2016年05月14日(土曜日)
5.14.公私混同の微々たる”得”と、みんなが失う大きな損
猪瀬直樹”前”東京都知事に続いて、
舛添要一”現”東京都知事が、
金と公私混同にまつわるスキャンダルで、
その優秀な能力と功績にもかかわらず、
猪瀬前知事は辞職に追い込まれ、舛添元都知事も風前の灯のようです。
スキャンダルは収賄とか横領とかの悪質な犯罪ではなく、
借りたお金を政治団体収支報告書に記載しなかったとか、
家族が絡む公私混同とかの起訴にまではならないような罪を、
とことん追求して、
東京都知事という何千億円、何兆円もの税金の使い道と使い方に、
ポリシーを吹き込む役目と大きなスキルを失うのでしょうか。
私は分りませんが、
都知事の仕事は想像を絶するような激務なのでしょう。
私ごときの小職でも、
常に動いている組織をマネージメントする者は、
自分の時間と仕事の時間の境界線はなく、
プライベートな時間であるはずの時間にまで遠慮なく仕事が入り込んできます。
逆に仕事の時間に私的要件を入れようにも、
仕事が忙しすぎて、私的な要件を入れる余地はほとんどありません。
自動車などでの移動時間は集中できるので、絶好の原稿書きの時間であり、
私用車、社用車のいずれの車に乗っている時も(運転していなければ)、
飛行機でも、列車でも、
同じように集中して原稿を書きます。
移動中の時間は、どこへ行く場合であっても、例外なく仕事をします。
また昼食と夕食は仕事に関るあらゆる人とのコミュニケーションの時間です。
私の場合、最近は会社の目の前にコンビニが出来たので、
弁当を買ってきてもらって、
一人で仕事をしながら食事を済ませてしまうことも多くなりましたが、
基本的に、食事は誰かと一緒にして、
仕事の潤滑油的なコミュニケーションの時間とします。
その中に家族が混じっていたとしても、まったくおかしくはありません。
特に海外に出張に行った時、海外の経営者と食事をする時など、
先方の経営者は”親愛”の意味で、奥様、息子さん娘さんなどのご家族をよく同伴され、
それがこちらに対するより深い親愛の証として、
こちらも同様に家族を同行する場合がよくあります。
どこまでが公用、仕事であり、どこからが私用であるのか、
その線引きは不可能に近いと言っても過言ではありません。
私の場合、
食事で言えば、
お客様が主役で食事をした場合にだけ、
領収書を取って会社経費として会社に請求する場合があります。
一緒に食事をするのが会社の社員や役員ばかりである場合、
それが仕事の労をねぎらう目的でみんなと食事をする場合は、
福利厚生が成り立つそうですが、
私は必要経費で落とすことはしないようにしています。
社長である私が社員の労をねぎらい、食事をしたら、それが福利厚生ならば、
店長、課長、部長、など誰がスタッフと食事をしても、
それが労をねぎらうのが目的ならば、これは全部、福利厚生でしょう。
ならば、これは、
上司が食事の場いれば部下との食事はすべて福利厚生となってしまいます。
私的な食事と福利厚生としての食事の境目は、
「上司が一人でもいる事」になってしまい、
上司さえいれば、みんなで食べた食事は全部タダになってしまい、歯止めが効きません。
だから、一番てっぺんの私から、
社員との食事では領収書をもらわないことにして、
歯止めにしています。
すべて自腹です。
上司が部下たちと食事をして経費となるのは、
新年会などの会社の大きな行事以外は
明確に「達成会」だけです。
仕事をしっかりやって、
目標が達成できた時には、
みんなと一緒にお酒を飲んで、食事をして大騒ぎです。
しかしそれでも、その達成会はお酒を飲む場であり、
そのお金は、元はお客様からいただいたものなので、
達成会の様子を写真に撮ってスタッフブログに載せることは禁止しています。
しかし、
先日、私が伍島園(近所の中華料理屋)で、
約20名集まってしまった食事会の大騒ぎを「大好きなのです」と、
私のブログに写真入りで載せましたが、
これは、当然私の自腹であり、プチお祝いの意味もあって、
あえて写真を載せました。
公私混同の区別はよほど徹底して行わないとどこかに穴が開くものです。
公私の区別の一線は東京都知事でなくても大変難しいものです。
妥協なく自らを戒め続けなければできません。
しかし、言えることは、
公私混同で得るわずかな”得”なんて、
失うことになる大きな損失に比べれば”万”分の一にも満たない微々たるものです。
あるいは、
そんな微々たる公私混同を追及して得られる”得”は、
正義なのでしょうが、
起訴にも当たらないような”間違い”に近い罪を徹底的に追及して、
知事を血祭りに上げ、
都民が得た知事たちの素晴らしく大きな能力と、
冷徹な官僚と戦う気迫を、
立て続けに失う果てしない損失に見合うほどの正義なのでしょうか。
自分の思いつく限りにおいて、
公私混同を徹底的に排除しているつもりの自分ですが、
それだけに考えさせられた一件です。
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