日(月曜日)

9.16.カヌーで行く霧多布湿原

昨日の夜遅く、釧路、千歳を経て中部空港に帰ってきました。
おりしも台風がやってきていて、
飛行機は大揺れ、着陸もものすごくスリリングでした。
霧多布を立つ時も釧路を立つ時も、
「帰りたくない。」と思いました。
こんなふうに思うのは、子供の時以来ではなかったでしょうか。

 

 

その昨日の朝、
霧多布湿原は霧に覆われていました。
霧多布はその名の通り霧が大変多い所のようです。
幻想的です。

 

 

朝ごはんを食べてから、
カヌーで霧多布湿原の中に入って行きました。
ペンション「ポーチ」が企画するツアーの一つで、
「ポーチ」オーナーの瓜田さんが、自ら案内してくれる面白いツアーです。

 

霧多布湿原には四本の川が流れていて、
今回カヌーで入ったのは琵琶瀬川です。

 

河口からさかのぼっていくのですが、
さかのぼると言っても川の流れはほとんどありません。
海水と真水が混じった汽水が静かに、静かに流れている川です。
水の源は湿原の湧き水だと聞きました。

 

 

川に入ってすぐ、
丹頂鶴の間近な歓迎を受けました。
一昨日、丹頂鶴には非常に失礼なことを書きましたが、
丹頂鶴はあくまでも優雅で、美しい鳥です。

 

 

水鳥が豊かで、カモやシギの類がいっぱいいます。
“渡り”の途中でこの湿原で休んでいくそうです。

 

 

尾白鷲(おじろわし)もいました。
普通にすぐ近くにいました。
霧多布湿原は、自然そのものなのですから当たり前ですが、
野生の生き物が、飼われているのでもなく、エサをもらっているのでもなく、
自分で捕食して、繁殖し、自力で美しく強く生きていることに感動します。

 

 

霧多布湿原は約3,000年前から存在していて、
5度か6度の大津波の痕跡が約500年おきにあるのだそうです。

 

 

湿原は葦(よし)やイ草に覆われていて、
それが枯れて下に溜まるのですが、
平均温度5度しかないこの地域では、
バクテリアなど微生物による分解が進まず、
植物の繊維がふかふかのクッションのように残っていて、
ここの泥は水分が80%で、乾かすと驚くほど軽くなり、よく燃えます。
これを「泥炭」と言うのだそうです。

 

 

バクテリアの分解が進まないので、
土壌も水も栄養価が低く、大きな木が育つことはなく、
背の低い草の類がずっと続く”湿原”と成っているのだそうです。

 

 

支流に入って、そろそろツアーも終わりに近くなってきました。

 

 

湿原は人間の経済的な観点からすれば、ほとんど何の役にも立っていません。
しかし、その自然の姿そのものが何にも換えがたい「宝」だという表現に、
本当にそうだなと思いました。

 

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