谷 好通コラム

2024年09月10日(火曜日)

09.10.「行くこと」は手段でしかなく、それ自体が目的にはならない。

この会社の組織はずっと、長い間、ものすごく平らでした。

店舗スタッフは、

最初、無資格者から始まって、

二級技術資格スタッフ、一級技術資格スタッフとステップアップして、

資格としては、その上にEX一級技術資格・T-REXマイスターとあって

シニアスタッフという経験が豊かで技術練度が高い位置づけもあります。

しかし、取得技術のランクには段階があるが、

組織としてはいずれも同じ技術スタッフ。

技術能力給的に給料は上がっていっても、

組織上の役職は「技術スタッフ」という位置づけです。

 

店舗には必ず「店長」が一人いて、

店舗の責任者であり、店舗運営のカナメとなる。

もう一人、チーフという役職は店長の補佐。

その上で昔は、

すべての店舗をまとめていくのは部長と専務。いわば本社と直結だ。

だから、

元々KeePer LABO店舗の経営体制は、

本社→店長→技術スタッフのたった三段階の組織であり、

非常に風通しの良い組織であった。

 

それが、店舗がだんだん増えて、

目が行き届かなくなった来た時、

何軒かの店舗を統括するようなマネージャーという名の役職が出来て、

マネージャー候補、あるいは見習のような存在で課長が出来て、

店舗増加と共に、上下の多段階管理体制みたいになって来ていました。

 

もともと、

LABO店舗は自立していて、

そのスタッフの内なるモチベーション、つまり、

皆でお客様に喜んでもらうというシンプルな動機で運営されていました。

しかし、

マネージャーが出来、課長が出来て

多段階での管理体制のような形になって来た時、

店舗に、仕事をやらせる側と、やらされる側の関係のようなものが

発生して、スタッフの内なるモチベーション、

「皆でお客様に喜んでもらうという動機」が、薄くなってきていたのです。

つまり、

店長は、店舗にいて、お客様と直接接するので、

お客様に喜んでもらうというシンプルな動機を持つことが出来、

喜んでもらう為に、お客様の車を実際にキレイさにすることによって、

お客様に喜んでいただけるので、

それをモチベーションに働くことが出来ます。

それは、チーフも技術スタッフも同じで、

皆がモチベーションを共有することになり、店舗がお客様から支持されます。

KeePer LABOというビジネスモデルは本質的に「サービス業」であり、

お客様の喜びを生産する場として店舗があり、

その為のスタッフとして店長もチーフも、技術スタッフも価値観を共有します。

 

しかし、その店舗をまとめる形での課長やマネージャーたちは、

その店舗の一員ではないので、それを共有することなく、

店長以下のスタッフ達に、

お客様に喜んでいただくようなサービスを皆にやらせる立場になって、

それが出来ているかどうかを点検し、確認して廻る係になってしまったのです。

点検した上で足りないところがあれば注意し、

キチンと実行するよう指示し指導する係になっていました。

いわゆるやらせる側になって、

店舗スタッフをやらされる側にしていたのです。

 

これでは、サービス業としてのKeePer LABOの一番の強味である

「そのスタッフの内なるモチベーション、

つまり、皆でお客様に喜んでもらうというシンプルな動機で運営される。」が、

単なる作業をやらされている者の集まりの店舗になって、

スタッフの内なるモチベーションから造り上げられるお客様の喜びが、

存在しなくなってしまった時、本質的なサービス業の強みも無くなりました。

もちろん、

一部の店舗においては、ですが。

 

本来は、マネージャーも課長もその担当の店舗において、

お客様の喜びを共有すべく、共に働くスタッフ達と同じ地平で働く仲間です。

それをおかしくしてしまったのが、

「巡回」だと考えたのです。

一つの店舗を、会社の最高責任者から、LABO部門責任者、

部長、マネージャー、課長と、みんなが、

それぞれ、見廻って、

彼らを慰労したり、激励したり、点検したり、指示、指導したり、

皆がやらせる行為を、何重にもしている異常さに気が着きました。

その店舗に行くことを目的として、

それぞれが見廻っている事の異常さ、理不尽さに気が着きました。

それぞれの役目が店舗に行くことを目的とするのは異常であり理不尽です。

だから、

それぞれの役職の者に、

行くことを目的として店舗を巡回することを一旦禁止しました。

 

お客様の目線で店舗をしっかりと見ること、

それを店舗の在り方、状態、スタッフの在り方を修正する目的を持つべきです

だから、行くこと自体が目的であるような「巡回」を禁止し、

行って何をすべきなのか、それを明確に持ち、しっかりと目的を持って行く事。

行くという行為自体は目的にはなり得ず、

行くという行為で成せる目的を明確にすること。行くことは手段でしかない事。

 

大きくなって多段管理体制のようになってしまっている今の体制と行動を、

「行くことは手段でしかなく、それ自体が目的にはならない。」を徹底する為、

私自身の行動として、

これから約1年間、

新店への訪問を除いて、

巡回まがいの行動になりがちな既存店への訪問を、

私自身も、やめると前話で宣言した訳です。

 

前話の「私は少なくとも1年間、既存店を見て回る事をやめます。」の意味を、

今日のIRで「どういう意味なのですか」と質問を受けたので、

今日はそれをもう一度きちんと書いてみました。

 

まだ真夏日が何日か続くようですが、空はもう、明らかにです。

 

 

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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