2015年11月12日(木曜日)
11.12.当事者だけの局所的C.C.では牽制にならない。
内部牽制とは、一つの流れの仕事に対して、
一つの立場からだけの人で完結せず、
違う立場の人と人が、
一つの流れの仕事を違う立場、違う角度で見て、実行し、
お互いに間違いがないように、牽制しながら仕事を間違いなく成すことです。
たとえば、仕入れに関しては、
何をどれだけ仕入れるのかを決めるのは、
東西の事業本部と開発であり、
実際にどこかに発注するのは経営企画本部の出荷事務所の購買課であり、
請求に対して支払いをするのは、財務部の経理課です。
お互いが違う立場で、この仕入れに関り、
万が一にも、公私混同や不正が入り込まないように成っています。
これと同じような牽制が、
IRに関ることにもなければならない。と、気が付きました。
開示の内容、決算などについては、必ず私も見るようになっていますが、
“発表の日時”のこととか、
その資料が出来る過程については、
IRに関る「当事者」だけがC.C.に入ったメールのやり取りで実行されていたのです。
つまり同じ視点、同じ方向からの視点だけで、
途中まで実行されていたのです。
開示される内容については、すべての役員が、
それぞれの視点から確認しますから、まず間違いは出ないはずなのですが、
その資料の作成途中を知らずでは、
最終的に間違いが発生する恐れがあります。
また、開示の予定日についてのメールのやり取りは、
直接のIR当事者だけがC.C.に入っているだけのメールでやり取りされ、
ひょっとしたら電話で、
当事者同士にしか聞こえない”会話”で進められたりします。
だから、今回のように”誤”記載が発生していても、
それが記載された記事そのものを見た者は掲載した者だけであり、
それが間違っているとしても、”当事者”たちは気が付かずだったのです。
それで、
発表予定日と記載された日の夕方になっても決算が発表されずに
株主の皆様からの抗議の言葉を見た私が騒ぎ出すまで、
当事者はもちろん、誰も気が付かなかったという情けない事態になったのです。
“たら”、”れば”ではありますが、
間違って記載されているその記事を、
間違ったその人とは違う立場の人が見てい”れば”、見”たら”
その間違いにすぐ気が付いたでしょう。
インターネットのコミュニケーションの優位性は、
一つのコミュニケーションを、
違う立場の人がC.C.とかMLで同時に持つことが出来て、共有して、
一つの視点からだけでは見えない間違いや弱点を、
違う立場の人のC.C.とかMLの多方向からの視点で、
一瞬のうちに見つけられるという強みです。
これこそ有効な内部牽制です。
当社でも、非常に多く利用します。
上の役職の者が下の役職の者からの視点で間違いを発見されていることもざらです。
そんなに便利で有用なC.C.とMLでのコミュニケーションを使わず、
ちょっと”専門的な部分”があるからといって、
みんなに見せても分らないかもしれないので、
「分る」当事者だけにC.C.を入れればいいという、
おごりを伴った「分っている人達」「当事者」意識で、
閉鎖的にしたコミュニケーションから出ずに、
一方向からの視点の当事者たちが、
幼稚な間違いにも気が付かないまま、重大な間違いを犯したのです。
その結果、
自分で稼いだお金でこの会社に投資してくれた
膨大な数の株主さんたちを裏切ってしまったのです。
悔しくも、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
当然ですが、
この当事者たちには、
閉鎖的な会話である電話などで何かを決定することを禁止し、
案件などメールを送る場合、当事者以外の者が参加の社内MLを、
“例外なく”付けて発信することを約束してもらいました。
この種の間違いを根絶させるには、
多方向からの視点を確保するための、
当事者以外の部署の人を含むMLを例外なく使う約束と、
当事者の監査をすることとしました。
元々、営業もLABOスタッフも、誰も、
必ずC.C.や社内MLを使ったメールの発信を行っているので、
特別にこの当事者たちに罰を与える訳ではありません。
社内ルールの徹底を図るだけです。
当事者間に出来ている当事者内の閉鎖されたコミュニケーションを、
こじ開けることにしただけです。
行動を変えるしかありません。出来なければ変えるだけです。
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