2015年02月14日(土曜日)
2.14.事業の成長という点で一致して上場
先輩の上場会社の皆さんの話をお聞きすると、
社員の募集は、
上場前に比べて一桁多い数の応募があるそうです。
あるいは、良いか悪いかは実際に働いて見ないと判らないのですが、
今までには来なかったような種類の、良い人材が来てびっくりしたそうです。
こんな話を聞くと楽しみで仕方ありません。
私たちの会社では、
今でも毎年それなりの人数の応募があって、
しっかり選考して採用をさせてもらうのですが、
入社した新入社員さんはほとんどやめません。
店舗の仕事は、外の現場での仕事なのですが、
お客様の「ありがとう」で、みんなが遣り甲斐を持つことが出来、
すごく定着率が高いので、順調に社員数は増えています。
しかし、常に新店舗があることや営業部門への配転もあるので、
なかなか必要数が十二分に充足することはありません。
それが、
上場会社になると、
今まで以上に、一桁多い数の良い(?)人材が、
集まるようになるから、
人が充足して、
みんなが”楽になる”のでしょうか。
加えて、
上場とは新規発行した株式を市場に売る(公募)わけですから、
上場前とは一桁違う金額の資金が調達できます。
しかも、これは返済を伴わない資金なのです。
もちろん金利以上の”配当”が必要ですが、
少なくとも返済はありません。
ならば、
それまでにあった借入金を返済して”楽になる”のでしょうか。
無借金経営は、経営者にとって一つの勲章でもあります。
あるいは、
創業者は自分の株を売り出して、キャピタルゲインを得ます。
いわゆる創業者利益というやつです。
これが目的となっている上場の会社も多いと聞きました。
このケースの株式上場は、上場をした時点がゴールです。
立派なお屋敷を建てて、住んで、”楽をする”のでしょうか。
あるいは、
上場するために作ったコーポレートガバナンスの体制は、
たいていの創業者がつくった中央集権の仕組みを、
巧みな牽制の仕組みの効いた内部統制の体制を構築します。
これで創業者は引退しやすくなるので、
会社の中心で頑張ってきた創業者は、”楽”になります。
いずれの上場のメリットも、
誰もが、それを望めば、
あらゆる意味で”楽”になります。
人の募集が楽になって、
現場に人不足が無くなってみんなが楽になり、
資金が豊富になって会社の資金繰りが楽になり、
創業者の引退が楽になって、キャピタルゲインが得られて楽な生活が出来て、
株式上場を果たすことによって、
みんながそれを望めば、みんなが楽になります。
しかし、その株式の上場とは、
世の中の数多くの投資家の皆さんから、
この会社の事業の”成長”を期待しての”投資”で得られるものであって、
たくさんの投資家の皆さんから与えられた莫大な資金は、
この会社に関わる者が、
“楽”をするために与えられたものではありません。
どんな投資家も、
その上場した会社の関係者に楽をさせるために投資はしません。
当たり前のことでしょう。
投資家は、その会社が、
その事業で成長し、きちんと利益を上げて、
投資した株の価値が上がることを期待して投資したわけです。
そして、我々は、
その期待を含んだ”投資”であることを承知の上で、受け入れたのです。
あるいは、
この会社と事業を成長させようとする私たちの意志が、
投資家の期待と一致したから受け入れたのでしょう。
それがつまり上場したという意味でしょう。
では、投資家が成長を期待して投資されて、
それを受け入れたのだから、
私たちは投資家のために会社を発展させ、事業を成長させるのでしょうか。
そうではないでしょう。
私たちは、
この会社と事業を成長させることによって、
会社に関わっている人たちが共有しているみんなの”目標“を実現していきます。
それがこの会社の目的であり、上場の目的です。
KeePer技研㈱ならば、
それを短くに言葉にしたのが「日本に新しい洗車文化を」です。
そのために、
投資家からの資金を調達し、
広く人材を集めやすくなる上場を目指したのです。
だから、
会社の成長と事業の発展は、
私たちの事業の目的と、
投資家の皆さんからの投資の目的と一致しているわけです。
だから、上場したはずです。
“楽”したいことを目的に上場したわけではありません。
事業としての目的と、投資家の目的が、
事業の成長という点で一致したから上場したはずです。
言葉の上では理解し、納得の上で努力をしてきました。
しかし、目の前に”楽”が転がり出ると、
”楽”をすることが、魅力的に思える一瞬があります。
でも、
それを木っ端みじんにしたのが、
先輩上場会社の社長からいただいたメールにあった
「私もそうですが、死ぬまで現役で馬車馬の様に、働いて下さい。」
の言葉で、
私の一瞬の迷いを見事に吹き飛ばしてくれました。
死ぬまで現役で馬車馬の様に、働くのは、
潜在的に私の望んでいたことです。
馬車馬の様に働いて、出来るだけたくさん、よく働いて、死にたいと思います。
本気でそう思いました。
すべての人から、
KeePer技研㈱が株式上場したことを、
納得していただけるような仕事を、
死ぬまで、まるで馬車馬の様に働きたいと思います。
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